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「機械式時計は一生モノ」は本当か?腕時計の寿命について

2022-08-29 11:30

エバンス オンラインショップ担当の大貫です。

最近は中古時計の価格もインフレ。一時高騰しすぎた一部の相場は下落傾向ですが、大部分の時計相場は右肩上がりです。そのため、モデルによっては、購入時の価格よりも買取価格が上回ることもあり、時計を売却されるお客様も多くいらっしゃいます。

ですが、高額な機械式時計の場合、“一生モノ”として購入される方がほとんどではないでしょうか。逆に値上がりを見込んで、投機的に購入する方は意外と少ないものです。もちろん、腕に合わないなどで売却されることは致し方ないところではありますが、 誰でも購入後は長く愛用したいと思っているハズですよね。

よく「高級時計は一生使えますか?」というご質問を受けますが、基本的には“Yes” です。ただ実際にはいくつか諸条件もありますので、ご紹介したいと思います。

腕時計の寿命はどれくらいか?

まず時計の寿命は、クォーツと機械式時計で大きく異なります。

クォーツの場合は、電子回路の寿命があります。回路が故障したとしても、メーカーで部品の在庫があれば、ムーブメント自体の交換や、モジュールの交換で対応可能ですが、同型モデルの製造が終了し、パーツのストックが無くなった後に故障となれば、そこが寿命。だいたいクォーツ時計は、10年~30年くらいが寿命と言われています。

機械式時計の場合、正直『持ち主次第』です。何世代にも渡り使い続けることができるものもあれば、数年で寿命となるケースもあります。

機械式時計は定期的にオーバーホール(分解掃除)を行うことで、使い続けることができる

「機械式時計は一生モノ」と言える根拠

いまから100年前となると1920年頃。数は多くありませんが、1920年代のアンティーク時計は、巷で販売されており。もちろんコンディションにもよりますが、現役で使用できるものも多くあります。

下は、私の所有するウォルサムのポケットウォッチ(1921年頃製造)。冬場だけですが、現役で使用している時計の1つです。 2021年でめでたく100歳になりました。

もちろん、新品から使っていたわけではありませんので、“一生モノ”とは言えませんが、問題なく使用できます。

1920年頃はまだまだ “腕時計” が少ない時代でしたので、ポケットウォッチが参考となってしまいましたが、下記の腕時計も私の愛用品で 1930年~1940年頃のモデルです。夏場以外で使っています。

末永く愛用するために

寿命を延ばすためには、「信頼できる修理依頼先を見つける」、「定期的なメンテナンス」、 「日々の時計の扱い方」などいろいろ要素はありますが、その中で、個人的には 『時計の扱い方』が重要だと思っています。

まずは『時計を丁寧に扱う』ことが最重要。雑に扱えば不具合やダメージが増え、交換しなければならないパーツも多く出ることでしょう。特に時計の外装や文字盤、針など、ある程度の補修は可能ですが、手を加えると雰囲気が大きく変わってしまい、着用する機会も減り、手放すことに繋がります。

また時計を複数お持ちいただくこともお勧めします。革靴と同じで、毎日使えば、その分パーツの摩耗があります。数日おきに使い回すことが長持ちの秘訣ですね。


「一生モノ」の購入前に知っておくこと

もちろん100年前と今の時計では加工技術の差が大きく、高精度で、防水性、耐久性に優れ、簡単には壊れることは少ない環境ですが、一方ではブランドの独自性や複雑化が進んでおり、いわゆる「街の時計修理店」では対応ができなくなります。必然的にメーカーでの対応となりますが、実はアンティークモデルも含め、過去に販売した時計を「責任をもって全て修理する」というメーカーは意外と少ないことを知っておきましょう。

誰もが知るトップブランドでも、ある程度年数が経つと修理の受付すら拒否されます。例えばロレックスの場合、生産終了からおよそ30年ほどで修理の受付ができなくなります。(後述しますが、ロレックスはパーツの入手さや、得意とする修理ショップが多いためオススメです)

また「日本の代理店が無くなる」、または「ブランド自体が消滅する」といった場合も、修理は非常に困難となりますので、新興ブランドは気を付けましょう。

安心できるブランドとしては、【パテックフィリップ】、【オーデマピゲ】、【ヴァシュロンコンスタンタン】など、世界3大時計ブランドと言われるメゾンは当然ながらも、【ランゲ&ゾーネ】や【ジャガールクルト】、【オメガ】も過去の時計を修復していただけるブランドです。壊れたパーツも当時の機械を使って作り直すということを行う場合もありますので、安心できますね。

もちろん上に挙げたブランド以外もアフターサービスに力を入れているところはありますので、ホームページをチェックしてみてください。

人気が高まるランゲ&ゾーネ の定番「ランゲ1」

一生使える腕時計の条件

もちろん機械式時計が全て『正しい使い方をすれば、一生モノ』というわけではありません。条件を揃えることで、少しでも長く使える可能性を伸ばすことができると思っていただければ幸いです。

その条件ですが、できるだけ単純構造のモデルが望ましいと思っています。クロノグラフよりも3針、カレンダー付きよりもカレンダーなし、自動巻きよりも手巻き、ブレスレット仕様よりも革ベルトといったように、単純な構造の方が、不具合箇所が修復しやすく、パーツ自体を別作できたりと、整備性が高く、メンテナンス費用にも影響します。

シンプルな構造のパネライ旧モデル

またロングセラーモデルの場合は、たとえメーカーで修理ができなかったとしても、パーツが流通していることも多く、部品が手に入りやすいのも特徴です。

例えば、ロレックスの代表的なアンティークモデル「バブルバック」は、メーカーでの修理は受付不可となりますが、古いモデルであるものの、いまだにパーツを確保しやすい状況ですので、ヴィンテージ・ロレックスの人気は衰えません。

ロレックス・バブルバック

ただメーカー純正パーツにこだわる場合は、修理不能となるケースもありますので、ご留意ください。時計を動かすだけなら、メンテナンス・修理を行うことで問題なく使用し続けることができます。

機械式時計の魅力は、「世代を超えて受け継げることができる」。これは間違いなく言えることですが、ケースバイケースということをお忘れなく。


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