ブログをご覧の皆様こんにちは、銀座エバンスの福永です。
本日はロレックスの歴史の中でも、大きなターニングポイントとなったモデルであるバブルバックをご紹介いたします。
バブルバックと呼ばれるモデルは、1930年代初頭から50年代中頃にかけて製造された防水性能を備えた自動巻きモデル、当時のオイスターパーペチュアルの愛称であり、現在では当たり前となった自動巻き腕時計の礎を築いたモデルと言えます。
左からRef.2940、Ref.3725、Ref.2940、Ref.3131、Ref.3064
では、これらの時計が何故バブルバックと呼ばれるにようになったか、それは裏蓋が泡(バブル)の様に膨らみを持った形状である事に由来します。
バブルバックの特徴である裏蓋については、機械を自動巻き化するにあたり、ベースとなる手巻きムーブメントに自動巻きローターを重ねた事で機械自体の厚みが増し、結果として裏蓋側に大きなスペースが必要となり膨らみをもった裏蓋の採用に繋がりました。バブルバック以降のオイスターパーペチュアルに関しては、現行モデルのオイスターシリーズに近いデザインに移行していき、 バブルバックはこの時代ならではの特徴を色濃く映し出すモデルであると言えます。
バブルバックが誕生する以前、ロレックスにおける機械式時計は手巻式であり、オイスターケースで既に防水性能に優れた同社の製品でしたが、更なる高みへと引き上げる機構こそが自動巻時計と捉え、ロレックスの製品として世に出すならば、それは極めて堅牢で実用性に秀でたものである必要がありました。
当時は様々なメーカーが次代の時計を目指し、自動巻き機構の開発に注力していましたが、それらの多くは巻上げの衝撃が大きく、手首の動きによっては、十分な巻上げが得られないなどの欠点を抱えていました。ロレックスにおいては、頻出する多くの欠点を排除すべく、自動巻きローターには半回転式では無く、巻上げ効率に優れた全方向回転の自動巻きローターを採用しました。
即ち、それは手巻の補助を必要最低限に、リューズ開閉操作の頻度を抑え、高い防水性能を備えるオイスターケースとの相乗効果により、革新的な自動巻き時計としてバブルバック(オイスターパーペチュアル)の誕生へと繋がりました。
バブルバックの人気・知名度はその前述のように、ロレックスにとってのターニングポイントとなる革新的なモデルとして、またロレックスの持つネームバリューによるところも大きいですが、やはり最たる魅力はバリエーションの豊富さに尽きます。
20年以上の長きに渡り製造され、様々なダイヤルデザインや、そしてケース素材・形状の多様さがもたらす、高い蒐集性を備えるバブルバックは、他のアンティークウォッチとは別格の存在とも言えます。
現在、エバンスにも複数のバブルバックがありますが、それぞれ、ユニークな特徴を備え、お手頃なモデルから、大変稀少なモデルまで取り揃えています。なかでも上の画像にあるバブルバックは、ローマ数字とアラビア数字が混在するユニークダイヤルかつ、スモールセコンドという希少性の高いダイヤルを備え、またダイヤルのコンディションもとても良好なモデルです。
アンティークウォッチは実に奥が深い世界に間違いありませんが、その実は腕時計という実用性のカタマリでもあります。先ずは、気になるモデルがありましたら気軽に手にとって頂き、その雰囲気をお楽しみ下さい。