実は誰にでも起こりえる『金属アレルギー』/時計選びや対策、注意すべきポイントとは?
2020-07-24 11:00
エバンス オンラインショップ担当の大貫です。これから夏本番を迎え、気温が徐々に上昇し、汗ばんだ腕回りが気になる季節になってきました。このような時期に気を付けていただきたいのが「金属アレルギー」です。
金属に触れた部分の肌が赤くかぶれたり、かゆくなったりするなどの症状が出る「金属アレルギー」。現代病の一つで、予備軍を含め日本人のおよそ12人に1人が金属アレルギーと言われています。もちろんエバンスにおいても 直接肌に接する『腕時計』を販売している為、ご相談を受けることがあります。
金属アレルギーはなぜ起こるのか?
金属アレルギーは、金属そのものが直接アレルギーを起こすわけではありません。汗や体液などによって微量に溶け出し、イオン化した金属が皮膚を通して体内に入り込んだ際に、体が「異物」として認識し、過剰反応することでアレルギーの症状が起きます。 一度発症すると基本的に治ることは無いようです。
溶け出しやすい金属ほど、アレルギーを起こしやすく、溶けにくい金属ほどアレルギーを起こしにくいと言えます。
アレルゲンに対する許容量は個人差があります。すぐに反応が出ない場合も、同じ金属が触れ続けると、アレルゲンが体内に蓄積され、許容量を超えたところで発症。 ある日突然発症することがあります。
アレルギーが起きやすい金属は人によって異なる
また一度アレルギーの体質になると、その後も同じ素材でのアレルギー反応が続き、花粉症などと同様に完治は難しいのが厄介です。
腕時計の場合では、最も使用される『ステンレススチール』に含まれる、「ニッケル」や「クロム」、「鉄」によって引き起こされるアレルギーの方が多い様に思います。
しかしながら、ステンレスにも種類があり、高級時計に使用される316Lや、904Lはアレルゲンが溶け出しにくく、アレルギーが起きにくい素材と言われています。
腕時計で金属アレルギーを起こしやすい素材とは
以下の素材はアレルギーを起こしやすい金属と言われています。
- 鉄
- 銅
- 錫
- 亜鉛
- コバルト
- パラジウム
- ニッケル
- クロム
などがあります。
時計向けにそのまま使用されるような素材は、新素材として台頭してきた「ブロンズ(銅)」でしょうか。
ステンレスは金属アレルギーが起きやすいのか?
腕時計によく使用される『ステンレススチール』は、「鉄」、「ニッケル」、「クロム」の合金ですので、注意しなければならない素材です。特にアレルギーを引き起こしやすい素材は「ニッケル」。「ニッケル」は鉄を錆びから守る素材ですので、ステンレススチールには必ず含まれます。
しかし、素材のグレードにもよりますが、基本的にステンレススティールは【アレルギーが起きにくい素材】に分類されます。
ロレックスのステンレスは「オイスタースチール」とよばれる904L鋼。例外なくこちらも「ニッケル」を含みますが、他のステンレスに比べて含有量は少なく、一部のお客様においては、「ロレックスならアレルギーが起こらなかった」とお話を伺うことがあります。ただ個人差がありますので、注意が必要です。
金属アレルギーの方にお勧めの時計素材
アレルギーの方にお勧めの時計の素材がありますので、万が一金属アレルギーになってしまった際はお試しください。
抗アレルギー素材「チタン」
チタン素材は人工関節やインプラントなど、医療用としても使用されるほど高い『生体適合性』があるため、アレルギーが起きにくい素材として知られています。
非金属の「セラミック & カーボン」
非金属の素材では金属アレルギーは起きません。ただ裏蓋やバックル部分まで「セラミック」や「カーボン」を使用しているブランドは少ないので、ご購入する際はよく確認してください。
シースルーバックの「サファイアガラス」
サファイアガラスも“非金属”ですので、アレルギーに対いては安心できる素材です。裏面全体がサファイアガラスになっているモデルは少ないながらも、周りの金属が、肌にあたる面積が少なくなりますので、ある程度有効です。
こんな金属も注意が必要
金属の中でも「ゴールド」や「プラチナ」は、アレルギーを起こしにくい素材として挙げられます。しかしながら時計に使用される素材には注意が必要です。
ゴールド
時計に使用されるゴールドは、18金が一般的。純金では柔らかいため、25%の混ぜものを加えて硬くしますが、その際に銅やパラジウムが使用されます。含有量は少ないながらも、この部分でアレルギーを起こす場合があります。
プラチナ
プラチナもゴールドと同様に時計では純プラチナではなく、合金のプラチナ950が多く採用されています。95%のプラチナに対して、パラジウムが5%使用されています。
僅かな量ですが、パラジウムでのアレルギーがある場合は注意が必要です。
金属アレルギーになった際の対処方法
もしアレルギーになってしまった場合も、正しく対処することで症状を和らげることが出来ます。ご愛用の時計を長くご使用いただくための対象をご紹介したいと思います。
なるべく時計を付けない
汗ばむ際は時計をこまめに外したり、季節によってアレルギーが起きにくい素材の時計を着用するなど、気を付けましょう。
時計は清潔に
時計を外した際に、付着している汗や汚れなどはクロスや布で乾拭きし、清潔に保つようにしましょう。
市販のコーティング剤で対応
ピアス用等としてのコーティング剤があります。マニキュアのトップコートのようなもので、金属と皮膚が接触しないようにします。
裏蓋にシール貼って対応
丸形のシールがご用意できれば裏蓋に貼って対処しても良いと思います。ただシールをそのままにしておくと、錆びや腐食の原因となります。定期的に交換しましょう。
ストラップで対応
時計のスタイルによっては似合う、似合わない、取り付けができない、といった事がありますが、時計本体の裏側を通すナイロンストラップもおすすめ。
金属アレルギーにならないために
同じようなアレルギーである花粉症に比べますと発症率は少ないものの、 誰にでも起こりえる「金属アレルギー」。過度に注意する必要はありませんが、長時間の着用を控えたり、日によっての付け替えたりするなど、日ごろの扱い方で影響を抑えながらご愛用いただければと思います。
もしアレルギーにより、お手持ちの時計がご使用いただけない場合でも、弊社では下取り、買い替えなども行っていますので、お気軽にご相談下さい。