今回のエバンスブログは、2020年12月の銀座エバンス店頭に並ぶ様々な中古ウォッチから7本を選んで、個人的なおすすめポイントをご紹介します。見るからにポイントというものもありますし、見逃してしまいそうな特徴もあったりします。
1本目のポイント:ふっくらガラス
(■ポルトギーゼ クロノ クラシック(IW390403)と定番のポルトギーゼ クロノ(青インデックス) ■12時位置の2本の時分針と青い秒針でクロノグラフの経過時間を示す)
1939年に誕生した初代ポルトギーゼに着想を得たというIWCの「ポルトギーゼ クロノ クラシック」。こちらは2017年頃に生産が終了した仕様となります。
クラシックというだけあり、シルバーの数字とレイルウェイ式&細かい目盛りの組み合わせで、雰囲気を醸します。そして、決め手はドーム型ガラス。ふっくらと大きめに盛り上がって往年の時計を思わせます。
68時間パワーリザーブで、ペラトン式両方向巻き上げの自社製自動巻きムーブメント(Cal.89361)を搭載、12時位置インダイアルに時針と秒針を同軸に配したクロノグラフ表示、3時位置の日付表示など、メカニカルな部分においても定番のポルトギーゼ クロノとは違うこだわった1本となっています。
→IWC ポルトギーゼ クロノグラフ クラシック IW390403
(42mm径、ステンレス、自動巻き、保証書(2015年)付き)
2本目のポイント:膨らみすぎたガラス
(■浮遊感のある文字盤 ■全体の厚さは20.2mm)
1955年創業のスイスブランド「コルム」。鍵のマークは「新たな扉を開く革新」といった意味があるそう。国際海洋信号機をモチーフとした「アドミラルズカップ」が代表モデルですが、本物の20ドル金貨を時計にしたりと、何かと個性的な時計を作ってきたブランドです。
こちらの「バブル」は2000年頃からのシリーズで、最近では様々なビジュアルの文字盤で少量限定モデルが各種作られています。なんと言っても、横から見た膨らみがすごい。1cmはあろうかという分厚いサファイアガラスは拡大鏡のようなゆがみが加わり、文字盤に不思議な立体感を与えます。重量感もあり、つい見入ってしまう感じは独特です。時分が大小の赤い○で示されているのも個性的です。
→CORUM(コルム) バブル マジカル 52 ゲーム 世界限定88本
(52㎜径、チタン(PVD加工)、自動巻き、箱・取説・限定証・未使用交換ベルト・保証書(2020年)付き)
3本目のポイント:色で仕様が違う
(■グレーと黒のツートーン文字盤が特徴 ■70330Nと70330Bはインデックスや針の仕様が異なる)
ロレックスの兄弟ブランド「チューダー」。2018年に日本に再上陸し、注目度が高まってきました。こちらは日本で「チュードル」と呼ばれていた時代の2010年に発表された「ヘリテージクロノ」。1970年代の初期クロノグラフを元にした復刻モデルです。現代的な42㎜サイズに自動巻きムーブメントを搭載、ツートーンの文字盤で雰囲気のある1本です。
こちらは黒、グレー(70330N)以外に、2013年に発表されたブルー(70330B)も存在します。ブルーは黒やグレーと針やインデックスの形状が異なります。黒、グレーは「ホームベース」と呼ばれた第一世代の機種(シリーズ7000)から、ブルーのほうは「モンテカルロ」と呼ばれた第二世代(シリーズ7100)に着想を得たものだとか。よく見ると雰囲気が異なりますね。
→TUDOR(チューダー/チュードル) ヘリテージ クロノ 70330N
(42㎜径、ステンレス、自動巻き、ブレスレット長さ 約20.5cm、箱・取説・保証書(2016年)・未使用NATOストラップ付き)
4本目のポイント:横スケ!
(■シースルーバックからムーブメントが見える ■サイド面の3時位置、9時位置に加え、12時位置、6時位置のガラス面からも中が見える仕様)
最近の機械式腕時計では標準的になってきた、透明ガラスの裏蓋「シースルーバック」。裏スケルトンやトランスパレントバックとも呼ばれます。複雑で美しく仕上げられた機械式腕時計のメカニズムを見ることができるのは魅力ではないでしょうか。ところが、このオメガ デ・ビル アワービジョンは、裏だけでなく「横」も透けているという驚きの個性派時計なのです。
この時計が発表された2007年は、オメガが一から自社開発を行ったコーアクシャルムーブメントCal.8500が初登場した年で、それを見せるための仕掛けだったようです。裏からのムーブメントの姿や、ダイアルのサークル状の模様に目を取られ、見逃してしまいそうな横顔ですが、そんなところに個性があったとは!という1本です。(参考:過去ブログ 「今さら聞けない『コーアクシャル』の常識」)
→OMEGA(オメガ) デ・ビルアワービジョン コーアクシャル 431.33.41.21.02.001
(41mm径、ステンレス、自動巻き、箱・取説・保証書(2011年)付き)
5本目のポイント:アラーム!
(■3時位置のインダイアルは秒表示 ■9時位置のインダイアルはアラームの設定時間)
人気のタグホイヤーから、直径40.5mmで程よいサイズ感の「アクアレーサー」。300m防水のダイバーズウォッチで、こちらはクォーツムーブメントを搭載したモデル。実はこの時計「アラーム機能」が付いています。
4時位置のプッシュボタンがアラームの設定ボタン。2秒以上の長押しでアラーム針が回転を始め、アラーム時刻を設定でき、短押しでは ON(ピピッ)/OFF(ピッ)を音で確認と設定が可能。アラーム音を聞いてみたところ、かわいらしい「ピーピー」という電子音。操作に慣れると日常の様々なシーンで活躍してくれそうです。
→TAG HEUER(タグ ホイヤー) アクアレーサー クォーツ WAY111Z.BA0928
(40.5mm径、ステンレス、クォーツ、ブレスレット長さ 約20.5cm、箱・取説・保証書付き)
6本目のポイント:さりげない名門感
(■アイボリー色の文字盤もいい雰囲気 ■小ぶりでシンプルな1本)
世界3大時計ブランドの名門「パテックフィリップ」。どの時計グループにも属していない世界最高峰のブランドです。レディースでは角型の「Twenty~4」が復活したのも今年2020年の話。
さて、こちらは1980年代後半に作られた手巻きのレディースウォッチ。ベゼルに小さなピラミッドが重なり合ったような「クルー・ド・パリ」は、カラトラバシリーズを象徴する装飾。サイズが21mmと小ぶりですが、よく見るとパテックフィリップらしい精緻な造形が施されているという、さりげない名門感がいい感じではないかと。そして、なかなか見かけないタイプの1本でもあります。
→PATEK PHILIPPE(パテック フィリップ) カラトラバ レディース 4596/00D
(21mm径、イエローゴールド、手巻き、保証書(1988年)付き)
7本目のポイント:深みある文字盤
(■ダイアルのマザー オブ パールが映える ■立体的なベゼル、大きめのリューズで操作性も良好)
300m防水の堅牢なケース、パイロットがグローブ着用時でも容易な操作ができるリューズやベゼルなど、ハイスペックで武骨な印象のブライトリング「アベンジャー」シリーズ。こちらは「日本だけの特別仕様」として、深いブルーのマザー オブ パールをダイアルに使用した43mmサイズのGMTモデルです。(アイボリーのマザー オブ パール文字盤も存在)
マザー オブ パールは真珠を作り出す貝の殻で、メンズのスポーツ系モデルでは珍しいダイアル素材。インダイアルのないすっきりとしたレイアウト上で、角度によって変わる色合いは、大空を見ているかのよう。このモデルのハードな印象とダイアルのエレガントさが、なかなかいいマッチングではないかと思います。赤いGMT針もいいアクセントになっていますね。
→BREITLING(ブライトリング) アベンジャーII GMT A3239011/C930 (A32390)
(日本特別仕様、43mm、ステンレス、自動巻き、ブレス長さ 約18.5mm、箱・取説・保証書(2018年)付き)
一期一会な中古ウォッチ
中古ウォッチ7本のおすすめポイント、いかがだったでしょうか?今回は7本それぞれの個性の一つをポイントとして紹介しましたが、様々な視点での見方や別の魅力も多々あるかと思います。今回の7本以外も中古ウォッチは随時入荷中で、それぞれに一期一会な魅力があります。銀座エバンスの店頭やオンラインショップで、じっくりご覧いただけますと幸いです。
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