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「グランド・コンプリケーション “ブレゲ トゥールビヨン” 5317BA」2016年2月2日

2016-02-02 14:49

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こんにちは、銀座エバンスの稲田です。
一月もあっと言う間に過ぎてしまいましたね。
みなさまお変わりないですか。
まだまだ寒い日が続きますので、風邪などにお気をつけて過ごされてくださいね。

本日はブレゲの最高峰クラシックライン グランド・コンプリケーション ブレゲ トゥールビヨン
をご紹介致します。

ブレゲのトゥールビヨンといえば、シンプルな2針の丸いローマ数字文字盤で大きなブリッジの、有名なクラシックトゥールビヨンを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

それは1988年発表の手巻きのクラシックトゥールビヨンで、実は今現在ブレゲのトゥールビヨンは懐中時計も含め、12種類もあるんですよ。
今回ご紹介する自動巻きトゥールビヨンは2004年発表で、この年ブレゲはチタン製テンプの特許を取得、二年後の2006年にはシリコン製のひげぜんまいと脱進機機構を導入しています。

以前私がブログでご紹介した“グランフーエナメル”(「ブレゲの伝統と歴史の象徴 “ブレゲクラシック5178”」)の回でも触れましたが、時計の心臓部分であるひげぜんまいにシリコンを採用することで、磁気の影響を全く受けず、重力による変形がありません。
シリコンは腐食にも強く衝撃にも強い、万能の素材なのです。

1801年、フランス独自の暦の読み方“第9年メシドール7日”(共和歴といい、共和国誕生を記念して1792年から1806年まで使われていました)アブラアン-ルイ・ブレゲは“トゥールビヨン”の10年間の特許を世界で初めて取得します。
彼は人間のあらゆる活動に伴う重力こそ時計の敵であると考え、腕に装着をして姿勢が変わるごとに重力によって内部に変化が生じることに気付き、観察をしていたそうです。

そこで、一分間に一回転する稼働キャリッジの内部にテンプ、ぜんまい、ガンギ(最も重力の影響を受けやすい部品)を格納してテンプを回転させるという画期的な方法を思いつきました。
最初のトゥールビヨン(初めて商品化された)は、ブレゲの息子によって完成された1805年です。この発明は翌年のパリ国内博覧会で一般に広く披露されました。

水平でも傾いた姿勢でも、同じ精度を維持する時計のメカニズムとして紹介されたトゥールビヨンは、その他の時計師達や愛好家達にとって衝撃的かつ感動的な出来事で、現在も変わることなく人々を魅了し続けています。
製造が極めて困難な上、つくれる時計師がたったひとりだった故、発表年からアブラアン-ルイ・ブレゲが死去した1823年までに販売されたトゥールビヨンの数は僅か35個だったそうです。

今なお続く彼の後継者達は、この比稀ない卓越した技術を永続させつつ、新たな技術を生みだす為に日々研究しています。その成果は2013年、ついにブレゲ史上最薄7mmというトゥールビヨンを開発したことで明確になりました。

この薄さの秘密は、通常ムーブメントの上に来る扇形のローターを、ムーブメントの外周に双方向回転のU字型プラチナローターを配したことです。
従来のクラシックトゥールビヨンのパワーリザーブが50時間だったのに対し、最新型は80時間も備えています。


そして今回私がご紹介するトゥールビヨンは、なんと5日間ものパワーリザーブを備えているのです。

最新型のローターは細長いため、ギョーシェも少ないのですが、こちらは従来のサイズのローターです。
この裏蓋から覗くギョーシェの見事なことといったら・・・!

ローターにはブレゲの頭文字である美しく誇らしげな“B”、その縁を飾る月桂樹の葉。
月桂樹はギリシャ神話の太陽神アポロンの木とされ、その枝で編んだ冠を英雄に授けることから、栄誉という意味を持っています。

ブレゲの最高峰であるトゥールビヨンを飾るに相応しい模様ですよね。
これらのギョーシェは、熟練した時計師の手彫りによるものです。
一ミリの失敗も許されない、機械と手を使った緻密な究極彫金技術、まさに芸術作品そのものです。
機械を使った彫金は、100年以上も前に設計・製造されたギョーシェ彫り機を用い、金属板の上に10分の1mm単位でこちらも人の手で繊細な模様を作っていくのです。

ギョーシェはその場所により、さまざまな違う模様のものが組み合わされて完成されます。
鋲打ち(スタッド)と呼ばれる“クル・ド・パリ”、石畳のような“パヴェ・ド・パリ”、太陽の光のような“ソレイユ”、麦の穂をモチーフとした“バーリーコーン”(グレンドルジュともいうそうです)、
波模様の“ヴァーグ”、籠のような模様の“ヴュー・パニエ”、市松模様の“ダミエ”、炎をモチーフとした“フラメ”など、たくさんの種類があります。

今回ご紹介するトゥールビヨンは文字盤だけではなく、裏蓋ガラス周りに波模様の“ヴァーグ”を施し、地板にはペルラージュと呼ばれる円を組み合わせた美しい模様、そしてその他はほんの一握りの熟練の彫金師にしか成し得ない、惚れ惚れするような見事な手彫り彫刻が細かく施されています。

見えない機械部分にまで仕上げを施すこだわり、アブラアン-ルイ・ブレゲはもう二世紀以上も前から考え、実行していたのです。
単に美しさだけを求めたのではなく、彼が用いた模様にはすべて目的があり、目を楽しませることと、酸化と腐食をできる限り阻止することだったそうです。

現在では様々なブランドがブレゲの技法をお手本にして自身のオリジナルを加えて採用しています。

「ブレゲが時計の歴史を200年早めた」
ブレゲの時計や歴史の勉強をしていて、この言葉にただただ納得するばかりの私です。
さすが世界五大時計ブランド、ブレゲ。
このレアピース、是非みなさまに一度実際にお手にとっていただきたいです。


こちらは大切な顧客様からのご委託の時計です。
ご興味のある方は、私稲田まで一度ご連絡下さいませ。

現在、日本ではここエバンスにしかお目にかかることができない、大変稀少な一本です。

銀座にお越しの際は是非、ご覧になってみてください。
その美しさに感動していただけるはずです。
みなさまのご来店、心よりお待ち申し上げております。

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