ともに小さめ39mm~TUDOR(チューダー)「ぺラゴス39 Ref.25407N」と「ブラックベイ58 Ref.79030」違いを比較 2025年2月25日
2025-02-25 11:00
今回のエバンスブログは、「TUDOR(チューダー) ぺラゴス39 Ref.25407N」をご紹介します。デイト表示を排した3針で回転ベゼルを備えたダイバーズウォッチです。チューダーには、同様なスペックの人気作「ブラックベイ58(フィフティエイト) Ref.79030」も存在します。どこが違うのでしょうか?
(チューダー「ペラゴス39」Ref.20407N、チューダー「ブラックベイ58」黒 Ref.79030Nとネイビーブルー Ref.79030B)
今回の2モデルの概要
(今回の時計:ペラゴス39 (Ref.25407N) とブラックベイ58 (黒:Ref.79030Nとネイビーブルー:Ref.79030B))
今回の時計「ぺラゴス39(Ref.25407N)」は、2022年に発表されたチタン素材のスポーツウォッチです。通常の「ペラゴス」より3mm小さい「39mmサイズで200m防水」のダイバーズウォッチとなります。「ペラゴス(Pelagos)」の名前はラテン語で「海」を意味します。
もう1つのRef.79030は「ブラックベイ58」のステンレス素材モデル。2018年にブラック(79030N)、2020年にネイビーブルー(79030B)が登場。こちらも、通常の「ブラックベイ」より2mm小さい「39mmサイズで200m防水」となります。ちなみに、「58」は、チューダー初の200m防水ダイバーズウォッチ(Ref.7924)が誕生した「1958年」にちなんだものだそう。
ぺラゴス39とブラックベイ58は、同じサイズと防水性能のダイバーズウォッチで、ペラゴス39の方が2年ほど後発のモデルということになります。
ところで、「ロレックスの兄弟ブランド」と言われがちな「チューダー」ですが、どんなブランドなのでしょう。改めて調べてみました。
チューダー(TUDOR)の豆知識
(チューダーの公式サイトでは、商品紹介に加え、歴史や背景を紹介するコーナーも存在。 出典:公式サイト「Inside Tudor」 )
TUDOR(チューダー)の誕生は1926年。昔を知る方には「チュードル」の呼び名がなじみ深いかと思います。2018年の日本再上陸の際に「チューダー」という呼び名になりました。ここからは、箇条書きでご紹介します。
- ブランドカラーは、ブラック&レッド
- 価格感は、タグホイヤーとオメガの間くらいの印象
- ロレックスの創立者「ハンス・ウィルスドルフ」氏が構想
- 「ロレックスの技術を、より広く」、という意図だった模様
- ブランド名は、英国「チューダー」王朝の知名度を期待したものらしい
- 昔は「薔薇(ローズ)」マークだった(チューダー家の紋章で、気品や美しさを象徴)
- 1970年頃からマークは「盾」に(堅牢性と信頼性をイメージ)
オイスターケースなどロレックスの外装に、汎用ムーブメントを搭載したモデル等で、ロレックスの廉価版的な存在として知られていたチューダー(チュードル)。近年は、復刻ベースのデザインや独特な素材使いに、ムーブメントも自社化を進めるなど、独自の個性で存在感を高めています。
次章では、「ぺラゴス39」と「ブラックベイ58」を表で比較してみます。
表で比べます
※1「ヘリウムエスケープバルブ」は、飽和潜水という専門的なダイビングに対応したヘリウムガス排出の仕組み。「ぺラゴス」の主軸モデル(42mm径、チタン素材、500m防水 Ref.25600等)では、ケース9時側サイドにこのバルブを備えます。
※2「マスタークロノメーター」は、2015年にオメガとMETAS(スイス連邦計量・認定局)が制定した新しい品質基準。その中に「15,000ガウス超耐磁」の項目があり、チューダーにもこの規格をクリアしたモデルがいくつか存在します。
今回の2モデルの大きな違いはケースやブレスレットの素材。ペラゴス39のグレード2チタンは「純チタン」と呼ばれる純度が高いチタンです。チタンは軽量な素材のため、ペラゴス39はブラックベイ58より30gほど軽く仕上がっています。
次は「ぺラゴス39」と「ブラックベイ58」の外観を写真で見てみましょう。
写真で比べます
(「ペラゴス39」Ref.20407N、「ブラックベイ58」黒 Ref.79030Nとネイビーブルー Ref.79030B)
ブレスレット仕様でありながら約110gと軽量な「ペラゴス39」。その外観は、チタンのグレーに全体がマットな仕上げで精悍な印象です。グレード2のチタンはポリッシュ磨きが難しい素材ということもあり、ケースやブレス全体につや消しのサテン仕上げが施されています。「ブラックベイ58」はステンレス素材で、サテン仕上げとポリッシュ仕上げが使い分けられており、角度によって艶やかに反射します。
ダイアルは、ペラゴス39が少しつや感がある感じで、ブラックベイ58がマット仕上げのつや消しです。ペラゴス39の文字盤の6時側には「赤いモデル名」が入り、ポイントとなっています。
インデックスは、ペラゴス39が夜光とセラミック素材をブロック状に成型したフチのない角型。ブラックベイ58は金属のフチがある丸型です。ペラゴス39はベゼルの数字や目盛も、夜光で光り視認性に優れます。
針は、両機種ともイカ針(スノーフレーク)と呼ばれるチューダーならではの造形。ペラゴス39の針は白いフチで中央部分が黒い仕様となっています。ペラゴス39のほうが、針と夜光の一体感があり、すっきりとした印象があります。
次は斜めから。ペラゴス39は平面的なガラス風防、ブラックベイ58はドーム型のガラス風防となっています。ペラゴス39ではベゼルが厚く、ケースよりやや大きめです。また、ペラゴス39では分刻みがサイドの見返しリング部分に入っています。
ベゼルプレートは、ペラゴス39はセラミックで、ブラックベイ58はアルマイト加工が施されたアルミニウムです。ペラゴス39のベゼルはサテン仕上げが施されていて、グレーがかって見えます。
リューズは、ペラゴス39が盾のマーク、ブラックベイ39では往年の時計を思わせるバラのマークが入っています。また、ペラゴス39は、先がとがった形のリューズガードがついています。
今度は後ろから。ペラゴス39はブレスレットもチタン製で、やや長めのクラスプ部分に”T-fit”と呼ばれる簡単調整機構とダイビング向けの延長パーツが仕込まれています。ブラックベイ58では、ブレスレット側面に飾りのリベットが付いており、ヴィンテージ感を演出しています。
ムーブメントは、それぞれスイスクロノメーター認定(C.O.S.C)をクリアした自社製の70時間ムーブメントが搭載されています。
サイズ感や厚さはほぼ同じですが、細部を比べると、直線的でシャープなペラゴス39と、どこか懐かしい雰囲気のあるブラックベイ58の違いが、見えてきます。
精悍さ?ヴィンテージ感?
(腕回り16.5cmのスタッフが今回の2モデルを腕に乗せてみました。「この2本なら、ブラックベイ58の方が好みですが、チューダーの39mmサイズだと2024年新作の赤黒GMTが気になっています。」とのことでした)
ペラゴス39とブラックベイ58、いかがだったでしょう? ペラゴス39はプロフェッショナル向け本格ダイバーズモデルを「街も意識してライト化」したもの。ブラックベイ58は、同社の王道ダイバーズウォッチを「少し小ぶりに」仕上げたモデル、といったキャラクターの違いがあります。
ツールウォッチ的な「精悍さや軽さ」ならペラゴス39、「ヴィンテージ感や高級時計感」ならブラックベイ58といった感じでしょうか?
なお、ブラックベイ58は種類の多さも特徴です。素材違いでゴールド、シルバー、ブロンズが存在。赤黒ベゼルのGMTモデルも39mmに加わりました。さらに小さい37mmサイズの「ブラックベイ54(Ref.79000N)」もありますので、選択肢に入れてみてもいいかもしれません。
→TUDOR(チューダー)「ペラゴス39」
(25407N、39mm径、200m防水、チタン素材、70時間パワーリザーブ)
参考:過去ブログ
→ 「 案外違う。39mmと41mm「ブラックベイ58 ネイビーブルー 79030B」 2021年6月14日
→ 「見逃せないオールブラック「ブラックベイ セラミック 79210CNU」 2022年3月7日