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パネライ「PAM00669 ラジオミール フィレンツェトゥールビヨン GMT チタニオ」

2022-12-27 11:30

こんにちは、銀座エバンスの稲田です。
本日はパネライから「PAM00669 ラジオミール フィレンツェトゥールビヨン GMT チタニオ」のご紹介です。

ラジオミールとは

1860年、創始者のジョバンニ・パネライはイタリアのフィレンツェに時計店をオープン、このお店はフィレンツェ初の時計学校として、地元の若い時計師の育成に力を入れていたそうです。その後フィレンツェ内を転々とし、サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂(フィレンツェを代表する大聖堂:ドゥオモ)の横にあるサン・ジョヴァンニ洗礼堂前に移転、今現在もパネライ第一号店(「OROLOGERIA SVIZZERA」)としてパネリスティ達の聖地となっています。

一族は長年”イタリア海軍”に機器を納品しており、軍により視認性のいい物を求められてラジウム粉末を開発、計器や照準器などに塗布することで真っ暗な闇の中でも光を放ってくれるので、作戦に大いに役立ったであろうことは容易に想像できますよね。1916年に正式に特許を取得(同社初)。「ラジオミール」の誕生です。

1935年、パネライ社は初めて腕時計にラジウム粉末を採用、「ラジオミールRef.2533」これが初代ラジオミールです。この頃同社はなんとロレックス社製のムーブメントを搭載しており、Ref.2533はプロトタイプのため1本しか存在しない、(しかも二針と9時位置に秒針を配した三針の2パターンありそれぞれ一本ずつ)非常に稀少なマニア垂涎激レアモデルです。ちなみに、同社は先述したロレックス社の他、アンジェラス社やユニタス社といった有名なエボーシュを採用しており、完全自社製ムーブメントに切り替わったのは2005年のことです。

1940年に入り、ラジオミールのセカンドモデルRef.3646を製作。このモデルは初代の特徴を踏襲しており、直径47mm、クッションケース、12角形の裏蓋、12時と6時の細いベルトワイヤーループ、風防はプレキシガラス、初代との違いは、文字盤デザインとリューズです。初代Ref.2533の文字盤は「RADIOMIR PANERAI」の大きな文字、3・6・9・12時が棒状のインデックス、その他の時間がドットインデックスになっており非常にシンプルなデザインです。Ref.3646はブランドロゴ・モデルロゴを廃し、3・6・9・12時に大きな数字を用い、針は二本でやはりシンプルなデザインです。リューズは初代は円柱状なのに対し、二代目は円錐状になっていて現在のラジオミールがそれらの特徴を受け継いでいます。

どちらにも共通する点は、ラジウム塗料のインデックスを塗布した文字盤の上にインデックス部分をくり抜いた文字盤を重ねてサンドイッチ構造の文字盤を採用している所です。2022年現在もその技術と伝統を大切にしており、サンドイッチ文字盤はいろいろなモデルに採用されています。ラジオミールとは、パネライのはじまりの時計だったんですね。(上写真はPAM00425。初代モデルの特徴を忠実に再現しています)

フィレンツェとは

フィレンツェは、イタリアトスカーナ州、ミラノとローマの間に位置する花の都と呼ばれているキレイな街です。街全体が美術館と称される程美しい都市は、「メディチ家」との大きな関わりをお話する必要があります。

メディチ家とは、ジョヴァンニ・ディ・ビッチ・デ・メディチという偉大な人物が1397年にメディチ銀行を創設、そこから約20年でローマ、ナポリ、ヴェネツィアにまで支店を広げ、大銀行へと成長させます。最大の顧客はローマ教皇で、その利益で毛織物への投資を成功させ、その名声により政治への影響力も得てメディチ家は次第に大きな力を持つようになります。特筆すべきは芸術家を育てるべく、金銭的な支援(いわゆるパトロン)をしていたのがはじまりです。

ジョバンニの死後、子のコジモ、孫のロレンツォとその莫大な財力と絶大な力は引き継がれ、特にコジモの時代にメディチ家は大躍進。氏は、芸術だけでなく学問への支援援助、いわば人材育成にも力を入れており、彫刻家や建築家などの芸術家の他、医者や学者など、兆しの見える人物に惜しみなく住まいや資金を与えて育てあげ、「祖国の父」と呼ばれ皆に慕われて歴史に名を刻んだのです。

1737年、最後の女当主であるアンナ・マリア・ルイーザ・デ・メディチがメディチ家の財産と名声を守る為、 一般公開を条件にすべてを寄付しました。現在、ウフィッツィ美術館にある貴重な数々の芸術作品も、フィレンツェの象徴であるミケランジェロの作品”ダビデ像”もすべて、メディチ家の宝物であり、最後のメディチ家当主アンナのおかげで今現在も皆に大切にされているのです。

ちなみに町の至る所で見られるフィレンツェの紋章は、形が百合の花と似ているのですが実は「アイリス」というアヤメ科の花をモチーフにしています。私も一度だけフィレンツェを訪れたことがあるのですが、生涯忘れられない素晴らしい記憶です。この記事を書いていて懐かしく思い出しました。

そして、最大の特徴であるケースのエングレービングについてですが、先述したフィレンツェの紋章を、硬いチタンという素材に熟練の彫り師が「手彫り」で彫って仕上げているんですよ。(上下写真)これが本当に緻密で美しく、次のチャプターでお話するトゥールビヨンの動きと合わせていつまでも見ていられますよ。是非一度ご覧になっていただきたいです。

トゥールビヨンとは

世界三大複雑機構のひとつで、トゥールビヨンを搭載したモデルは一千万円を超える設定のものがほとんどです。世界三大複雑機構とは他に、ミニッツリピーター(時計に内臓されているゴングにより、美しい鐘の音で時刻を知らせてくれる機構)、パーペチュアルカレンダー(通常30日までしかない月は手動で時刻調整が必要だが、この機構により時計が自動で30日から1日に変えてくれる)があり、それぞれ非常に高度な技術の結晶による機構なので、これらを搭載しているモデルも大変高額なのです。

トゥールビヨンの歴史は古く、ブレゲの創業者である”アブラアン-ルイ・ブレゲ”が発明し、1801年に特許を取得。氏は様々な新技術を開発したすごい人物で、時計の歴史を二世紀早めたと称されています。実際、氏の没後腕のある技術者達が何度もトゥールビヨンの製作を試みましたが、腕時計に収まる小さなものを誰も作ることができなかったそうです。

トゥールビヨンとは、時計の心臓部分である「テンプ・アンクル・ガンギ車」と動力に必要不可欠な「ヒゲゼンマイ」を「キャリッジ」と呼ばれるかごの中にひとまとめにしたものです。このキャリッジは一分間に一回転という規則的な動きをするため、重力の影響を受けず精度を保つことができるというわけです。

トゥールビヨンには数種類あり、代表的なのは上写真のブレゲのクラシックトゥールビヨン。そしてブリッジを取り除き、まるで浮いているかのような”フライングトゥールビヨン”。また、エバンスには入荷をしたことがないのですが、キャリッジが球体になっており、動きを楽しむことのできる”ジャイロトゥールビヨン”などがあります。そして今回ご紹介するパネライのPAM00669に搭載されているのは、30秒毎に一回転する「3D(立体的な動きをする)トゥールビヨン」。(下写真)本当にいつまで見ていても飽きない素晴らしい体験ができますよ。

おわりに

いかがでしたでしょうか。今回はいろいろな視点からこのモデルを紹介致しました。歴史や仕組みを知って、実物を見ると本当に感慨深く、ますます魅了されます。

この記事をご覧になって少しでも気になられた方は、一度私までご連絡下さい。このモデルはどこを探しても見付からず、ここエバンスでしかご覧になることのできない大変稀少な一本で、当社の大切なお客様からのご委託品ですので、お早めにご連絡下さい。みなさまのご来店、心よりお待ち申し上げております。


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