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「妖艶な漆黒ゴールドレター ”ロレックス アンティーク エクスプローラーⅠRef.1016”」2018年3月27日

2018-03-27 20:00

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こんにちは、銀座エバンスの稲田です。
少し暖かくなって来ましたね。各地で桜が次々と開花し始めましたよ。
昼間は暖かいので、もう満開の所もあるようです。みなさん、お花見を楽しんでくださいね。

さて、本日はロレックスから大変稀少で文字盤コンディション抜群なヴィンテージ、
Ref.1016 エクスプローラーⅠのご紹介です。

エクスプローラーⅠの起源は1953年。当時ロレックス社は牡蠣の殻のように堅牢であることを意味するオイスターケースを主力とし、製造していました。
様々な場所に赴く探険家たちは、過酷な状況下でも耐えられる丈夫な時計を必要としており、ロレックスオイスターが不可欠な存在として選ばれていたというのは、その時代にいなかった私でも容易に想像がつきます。

はじめに、エクスプローラーを語るにはロレックスの名が世界に広まった瞬間の逸話をお伝えしなければなりません。
突然ですが、世界で一番高い山をみなさんご存知ですよね。
標高8,848メートル、なんと現在でも地震の影響などでまだ高くなり続けている山、エベレスト。
この美しくも険しい山に登ること、そして頂上に辿り着くこと、それがどれだけ危険で難しいことか我々には計り知れません。それまで多くの探検家達はこの山に魅了され、挑戦するものの天候や身体への影響で途中で下山を余儀なくされました。

1953年5月29日。世界で初めてエベレスト登頂を果たした人物がいます。
その偉大な人物の名はエドモント・ヒラリー卿とテンジン・ノルゲイ。彼らの腕にはめられていた腕時計がそう、ロレックス オイスターパーペチュアルだったのです。
エベレストを制覇したということは、月面着陸にも相当する凄い出来事で、イギリスのエリザベス二世は大いに喜び、隊員にはメダルを、ヒラリー氏へはナイトの爵位Sir(サー)の称号を授与されたほどです。

この歴史に残る偉業は、ロレックスという腕時計の精度と頑強さへの信頼をより一層高め、この年に発表されたエクスプローラーⅠはたちまち同社を象徴するモデルとして幅広く認識されました。

当時製造していたオイスターケースの中で最も頑強なモデルとしてのエクスプローラーⅠは、他ブランドが革ベルトの腕時計に力を入れていた時に金属のブレスレットを備えた腕時計を製作、そして何より特筆すべきはこの時代に、ねじ込み式のツインロックリューズを搭載していることです。
この機構は防水性を高めるための構造で、リューズとチューブにひとつずつパッキンを備えています。
ちなみに1970年頃には更に進化した三重構造のトリプルロックリューズが開発され、サブマリーナなどに搭載されています。


今回ご紹介するRef.1016のキャリバーは、Cal.1560、Cal.1570のハックなし(前期)・ハック付き(後期)の三種類存在します。現在エバンスにあるモデルはシリアルから1965年頃の製造のものと思われ、Cal.1570ハックなしを搭載しています。このキャリバーは、高精度と耐久性を兼ね備えたロレックスの傑作ムーブメントとして高い評価を得ており、20年以上も作られて採用され続けてきました。

ノンクロノメーターで、こちらも20年以上も活躍したCal.1520の後継機で、Cal.1570への最大変更点は精度を調整するための緩急針をマイクロステラスクリューへ変更したことです。

これは、テンプと呼ばれる時計の心臓部分の部品のひとつ、テンワに取り付けられた小さな2つのネジのことで、このネジを回すことにより進み遅れを調整します。この画期的な機構が長年採用された理由ですね。

Cal.1570は、1970年代に入るとハック(リューズを引くと秒針が止まる機構)付きへと変更になりました。そのため今回ご紹介するハックなしは、およそ10年程しか作られておらず、後程お伝えするミラー文字盤モデルという所が更に、稀少価値を高めているポイントなんですよ。


エクスプローラーの歴史を初代から少しお話します。(上記写真はロレックスHPより引用)
1953年からわずか一年間のみの生産、Ref.6350初代エクスプローラーⅠ。
現行のベンツ針はもちろんのこと、リーフ針やドルフィン針も存在し、文字盤も12だけが数字のもの、文字盤全体に格子状に模様の入っているもの、そして白いエクスプローラーなど様々な種類が存在します。
それと同時か少し後に登場するRef.6150、こちらもまた様々な種類が存在し、初代との違いはノンクロノメーターであることです。

初代6350はすぐに生産終了となりましたが、6150は次のRef.6610が発売されてからも生産されていました。6350と6150の発表時期が定かではないため、この6610がエクスプローラーⅠのセカンドモデルとされています。
こちらは、世界初の両回転巻上げ方式の自動巻きムーブメントCal.1030を搭載した始めてのモデルで、このモデルからベンツ針、12・3・6・9インデックスというスタイルが確立したとされていて、裏蓋もセミバブルバックからフラットバックへと変わりました。

そしてついに、今回ご紹介するRef.1016が登場するのですが、その前にRef.5500という激レアモデルのお話をしましょう。
実はこの型番はエアキングの型番なんですが、34mmエアキングケースにエクスプローラーの文字盤が入っているボーイズサイズのエクスプローラーⅠが存在するのです。
キャリバーは同じCal.1520ですので、ノンクロノメーターとなり”PRECISION”の文字が入っています。他に5504や5506などが存在し、すべて特定の国限定モデルとされています。
ほぼ出回っていないため、リダン(文字盤の補修をしてきれいな状態にすること)が非常に多く、フルオリジナルであればかなり高額での取引になるのではないでしょうか。


初代6350は残念ながらみつけることができませんでしたが、現在相場はRef.6150で400万円超え、Ref.6610は200万円を超えています。
1016に至っては年々上がる一方で、数年前から通常文字盤でも100万円を切ることはなくなりました。
通常モデルとレアモデルとの違いとは、文字盤です。
とりわけ人気が高く、レアなのはミラーダイヤル(ギルトダイヤルとも呼ばれます)で、これは1960年代後半までロレックスが採用していた黒い艶のある文字盤のことです。
また文字色ですが、後年の艶のないマットダイヤルが白なのに対し、ミラーの文字色はゴールドレターと呼ばれる金色です。

ミラーダイヤルは、経年劣化でクラック(傷やひび割れ)の入っているものが多く、そういう文字盤は価値が下がります。そしてミニッツサークルと呼ばれる分の刻みを丸く囲った文字盤となると、更に価値が上がります。(MMダイヤル=ミラーミニッツサークルダイヤルと呼ばれます)
他には6の下に大きめの丸い印が入っている文字盤、通称6下ドット、ミラーダイヤルの黒の色が経年変化で大変美しい茶色になっているトロピカルなど、ひとことでミラーと言っても奥深く、種類によって価値が変わるんですよ。

現在のRef.1016MM相場は、物によりますが400万円以上です。
MMに限らず、1016はもう作っていなくて、いい個体もどんどん減って価値は上がる一方です。
特に日本のコレクターが集め始めている傾向にあります。
少しでもご興味のある方、お急ぎ下さい。


現在、エバンスにある1016はミニッツサークルではないものの、クラックは見られず、少しだけトロピカルに近付いている本当に綺麗なミラーダイヤルです。
このままいいエイジングをしてくれればもっと価値が出ると思いますよ。
ケーススリキズやリベットブレスに多少伸びが見られますが、50年以上も前の時計と考えると全体的に素晴らしいコンディションを保っています。

気になられた方はまずは私までお問合せ下さい。
みなさまのご来店、心よりお待ち申し上げております。

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