エバンスブログ

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「ZEITWINKEL #マイクロメゾン」

2022-11-22 11:30

こんにちは、銀座エバンスの稲田です。
本日は初入荷ブランド「ZEITWINKEL ツァイトヴィンケル」のご紹介です。

ZEITWINKEL(ツァイトヴィンケル)とは

2006年、Ivica Maksimovic(イヴィツァ・マクシモビッチ)とPeter Nikolaus(ピーター・ニコラウス)の二名によって創設された独立したメゾンです。ブランド名のZeitwinkelとは、ドイツ語で時間を意味する”zeit”と、角度を意味する”winkel”を組み合わせた造語です。時間+角度、すなわち”時角”とは、天文学で使われる用語で天球上の星の位置を表す値のひとつです。同社では、可能な限り「正確な時計」を製造するための祈りを込めて付けたネーミングで、各モデル名すべてに角度を示す名称が付けられています。また、ZEITWINKELの「W」の字を反転させて特徴を持たせ、ロゴにもこのマークを採用し興味を惹く仕掛けをしています。

同社の工房はスイスのサンティミエという小さな町にあり、そこですべて自社で設計・組み立てを行っています。特筆すべきは、ランゲ&ゾーネと同じ「ジャーマンシルバー」を採用しているということです。これは銅・亜鉛・ニッケルの合金であり、通常「真鍮」(しんちゅう:銅と亜鉛の合金で黄銅とも呼ばれる黄金の色味をしており、加工のしやすい物質)を使っているメーカーが多い中、真鍮よりも硬く加工も難しいジャーマンシルバーに拘っています。理由として、銀白色が美しいこと、年を経る毎に黄金色の大変いい色味になって来ること、加工中もすぐに酸化をしてしまい非常に扱いが難しい上、コストも高い素材を創業当初から敢えて選択しているところが、数量限定生産の独立メゾンらしいなと感じます。

サイズは39mm・42.5mmの二種類で、現在確認が取れたモデルは今回ご紹介するパワーリザーブ付きの273°、二針で日付なしの081°と312°、三針で日付なしの082°、三針で日付付きの083°、三針・日付・スモールセコンド付きの188°と181°、三針で日付付きの032°、色はシルバー・ブラック・ロジウム(グレー)・ブルーです。

そして、驚くことに製作に使っている素材は”ステンレスのみ”、という私の知る限り時計業界ではまず存在しない(多分同社が唯一なのではないでしょうか)拘りぶりなのですが、これには理由があります。まず第一に、金の採掘が環境や地域の住民に及ぼす影響が大きいため、そしてステンレスを採用することで、時計を適正価格で提供できると考えているためだそうです。しかし、すべてのモデルを手作業で組立・調整・テストを行っているため、数多くを作ることができず、常に少数生産の稀少モデルなのです。

ツァイトヴィンケルとは、大変こだわりのある玄人向けのブランドで、これまでいろいろな時計を所有して来て、人とは一味もふた味も違ったモデルが欲しい方、または初めて本格的な機械式時計を購入して、手離さずにずっと使いたい方に私はおすすめしたいですね。

マイクロメゾンとは

近年、コレクターの間でたまに耳にするようになった”マイクロメゾン”。今回ご紹介するツァイトヴィンケルはもちろん、H.モーザー、ローマン・ゴティエ、ヴティライネン、モリッツ・グロスマン、アーミン・シュトローム、そしてエバンスにも入荷したことのあるボヴェなど。これらのブランドがそうカテゴライズされているのをみなさんご存知でしょうか。

マイクロメゾンの定義はとても難しく、まずは少量生産(数十~数百本~千本単位)であること、独立資本であること、自社製ムーブメントである上に個性的であること、そして一番注目されるポイントが、実用性はもちろんのことディテールの繊細さ・美しさです。マイクロメゾンのリーダー的存在とされているのは、先述した2005年創業の「ローマン・ゴティエ」であり、これらのどのブランドよりも価格は控えめなのに、ズバ抜けてムーブメントの面取り(加工後の素材の角の部分を落とす処理のこと)が美しいブランドが、今回ご紹介する「ツァイトヴィンケル」です。

ローマン・ゴティエについて少し触れますと、現代の生ける伝説的時計師と名高い”フィリップ・デュフォー”を師匠に持つ、かつてはサプライヤーの仕事にも携わっていたため、時計づくりの元となる部品や素材などの資源にも詳しい天才時計師であり、敏腕経営者なのがローマン・ゴティエという人物です。そしてフィリップ・デュフォーとは、先程お伝えした通り生ける伝説時計師であり、なぜそう呼ばれているかというと、歯車から小さなねじのひとつに至るまで、すべてにおいて手作り、手仕上げで時計づくりを行う、数少ない独立時計師だからです。フィリップ・デュフォー作品はもう既に神の領域にあり、昨年2021年11月に行われたフィリップスオークションで、まさかの4点同時出品がなされ、その総額なんと、約14億4400万円…!(グランプチソヌリ懐中時計…約2億9240万円・グランプチソヌリ腕時計YG…約5億9630万円・デュアリティPG…約4億5950万円・シンプリティPT…9490万円)今現在もひとつひとつ手作りで少しずつ時間を掛けながら、愛と魂を込めながら製作に励んでいらっしゃるフィリップ・デュフォー氏。正に神様とお呼びしたい存在ですね。

これからおおよそ10年後、マイクロメゾンという呼び名は定着すると思われます。一早くこの魅力に気付いた我々は少しでもご興味のある方と意見交換したいと考えています。私自身も知識を深め、もっとディープなお話ができるようこれからも勉強に励みたいと思います。

ZEITWINKEL273°とは

”11時位置”に大きな日付表示、1~2時の間に大きなパワーリザーブインジケーター、5~7時の間に大きな秒針を備えた、非常にシンプルかつ実用性に富んだ視認性抜群の、同社を象徴するモデルです。

見た目はこんなにスッキリしているのに、ムーブメントに使われている部品数はまさかの387個(パテックフィリップのRef.5712/1A(パワーリザーブとムーンフェイズが付いたプチコンと呼ばれる複雑時計)の部品数は、265個です)で、理由は複雑なパワーリザーブ機構にあります。ケースも26個もの部品があり、80以上の手順で組み立てられているそうです。大きめのリューズには12個の溝が彫ってあり、これらは機械と人の手作業によるもので、完成までに大変な時間を要するのです。

サファイアガラスには文字盤側と裏蓋共に、内側に無反射コーティングを施しており、シンプルなデザインと相まって大変視認性の良い文字盤となっています。
そして上写真をご覧いただきたいのですが、ケースサイドの造り込みの美しさ、リューズの細かい仕上げもそうです、艶消しと艶の見事なバランスが大変素晴らしく、このモデルの良さを更に引き立たせています。前述した通り人の手でないと成しえない、正に匠の技ですよね。

特筆すべきはムーブメントの仕上げの美しさです。時計評論家の意見では、立体的な穴石、ピカピカに磨かれたネジ、丸く完璧な面取りは機械では到底作り出すことはできず、熟練者の手仕事によるものですし、ここまで見事なムーブメントであれば倍以上の価格を付けたっていい、ということです。それほどまでに、控えめな価格帯での提案をしているブランドは今現在で思い当たるものがないですし、ひとつの素材で勝負しているところ、すべてのモデルにジャーマンシルバーを採用しているところも他にはないツァイトヴィンケルだけの魅力なのです。

おわりに

いかがでしたでしょうか。エバンス初入荷ということ、私個人的にこれから絶対来るマイクロメゾンブランドだと思うことと相まって、かなり気合の入った記事になりました。

生産本数が極めて少ないため、次いつ出会えるかわからない稀少モデルです。
この記事をご覧になって気になられた方は是非、私までお声掛けください。
みなさまのご来店、心よりお待ち申し上げております。

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