OMEGA(オメガ) スピードマスター早わかり/銀座エバンスで出会った6本 2022年5月2日
2022-05-02 11:00
今回のエバンスブログは、前半でOMEGA(オメガ)「スピードマスター」シリーズの特徴をかいつまんでご紹介、後半ではキーワードとともに銀座エバンス店頭に並ぶ6本の「スピードマスター」をご紹介します。最近、スピードマスターの注目度がなにかと上がっている感じなのです。
驚きの「オメガ×スウォッチ」
(■「ムーンスウォッチ」イメージ写真:11の惑星に着想を得ている。 出典:スウォッチ公式WEBサイト ■「ムーンスウォッチ」イメージ動画(“Making of the MoonSwatch“)より。 出典:YouTubeスウォッチ公式チャンネル)
2022年3月下旬に発表された、オメガとスウォッチのコラボレーションが「ムーンスウォッチ」。その内容は「11色展開のスピードマスター風スウォッチ」でした。入手の困難さも含め、驚きとともに大きな反響を呼んでいます。
当社のスピードマスターユーザーの反応も割と良く、そして、当店の店頭でも本家OMEGAのスピードマスターを気にされる方が増えてきたようです。そこで、まずは「スピードマスター」のそもそもの特徴や魅力を、振り返ってみようと思います。
「スピードマスター」とは?
(■1957年に誕生した初代スピードマスター(CK2915) ■人類初の月面着陸時に使用されたスピードマスター(第4世代、ST105.012) 出典:OMEGA公式サイト(英語版) “The OMEGA Speedmaster 60th Anniversary” より。1957年から2017年までの名作60本が紹介されている)
今から約65年前に登場した「OMEGA(オメガ) スピードマスター(Speedmaster)」。カーレース計測のための視認性や耐衝撃性を備えたクロノグラフウォッチとして誕生しました。
その基本形を脈々と受け継ぎ、数々の伝説を持つのが、手巻きムーブメントの「スピードマスター プロフェッショナル (ムーンウォッチ)」。シリーズの中でも圧倒的なメイン機種で、スウォッチコラボの元となったのも、こちらの「プロフェッショナル」です。
一方で、自動巻き、廉価版、意欲作、小さめの時計など「派生モデル」も数多く作られてきました。伝統を受け継ぐ名作の存在感と、シリーズ全体でのバリエーションの広さが、スピードマスターの2大特徴と言えそうです。
ここで、手巻きの「プロフェッショナル(ムーンウォッチ)」の伝説ぶりを表にしてみました。
1957年 | 誕生 |
1965年 | 過酷なテストに唯一耐え、NASA(アメリカ航空宇宙局)に公式採用。以降、NASAの数々のミッションを共にすることとなる |
1966頃 | 文字盤に「PROFESSIONAL」の文字が入るように |
1968年 | 世界初の北極点到達時に着用される |
1969年 | アポロ11号の宇宙飛行士とともに月に降り立つ。その後「ムーンウォッチ(MOONWATCH)」と呼ばれるように。(以降、6回の月面着陸に携行された) |
1970年 | アポロ13号 帰還時の危機を時間計測によって救う |
1989年 | メスナー氏の南極横断(徒歩で3か月かかった)に使用される |
NASAの全ての有人宇宙飛行を共にし、極地の冒険でも活躍した逸話の数々。そして、65年もの間、手巻き(&プラスチック風防)という昔ながらのスタイルを継続し続けているという伝統。そんな「プロフェッショナル (ムーンウォッチ)」は、スピードマスターにおける大黒柱的な存在なのです。
(参考:過去ブログ「スピードマスターはなぜ手巻き?Cal.1861の魅力」、「Cal.861のオーバーホール」)
銀座エバンスで出会ったスピードマスター6本
1【本流】~手巻き&プラ風防の最新世代
(現行となる「スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナル」。”マスタークロノメーター認定”をクリアした超耐磁仕様。 裏蓋にCO-AXCIAL、MASTER CHRONOMETER の刻印も入っている)
こちらは定番「ムーンウォッチ プロフェッショナル」の最新型。2021年に約7年ぶり※の新作として発表されたモデルです。今作でも「手巻きムーブメント&プラスチック風防」は継承されています。(※前作(311.30.42.30.01.005など)は2014年に発表、前々作(3570.50など)はさらに17年前の1997年に発表)
ムーブメントはアップデートされ、1997年から約4半世紀続いた名作手巻きムーブメント「Cal.1861※」からCal.3861に変わりました。伝統の手巻きに、オメガ独自のコーアクシャル脱進機を加え、15,000ガウスの超高耐磁まで実現、最新の「マスタークロノメーター」規格もクリアしています。
(※Cal.1861は一つ前のCal.861のマイナーチェンジ版。Cal.861は今から約54年前の1968年に登場)
外観は先代と大きく変わらないものの、「ステップダイアル」など、アポロ11号で使われた第4世代(ST105.012)のスタイルを取り入れ、ブレスレットやクラスプ(留め具部分)も改良されています。
今回ご紹介の1本はナイロンストラップ仕様。このモデルでは、ブレスレット仕様(310.30.42.50.01.001)が主流かと思いますが、バックルタイプで脱着がしやすいベルト仕様というのも、ひと味違っていいかもしれません。
→「スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナル マスタークロノメーター」
(310.32.42.50.01.001、新品、手巻き、プラスチック風防、42mm径) [SOLD OUT]
(※現在、2021年新型モデルの ガラス風防&革ベルト仕様 (310.32.42.50.01.002) は店頭でご覧いただけます。裏蓋がシースルーバックでムーブメントが見えるタイプです。)
2【派生】~生産終了後も人気の自動巻き
(40mmサイズの先代「スピードマスターレーシング」 1~5:40mmサイズの先代レーシングは5色から選べる 6:後継となる現行レーシングは44.25mmサイズに大型化、2つ目クロノとなった)
こちらは40mmサイズの自動巻き「スピードマスター レーシング」。2010年代後半に生産終了となりましたが、当店では現在、新品が5色(青/黒、黒/白、グレー/黒、黒、白)から選べます。
現行モデルにも、最新ムーブメントを搭載した「レーシング」というモデルは存在するのですが、モデルチェンジの際に44.25mmとサイズが大きくなったため、こちらのレーシングは「ほどよいサイズ感」と、今も人気だったりします。
本流となる手巻きプロフェッショナルとは異なる「派生モデル」といった存在ですが、自動巻きで日常生活に使いやすく、2トーンカラーのダイアルが存在したりと、定番の名作モデルとは違った魅力があるかと思います。
→「スピードマスター レーシング」
(326.30.40.50.03.001、新品、自動巻き、サファイアガラス風防、40mm径、生産終了品)
3【限定】~限定の限定といった1本
(赤をイメージした「スピードマスター プロフェッショナル 東京2020 リミテッドエディション」。 裏蓋にシンボルマークの刻印と限定ナンバーが入る)
オメガの限定モデルで欠かせないイベントが「オリンピック」。こちらは「東京2020」大会を記念して、2018年の夏に日本限定で発売されたスピードマスター プロフェッショナル。大会のシンボルカラーである「青、黄、黒、緑、赤」をイメージした5種類が作られました。
5種類は各2020本作られたので、裏蓋の限定番号は「XXXX/2020」のはずなのですが、こちらは、なんと「XX/55」。5本セットが別途55組だけ発売されており、事情があってバラ売りされたという1本なのです。
時計は、手巻きプロフェッショナルがベースで、風防はサファイアガラスとなります。裏蓋にはシンボルマークの刻印が入り、革の交換ベルトも付属します。大会は終わっていますが、外観は派手過ぎないので、普通に使うこともできそうな1本です。(東京2020限定は、2020本限定の「黒」と 55本限定の「青」もあります)
→「スピードマスター プロフェッショナル 東京2020 リミテッドエディション (赤)」
(522.30.42.30.06.002、未使用品、手巻き、サファイアガラス風防、42mm径)
(※こちらは5本セットからの「バラ売り」です。ボックスはセット用とは異なる中古の純正箱をお付けします。)
4【周年】~定期的にリリース?
(スピードマスター プロフェッショナル「アポロ11号 月面着陸25周年限定モデル」 ケースサイドに刻印が入る)
オメガの限定ウォッチでよく見かけるのが「〇周年」モデル。こちらは1969年のアポロ11号による人類初となる月面着陸の偉業を記念した25周年モデルです。1994年に発売された2500本限定となります。アポロ11号の周年モデルは意外と多く、10周年から5年おきに出ている印象があります。
時計は、Cal.861を搭載した手巻きプロフェッショナルをベースに、ケースサイドに「APOLLO XI 1969-1994」の刻印や裏蓋に限定番号「XXXX/2500」が入ります。
こちらの時計で見逃せないのが付属品。このモデルのためのアプロ11号の「ワッペン」や「ピンバッジ」も付属します。ワッペンやピンバッジは紛失している場合も多く、なかなかレアなようです。ピンバッジの裏面にも「APOLLO XI 1969-1994」の刻印が入っており、特別感を感じさせてくれるポイントの一つとなっています。
→「スピードマスター プロフェッショナル アポロ11号25周年限定」
(3891.50.81、ユーズド、手巻き、プラスチック風防、42mm径)
追記)当ブログ作成中に、メンテナンスを終えた アポロ11号「20周年記念限定モデル」 (1989年)が店頭に登場しました。夜光がいい雰囲気に変化しています。そして、なんとこちらもワッペン付属です。
5【復刻】~ヴィンテージ感を愉しめる
(2ndモデルを復刻した「スピードマスター “ファースト オメガ イン スペース”」 裏蓋に「NUMBERD EDITION No.XXXXX」の刻印も)
「オメガの時計として、初めて宇宙空間に行った時計は?」その答えが、この復刻版のオリジナル。セカンドモデル(CK2998)で、1962年に地球を周回した時計です。NASAに公認を受ける約3年前の出来事でした。(オメガ以前にも大気圏外に出た腕時計は存在します)
こちらは「ナンバードエディション」と呼ばれる特別モデル。2012年から発売され、限定モデルではないのですが、裏蓋に通し番号が入っています。少し小さめの39.7mmケースに、セカンドモデルを再現した「アルファ針」が特徴です。
この復刻版は、ムーブメントは手巻きなのですが、風防がサファイアガラスです。手巻きプロフェッショナルのファンからすると「そこが惜しい」という声もありますが、1960年頃のモデルの雰囲気を、日常に使えるというのはなかなかの魅力ではないでしょうか?
(参考:過去ブログ「もう一つの偉業、CK2998-4:ファーストオメガインスペース」)
→「スピードマスター ファースト オメガ イン スペース」
(311.32.40.30.01.001、ユーズド、手巻き、サファイアクリスタル風防、39.7mm径)
6【小さめ】~珍しいコンビ仕様
(「スピードマスター オートマチック」39mmサイズ 自動巻きでステンレスとイエローゴールドのコンビ)
こちらは小さめ39mmサイズの自動巻きスピードマスター。1980年代終わりから1990年代にかけての1本です。ステンレス&イエローゴールドのコンビというのは結構珍しい仕様のようです。
風防がプラスチック、というのも、最近の時計ではあまりない仕様。キズがつきやすいけれど、ヴィンテージ風な雰囲気で味があるという声もあったりします。
約30年前の古い時計ではありますが、小さめ&コンビというのがなんだかフレッシュです。イエローゴールドはアクセント的に使われているので、主張しすぎず使いやすそうです。小さめなので、女性の方もぜひ。
→「スピードマスター オートマチック」
(DA175.0033、ユーズド、自動巻き、プラスチック風防、39mm径)
「定番」以外も面白い
(2022年新作の「スピードマスター’57」 スピードマスターは「MOONWATCH」以外に5つのシリーズが存在。スピードマスター’57は「ヘリテージモデル」に属する 出展:オメガ公式WEBサイト)
2022年のオメガ新作で「スピードマスター’57」が、一部仕様を変更しリニューアルしています。1957年のファーストモデル(CK2915)の復刻版で、渋めのグリーンやワインレッドなどのカラーもいい感じです。(参考 当社ブログ:オメガ2022年新作!注目ポイントを解説)
鉄板と言える定番の手巻きムーンウォッチ(プロフェッショナル)に目が行きがちですが、それ以外も様々なスピードマスターが現在も作られています。そんな中から、次なる名作が登場するのかもしれません。定番以外のスピードマスターにも注目していきたいところです。