ランゲ&ゾーネから見るドレスウォッチ人気の高まり
2022-08-16 11:00
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銀座エバンスの福永です。
高級時計に対する世間の関心は、ここ数年で着実に高まりを見せ、以前より人気の高かったロレックスやオメガなど誰しもが知るブランドはもとより、パテックフィリップやオーデマピゲなどが手掛ける、ラグジュアリースポーツウォッチもまた大きなトレンドとなりました。
しかし、ここにきて注目を集める時計があります。
それがランゲ&ゾーネをはじめとした、ドレスウォッチの数々です。
今回の話題は、注目を集めるドレスウォッチの筆頭である、ランゲ&ゾーネを取り上げてみたいと思います。
ドレスウォッチの新たな需要
ではなぜドレスウォッチに、いま注目が集まっているのでしょうか?
その理由は、ドレスウォッチを求める年齢層、そして着用シーンの変化からも見えてきそうです。
店頭でお客様と接していると、以前に比べドレスウォッチに興味を示される方、実際に購入される方の年齢が随分と若くなったな、と感じる事が多々あります。
そして、着用シーンについてもフォーマルな場面に限らず、比較的カジュアル装いにドレスウォッチを合わせて楽しまれる、そんな需要が徐々に増えてきていると感じられます。
以前のブログでドレスウォッチが広く受け入れられつつある、そんなお話をしましたが、今回はドレスウォッチが選ばれるきっかけや、理由を具体的に考えてみたいと思います。
見るべき点の多いドレスウォッチ
一言でドレスウォッチを言い表すと難しいですが、薄くシンプルなケースを持ち、素材もゴールドなど貴金属が用いられることが多い、上品な雰囲気を備えた時計、そんなイメージでおおよそ間違ってはいないと思います。
言うなれば、アクティブなデザインや機能を備えたスポーツウォッチの対極にある、多くの人々が漠然と思い描く時計そのもの、下の画像にあるような時計と言えます。
そして薄型のケース、2針あるいは3針などシンプルなデザインを持つドレスウォッチだからこそ、実は見るべき点が多いとも言えます。
多機能な時計に比べ、目に見える構成要素が少ないドレスウォッチは、ディテール一つ一つに自然と目が行きます。
それは仕上げの良し悪しが分かりやすい、またはバランスの取り方が難しい、作り手にとっては、シンプル故に最も難しいカテゴリーであると言えます。
そうのように、少ない要素で美しく仕上げられたドレスウォッチは、時計本来の機能をピュアに体現し、見るものの目を奪う存在となります。
ランゲ&ゾーネが支持される理由とは
細やかな造形や美しい仕上げを堪能できるドレスウォッチですが、時計に使われるパーツ自体はとても小さなもので、薄型のケース、繊細な針やインデックスの仕上げなど、子細に観察すれば、なるほどと感じる拘りの要素が散りばめらています。
しかし、実際には見るべきポイントを知らなければ、十分に楽しむことが出来ないこともあり、そこがドレスウォッチの面白くとも難しい面であると言えます。
やや敷居が高く難解に感じられるドレスウォッチですが、今回話題としたランゲ&ゾーネに関して言えば、時計を詳しく知らなくとも一見して良いものだと感じられる見栄えの良さを備えたモデルが多く揃えられており、それこそが幅広い層から支持される要因であると考えられます。
ランゲ&ゾーネの多くの時計では、ドレスウォッチとしてはやや厚みの感じられるあるシリンダーケースが採用され、カジュアルな装いにも合わせやすい雰囲気を持ち合わせています。
ベゼル、ケースサイド、裏蓋に繋がる一連の側面形状は一体感を感じさせながらも、異なる仕上げが施され平坦な印象を拭い、繊細でありながら力強い造形のラグもまたランゲ&ゾーネらしい要素と言えます。
ケースの見返しには細やかな筋目が施され、文字盤に関してもインデックスやミニッツサークルの精緻な印字、伸びやかなブルースチールの針はサークル外周にまで届き、そこからは無駄を削ぎ落した静かな世界が感じられます。
一方で、6時位置のスモールセコンドは一段下げられ、そこへ同心円状の装飾が施され、立体的なカンターウェイトを備えた秒針からは躍動感すら感じることが出来ます。
また、ランゲ&ゾーネの特徴の一つとして、力強い造形の尾錠があります。
他のブランドで見られるような華奢な印象の尾錠と一線を画すそれは、装着時の安定感と、時計を見ずともランゲ&ゾーネと一目でわかる特徴を備えています。
最良の選択はいかに
これまで、ランゲ&ゾーネが選ばれる審美的な側面をご紹介してきましたが、最後に時計業界における並行輸入あるいは二次流通市場で、ランゲ&ゾーネが選ばれる理由について見ていきたいと思います。
並行輸入や二次流通市場の原則として、やや乱暴な表現となりますが、その価格は需給のバランスにより決定されると言えます。
昨今メディアを賑わせるまでになった、ロレックスやラグジュアリースポーツなどの、爆発的な需要増加に伴う価格の急騰がまさにそれにあたりますが、言うなれば、プレミアム価格となったロレックスのプロフェッショナルモデルと同様の価格で、ランゲ&ゾーネなど所謂雲上ブランドの時計が購入できる状況となっています。
人気のスポーツモデルに対する需要と、ドレスウォッチに対する需要を同列に語ることは出来ませんが、価格相応のコストがしっかりかけられたドレスウォッチは美しく、その魅力は腕時計として普遍的なものであると言えます。
また、時計購入決定のポイントが価格だけに終始しては、嗜好品の極みとも言える高級時計の選択基準としては弱いですが、それらを相対的に比べた際の買い得感は計り知れないのではないでしょうか。
私自身、スポーツモデルも好きですがドレスウォッチにも興味があり、今回の記事を記しましたが、これからの時代においてドレスウォッチの需要は日増しに強くなってくるのではないかと強く感じています。
時計を選ぶ基準は千差万別ですが、今回の記事が皆様の時計選びの一助になれば幸いです。