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パネライのサンドイッチ文字盤を解説

2023-09-04 11:30

エバンスのオンラインショップ担当の大貫です。 今回パネライのサンドイッチ文字盤を取り上げてみました。

パネライと言えば、アイコンとなる「リューズプロテクター」、創業当時から変わらない外装フォルムの「クッションケース」、ミリタリー由来の視認性の高いフォントデザインなど、数多くの特徴があります。

その中で1939年から続くパネライの伝統の1つが「サンドイッチ文字盤(サンドイッチ・ダイアル)」。パネライの説明は以下のような内容となっています。

1938年以降、イタリア海軍によるダイバーズウォッチの需要が高まり、パネライは改良を繰り返しながら「ラジオミール」を納入していました。この頃最も革新的だったのは、文字盤の構造でした。これはマーカーや数字が彫った部分に当初は自己発光塗料をを塗り込んだ一枚のプレートから、いわゆる「サンドイッチ構造」の文字盤へ変わったのです。かつて無いレベルの光度を実現するため、オフィチーネ パネライがデザインしたこの文字盤は最初は3層で構成されていました。上側のプレートには穴をあけ、下側のプレートには無地のまま夜光素材を塗布しました(ラジオミールと後のルミノール)。上下のプレートの間に透明なプレキシガラス®製のディスクを挟み発光物質を保護した状態で結合します。この方法により、大量の自己発光物質を文字盤上に保持することができたのです。時計は夜間も非常に明るく、水中任務の際には位置が悟られないように時計を泥や海藻で覆う必要があるほどでした。サンドイッチ構造はその後改良が重ねられ、現在は2枚のプレートによる構造になっています。理想的なレベルの明るさと持続性を実現するため、今日パネライは特殊な高性能顔料からなるスイス製「グレードA」のスーパールミノバ®を使用しています。

パネライの公式サイト引用

インデックス部分をくり抜いた文字盤を夜光塗料の上に覆う事で一方向のみ光を放ち、それにより光の拡散を抑え、はっきりと読み取ることが可能となっています。

“パネライと言えば”の特徴のある文字盤ですね。

サンドイッチ文字盤の特徴

当時の夜光素材では、年数が経過すると性能が薄れるために何度も塗り直しが行われ、厚みが増します。それを繰り返すことでインデックスが変形したり、劣化によっては剥がれ落ちることが、しばしば発生していました。

そこで文字盤を2枚にしておけば、下層の文字盤の塗り直しや、交換だけで済み、視認性や美観を損なうことは無く、特に水中という暗闇の中での使用を目的としたパネライにとっては重要なアプローチでした。夜光素材や技術向上で、当時のような問題は少なくなりましたが、パネライはその伝統を大切にし、現在に受け継がれています。

下地となる現在の下層ダイアルは、ただ夜光塗料を塗るわけでなく、盤面を凹型にプレスし、その窪みに夜光塗料を流し込むなど、見えない部分も手の込んだ仕様となっています。

パネライの伝統「サンドイッチダイアル」

廃止されたサンドイッチ文字盤

1860年創業とパネライの歴史は長いものの、長らく軍事専門の精密機器メーカーでしたので、基本的に市場に出回ることが無く、知名度はほとんどありませんでしたが、1993年に民間市場向けの時計が製作され、1997年にヴァンドームグループ(現リシュモングループ)に加入。徐々に認知されていきます。

一般市場に参入してからは、しばらくサンドイッチ文字盤は見られませんでしたが、2002年発表の限定モデルPAM00127にて、量産後の初のサンドイッチ文字盤が登場。その後2004年にレギュラーモデルとしてラジオミールのPAM00183に採用され、以降マイナーチェンジなど含め、他のモデルにも広がりました。

2002年限定 PAM00127

当時の定番であった2002年発表のPAM00111やPAM00112などはサンドイッチダイアルの印象が強いと思いますが、これらも2005年からサンドイッチ文字盤へ改修されています。

なお2015年以降の生産から一度サンドイッチ文字盤が廃止。2019年頃から復活しています。 PAM00510など、そのころのモデルでも同じ型番で、仕様変更がありました。

ルミノールベース  PAM00112 初期ダイアル

パネライの文字盤の種類

サンドイッチ文字盤が有名ですが、パネライで使用される文字盤は、大きく分けて4つに分類。それぞれの特徴を見ていきたいと思います。

サンドイッチダイアル

2枚のディスクを使う伝統的な文字盤。パネライの代名詞的なダイアルです。当初はブラックやブルーなどダークカラーの文字盤のみに使用されてきましたが、近年ではホワイト文字盤にも採用されています。

ホワイトカラーのサンドイッチ文字盤

プリントダイアル

民間市場に参加してからの基本的な文字盤。文字盤の上に夜光塗料を直接乗せる方法で、比較的クラシカルなイメージとなります。

夜光塗料を盛った膨らみが特徴的

ホローダイアル

英語で『窪み』を意味するホロー( hollow)文字盤は、文字盤を数字の形に一度掘り込みを行い、そこに夜光塗料を流し込む方法。

夜光塗料と文字盤をフラットにしたり、逆に若干の段差を作ることで立体感が出るように調整が可能。

夜光塗料が文字盤に埋め込まれている

アプライドアワーマーカーダイアル

植字(アプライド)したインデックスで、高級ブランドでも見かける手法。サンドイッチでは奥行が感じられますが、その逆で立体的な造形。ドット型のインデックスが多いサブマーシブルに見られる。

植字によるインデックス

2層ダイアルのメリットとデメリット

メリット

  • 暗闇での高い視認性
  • 劣化による夜光剥離の軽減
  • 立体的なデザインによる高級感の演出

デメリット

  • 文字盤2枚を制作するため、非常に手間とコストがかかる
  • 白文字盤の場合、日中の視認性が低下する。

サンドイッチ文字盤では、あまりデメリットはありませんね。メリットにおいても機能的なことより伝統やブランドコンセプト、また高級感を演出するような感じです。

まとめ

2023年9月現在の現行モデルでは、サンドイッチ文字盤の割合が多い状況ですが、中古市場では混在しています。前述で案内しましたが、同一型番、同一モデルでも文字盤の仕様違いが存在ますので、選ぶ際は注意が必要。 ぱっと見ただけではどれも同じ文字盤に見えると思いますが、よく見ると文字盤の違いで雰囲気が変わってくると思います。

皆様はどの文字盤がお好みでしょうか?


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