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IWC「パイロットウォッチ・トップガン・ミラマー」

2022-02-15 11:30

こんにちは、銀座エバンスの稲田です。
本日はIWCから生産終了のレアモデル、パイロットウォッチ”トップガン・ミラマー”のご紹介です。

パイロットウォッチとは

1900年頃から始まった航空時代、パイロットにとって必要不可欠な時間を確認する手段は専ら”懐中時計”で、飛行に特化した腕時計なんて、当時考える人もいない時代でした。1936年、IWC社はパイロットのための世界初「スペシャル・パイロットウォッチ」を製作、1940年には直径55mmもの大きな腕時計の製造を開始し、これは「ビック・パイロットウォッチ」と名付けられました。

そして1948年、IWCのパイロットウォッチといえばコレというような、象徴的なモデル「マーク11」を発表(下写真)。一目で時間を確認できるシンプルなデザインの文字盤は、飛行機の操縦席の計器からインスピレーションを得たそうです。最初は英国空軍のために開発されたマークシリーズは、2022年現在「マーク18」まで出ており、70年以上ものロングセラーモデルとなっています。

1988年にはストップウォッチを搭載した「パイロットウォッチ・クロノグラフ」が登場し、1992年にはそのモデル名が非常に印象的な、スプリットセコンドと自動巻き機構を備えた「パイロットウォッチ・ドッペルクロノグラフ」が発表されました。そして今回の主役のトップガン・ミラマーにも採用されている、”ブラック・セラミック”を1994年にパイロットクロノに初めて採用、これは時計業界初の出来事で、今となっては普通に見かけるセラミックケースですが、当時はこの硬い素材の加工が極めて難しく、世界初の偉業はIWC社が先駆者だったんですね。

1998年には「パイロットウォッチ・UTC」が登場。UTCとはCoordinated Universal Timeの略称で、国際原子時と地球の自転に基づく世界時のズレを補正し、うるう秒で調整されている「協定世界時」のことです。
2003年には英国の伝説級の戦闘機「スピットファイア」シリーズの製作を開始し、2007年、今回ご紹介する「トップガン」コレクションが加わりました。このコレクションについては次のチャプターで詳しくお話します。
ここでは主要なモデルのみお伝えしましたが、機会がございましたら、他のモデルも詳細をお話したいです。

トップガンとは

米海軍戦闘機兵器学校の”戦術教育特別コース”のことです。そして、私を含めこの名称を聞いたことのある人は、1986年のトム・クルーズ主演映画「トップガン」のファンであるに違いありません。この戦闘機兵器学校での戦術訓練とは、戦闘機の起動の原理や基本戦術、武器の使い方はもちろん種類など基礎の座学をはじめとし、様々なシュチュエーションの飛行訓練を行ないます。

映画にも出てくる一対一の「ドッグファイト」訓練では、機体を手足のように思うままに操る技量が重要だそうです。そしてこの空中戦のパイロットは、最大9Gの重力加速度にさらされるため、15秒の間9G(約600kg)もの重力に耐えなければならないという、過酷な訓練も行なわれています。このような、一般人である我々には到底真似できない厳しい訓練課程を修了した人達が、最高最速のエキスパートパイロットとなるのです。

パイロット同様、超高速で飛行する機体や機器にも過酷で激しい負荷がかかるため、IWC社は「トップガン」の名を冠した腕時計も特別仕様で製作をしました。飛行中、反射してしまわないよう艶消し仕上げを施した”ブラックセラミック”ケース、軽量化を測るため裏蓋と尾錠、リューズとプッシャーに”チタン”を採用しています。重厚な見た目とは反して、驚きの軽さです。

ちなみにIWCのセラミックは、ケイ酸塩、酸化アルミニウム、炭化ケイ素などの多結晶粉末を基に、これらの粉末を様々な添加剤と混ぜ合わせた混合物を、大変な高温の炉で焼成、そうするとセラミックができあがるというわけです。しかし、このセラミックというのは焼くと非常に収縮するため、加工が難しく、IWC社では永い年月をかけて今ではチタニウム合金の”セラタニウム”、また、他ブランドにはない魅力的なサンドカラーのセラミックなどの開発に成功しています。1986年に同社世界初のホワイトセラミックを採用したタイムピース、「ダ・ヴィンチ・パーペチュアルカレンダー」は、時計愛好家垂涎のレアモデルです。(下写真)

今年2022年夏。待ちに待った続編「トップガン・マーヴェリック」が日本公開予定です。この記事を読んで、映画を観た時に一味違った感覚で楽しんでいただけたら幸いです。

ミラマーとは

前述した「トップガン」誕生の地、アメリカ・カリフォルニア州サンディエゴ近郊にある土地の名前です。ここにはミラマー海軍基地があり、かつて米海軍戦闘機兵器学校がありました。1996年に学校はネバダ州のファロン海軍航空基地へ移転し、現在ミラマーでは一年に一度、世界最大の航空ショーが開催されています。最大の見所は世界的に有名なアクロバットチーム、”ブルーエンジェルズ”のアクロバット飛行でしょう。私自身、テレビでしか見たことがありませんが、4機で菱形を作る”ダイヤモンド編隊”と呼ばれる飛行では、各機体との距離がまさかの50cmほどしかなく、その卓越した素晴らしい演技にはただただ息をのむばかりです。

IWCのミラマーシリーズは、1930年代から1940年代にかけて製作されていた歴史ある”甲板時計”(海軍が船の甲板で使用するために納品した時計のこと)のデザインを踏襲しており、5~55の数字が「分」を表し、インナーサークルの2~10の赤い数字が時間を表しています。また、日付表示は飛行機の操縦席にある高度計を想起させ、ベージュのインデックスと針、そしてナイロンストラップはミリタリースタイルを見事に表現しています。

同社は2012年をパイロットウォッチの年と定め、「トップガン」シリーズから新モデルが5型一挙に登場し、その中のひとつが今回ご紹介するミラマーです。クロノグラフ・ミラマーも直径46mmと大きめですが、このミラマーシリーズの中にビックパイロットウォッチと呼ばれるモデルが存在し、その名の通り直径は48.6mmもある大きな時計なんですよ。

大きさだけを聞くと、躊躇してしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、装着しやすいように素材を工夫し軽量化を図り、グレーに近いセラミックとマットグレーの文字盤は、時間を読み取るのを妨げません。特筆すべきは、光が反射しないようにサファイアクリスタルに”無反射コーティング”を施していることと、フライバック機能(リセットボタンを押すとストップウォッチの針が瞬時にゼロに戻り、すぐに次の計測を開始できるすぐれもの)搭載、軟鉄製インナーケースによる磁気からの保護、パワーリザーブは68時間の約二日半と、使う人のことを考えた秀逸設計です。

「パイロットウォッチクロノグラフ・トップガン・ミラマー」は、初代からの伝統の継承と、現代の技術と需要の融合モデルなのです。

おわりに

いかがでしたでしょうか。今回は、色使いも含めて控えめなモデルをクローズアップし、私自身IWCの良さを改めて感じた記事となりました。

映画の公開に向けて、お問合せが増えて売れてしまう前に、ご興味のある方は是非私までご連絡下さいませ。みなさまのご来店、お待ち申し上げております。

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