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時計の文字盤などに使用されるメテオライトは本物なのか?意外と多い隕石の種類

2023-10-30 11:30

エバンス オンラインショップ担当の大貫です。

ロレックスなど、腕時計の文字盤に採用されているメテオライトですが、以前お客様から「隕石のように見える石を使っているんでしょう?隕石なんてめったに手に入らないじゃないですか~」といったご質問を受けたことがあります。おっしゃるように隕石は希少性が高く、一般には手に入れにくい印象がありますね。

しかしながら、実際に使用される隕石はもちろん本物です。

オンラインショップの販売も盛んで、数グラムから購入可能。全世界にインターネットがつながっている現在、入手は容易です。

ただ、ある程度の大きさになると途端に希少性が増します。広い宇宙のなか、地球に向かって飛来・大気圏に突入し、燃え尽きずに地表に落下。それを人間によって発見されるという、偶然が重なった奇跡の石。数グラムの破片ならともかく、石をスライスして文字盤サイズにできる大きさのもは、非常に貴重です。

メテオライトとは

ギリシャ語で空の上のものを意味する「meteoron」が語源とされるメテオライト。腕時計の文字盤に使われるのはオクタヘドライト型隕石。ニッケルを6~14%含む為『隕鉄』と呼ばれます。

雪の結晶の様な独特の幾何学模様は、『ウィドマンシュテッテン構造』と呼ばれるもので、隕石の生成過程で生まれるもの。およそ100万年という超長期間の冷却時間をかけて内部のニッケルが結晶化し、分離することでこのような模様か形成されます。切断した隕鉄を酸でエッジングし、研磨することで美しい模様が浮かび上がります。

格子模様が美しいウィドマンシュテッテン構造

現在このウィドマンシュテッテン構造は人工的に作り出すことが出来ない為、この模様自体が本物の証明とされています。

以下はウィキペディアによる「ウィドマンシュテッテン構造」の内容。

ウィドマンシュテッテン構造(ウィドマンシュテッテンこうぞう)は、鉄とニッケルを多量に含むオクタヘドライト型隕石(八面体晶隕鉄)においてみられる特有の構造のことである。

金属ニッケルの結晶が成長することによって形成され、カマサイトとテーナイトの帯状組織からなり、これらの組織はラメラと呼ばれる。

オクタヘドライト型隕鉄(八面体晶隕鉄)は6-14%程度のニッケルを含む。隕鉄の生成過程で数万年に1℃という非常にゆっくりとした速さで冷却されることで、ニッケルが結晶化し分離する。そのため隕鉄の起源が大きな母体天体の内部にあると予想する材料となる。

ウィドマンシュテッテン構造をもつ隕鉄を切断し、硝酸や塩化鉄などの酸[3]によるエッチングを行ったのち研磨すると、分離したニッケル結晶の特徴的な形状が観察可能となる。ニッケル結晶の大きさが数センチメートルにも及ぶこの構造は現在のところ人工的に作りえないため、存在の確認によって隕石が偽造品でないことの証明が可能である。

この構造の名は、オーストリア人の印刷業者・科学者、ベッカー=ウィドマンシュテッテンが1808年に発見したとされることから。ただし、実はウィドマンシュテッテンの発見よりも前の1804年にG.トムソンが発見し、フランス語の論文を発表している。

ウィキペディアより

腕時計との相性

基本、腕時計に使用されるメテオライトは鉄隕石のオクタへドライト。独自の幾何学模様が希少性を高めます。また天然石のため、同じ模様な1つとして存在しないことも魅力に一つです。

表面加工したメテオライトの硬度は、元の素材にもよりますが、硬いものではハイテクセラミックに匹敵するモース硬度9。耐久性も高いため腕時計との相性が良い素材です。

鉄隕石(オクタへドライト)の文字盤

オメガのスピードマスター(Ref.311.93.42.30.99.001)には、月の隕石を採用。月隕石は石質隕石のエイコンドライトに分類されており、特徴的な幾何学模様は見られません。

インダイアルに使用されている月隕石

隕石の分類

金属鉄 とケイ酸塩鉱物の比率で大きく3つに分類されます。成分など細かいところもありますが、簡単に案内したいと思います。

鉄隕石(隕鉄)

鉄隕石 (iron meteorite) は、主に金属鉄から成る隕石。

ニッケル含有比と構造から、ヘキサヘドライト (hexahedrite) 、オクタヘドライト (octahedrite) 、アタキサイト (ataxite) に大きく分けられます。

最も一般的なものがオクタヘドライト。およそ100万年という非常に長い時間の冷却によって生じる独特な模様「ウィドマンシュテッテン構造」が特徴。鉄・ニッケルが主成分。

石鉄隕石

全隕石のうち、僅か約1~2%と貴重な種類の隕石。石鉄隕石は、ほぼ同じ量の鉄・ニッケル合金と珪酸塩鉱物からなり、主にパラサイトとメソシデライトに分類されます。

石質隕石

石質隕石 は、主にケイ酸塩鉱物から成る隕石。球粒状構造のコンドルール があるコンドライトと、コンドールのないエイコンドライト に大きく分けられる。

コンドライトは未分化の天体、エイコンドライトは分化した天体の地殻やマントルに由来。月隕石、火星隕石などはエイコンドライトに含まれる。

隕石の産地

産地と言いう言い方が正しいか微妙なところですが、落下した隕石の場所が“産地”となります。

ギベオン(ナミビア)

もっとも有名なメテオライトの産地がナミビアのギベオン。ウィッドマンシュテッテン構造を持つ鉄隕石(オクタへドライト)は、ギベオン隕石とよばれ、1936年に初めて発見されました。太陽系ができた約40億年前にできたとされている隕石で、主成分である鉄、ニッケル以外に地球上に無い物質を含むとされています。ギベオン隕石の硬度はハイテクセラミックと同等で、表面研磨し、酸処理を行うことで「ウィッドマンシュテッテン構造」が現れます。

マンドラビラ(オーストラリア)

マンドラビラ隕石は、西オーストラリア州と南オーストラリア州を含むナラーバー平野で1911年に発見された隕石。ギベオン隕石と同様にウィドンマンシュテッテン構造を持つ鉄隕石です。

オデッサ(アメリカ)

1922年アメリカ テキサス州 オデッサの南西 エクター郡で発見された鉄隕石。鉄の割合が多いのが特徴です。

アグダル(モロッコ)

2000年にモロッコのアグダル地区に落下した隕石。鉄隕石であるものの、幾何学模様の無いヘキサへドライトに分類されます。ヘキサへドライとは、スライスし、酸で溶かすと「ノイマンライン」と呼ばれるストライプ模様が結晶面に沿って現れます。

シホテリアン(ロシア)

1972年2月12日、ロシアのシホーテ・アリン山脈に落下した隕石。落下の際に形成された凸凹したくぼみが特徴で、色は黒色、部分的に赤茶色。鉄隕石に分類されます。

隕石の魅力


基本、腕時計に使用されるメテオライトは、天然石としての審美性と希少性が魅力ですが、数ある隕石の内の1つです。

数千円からオンラインで購入できる隕石は結構身近な素材ともえいますが、上記の様に多くの産地があり、それぞれに特徴や歴史、発見までのエピソードなど、深堀すると沼落ちしそうなコレクターズアイテム。宇宙のロマンを感じる素材ですね。

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