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「1mmの魔術師 FPジュルヌ “オクタ・カレンダー”」2016年3月22日

2016-03-23 12:39

(※本文中のリンクは、サイトリニューアルのためリンク切れになっていることがございます。予めご了承ください。)

こんにちは、銀座エバンスの稲田です。
少しずつ暖かくなってきましたね。各地でお花見もはじまっているようです。
ライトアップされた夜桜も昼の顔とはまた違って美しく、いつまでも見ていたくなります。
みなさまもご家族、ご友人、恋人とこの季節だけの楽しみを堪能してくださいね。

さて、本日はフランソワ・ポールジュルヌの生産終了レアピース “オクタ・カレンダー” をご紹介致します。

※昨年10月に掲載し、ご好評をいただいたブログ
「信念の時計師 FPジュルヌ “トゥールビヨン・スヴラン”」 
  とあわせてご覧いただければ幸いです。

2001年、FPジュルヌ氏は初の自動巻き腕時計“オクタ”を発表しました。
パワーリザーブは5日間、大きな日付表示が特徴の、非常に高い精度を伴った素晴らしいキャリバーです。
彼は視認性と使いやすさを高いレベルで融合させることを目標とし、効率よく巻き上げてくれるRG(ローズゴールド)無垢ローターと、120時間に及ぶロングパワーリザーブ、そして様々な機構を組み込みながらもすべて同じ大きさに、同じムーブメントに載せることを目標としたそうです。
私達が日常で使いやすい大きさと厚みに仕上げることも忘れませんでした。

最初のキャリバーはCal.1300-1で、現在は1300-3が搭載されており、大きな違いは初期キャリバーがローター以外の素材が真鍮だったのに対し、1300-2からは地板から受け、ローターに至るまで殆どの
パーツを18KRGに変更しました。
これは、見た目の美しさに何より拘った、ジュルヌ本人の願望が形になったものです。
ペルラージュとコート・ド・ジュネーブ、ローターには中心に近づくにつれだんだんと細かくなっている
大変繊細で美しい仕上げが施されています。
余談ですが2004年にRGキャリバー1300-2を開発した際に、YGの取り扱いをやめています。
それまで、珍しいYGの文字盤を作成していたのですが、これを機に生産終了となりました。
理由は単純で、RGとYGは配色が合わないからだそうです。
10年以上経った今も一貫してYGを使わず(FPジュルヌファンの為だけにブティック限定でSSケース・
38mm5本セットとしてYG文字盤は現在も存在しますが、レギュラーモデルでの展開は終了です)、
ケースはPTとRG、中にはSSとレアメタルのタンタルという素材を採用したモデルも生産しています。
文字盤は基本的にRGとWGです。


FPジュルヌ氏は、1980~90年代にかけて様々なムーブメントや部品の設計に携わったそうです。
代表的なものはワンプッシュクロノグラフ、フドロワイヤント(6分の1秒計測機能)、そして“レマニア
1350”という大変有名な傑作クロノグラフの設計に関わり、フライバック化を手掛けました。
このことから、自身のメゾンを立ち上げる前からあらゆるものを設計できる経験を積んでおり、実はオクタのキャリバーを開発した際、裏に天文表示のようなものを設けたいという考えにまで辿り着いていたそうなんです。しかしパテックでセレスティアルが発表になったため、諦めたというエピソードがあります。

そしておもしろいのが、彼は毎年のように新製品を発表するのですが、まずどのモデルにも同じケースを使い、オクタ・リザーブドゥ・マルシェの設計キャリバー(全体の輪列をリューズ側に寄せた設計)をベースとし、大きく空いた余白にカレンダーの月表示板やムーンフェイズ、UTCなどの付加機能を載せています。
その付加機能の厚みをすべて1mmに統一し、どんなモデルになってもケースの大きさと厚みが同じになるようにつくっています。タイトルを「1mmの魔術師」としたのはここからです。
彼曰く、もちろんモデル自身に対し最初から強い印象を持ってもらう為だが、小さいメゾンなんだからいろんなケースを作ることでコストが掛かってしまう、これをおさえるために同じケースでいろいろなバリエーションをつくることができればという彼の願いから、実現しているのです。

また、前回のブログでもお伝えした通り、現コレクションが出来上がる10年も前に、彼がラフにスケッチしたデザイン画が数点あります。その中にこのオクタの絵も含まれていたそうです。
スヴランもオクタも、すでに彼の頭の中で出来上がっていたのですね。
ケースサイズや素材への拘りも含め、本当にすごい人物だと改めて感銘を受けました。
そして2002年、オクタ・カレンダーは“ジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ”において審査員特別賞を受賞、翌年2003年には表参道にブティックをオープンします。
その2003年には同じ“オクタコレクション”からオクタ・リュヌ、2004年には前回ご紹介したトゥールビヨン・スヴラン、その翌年には…と、毎年毎年様々な賞を受賞し続けているブランド、それがFPジュルヌなのです。


オクタ・カレンダーはキャリバー発表から3番目に製作したモデルです。1番目は先程もお話に出てきたベースキャリバーの“オクタ・リザーブドゥ・マルシェ”、2番目は“オクタ・クロノグラフ”。
オクタ・カレンダーは特徴的なレトログラード日付、曜日と月表示を備えた自動巻きで120時間ものパワーリザーブ、アニュアルカレンダーを備えた腕時計で実は当時、世界初でした。
リューズ側に時分針表示をおいたのは付加機能のためともうひとつ、腕にはめた時に文字盤が洋服の裾で隠れてしまいがちなので、見やすいようにとジュルヌ氏が使う人のために考えた設計だったのです。

オクタはラテン語で“8”の意味で、このコレクションが無限の可能性“∞”を秘めていることから
名付けられました。
今までのお話からこのネーミング、納得ですよね。
オクタ・カレンダーは2013年に生産終了となり、前回のブログでもお伝えをした通り、年間約900本しか製作をしないためこの10年間で数百本しか存在しないのでは?と推測されます。
現在、日本にはここエバンスにしか在庫の確認ができておらず、今後もいつ出逢えるか全くわからない、
大変稀少な一本です。


こちらは大切な顧客様からのご委託品です。
ご興味のある方は是非、私稲田までご連絡ください。
一度腕に乗せて、この素晴らしい作品の装着感を味わってみていただきたいです。
みなさまのご来店、心よりお待ち申し上げております。

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