「TUDOR チューダー・ブロンズ」
2021-12-14 11:30
こんにちは、銀座エバンスの稲田です。
本日はチューダーのご紹介をさせていただきます。
みなさん、”チューダー”という時計メーカーをご存知でしょうか?まだあまり聞き慣れない方もいらっしゃいますよね。
今回の記事は、チューダーの名前の由来から歴史、少しのモデル遍歴も交え、お話を進めて行きたいと思います。
チューダーとは
ブランドのはじまりは1926年。 後に詳しくご説明しますが、ロレックスの創業者である”ハンス・ウィルスドルフ”が立ち上げたディフュージョンブランドです。そしてこの名は「チューダー朝」に由来しており、チューダー朝とは1485年、薔薇戦争に勝利したランカスター家系のヘンリー7世が創始した王朝で、イギリス絶対王政全盛期の王朝のことです。
チューダーのブランドロゴは、1926年から四度変更されており、最初の十年はTUDORの”T”の右上部分を伸ばしたシンプルロゴでしたが(上写真)薔薇戦争で戦ったランカスター家とヨーク家の家紋の薔薇にちなみ、1936年からの十年は薔薇の紋章の下にTUDORと書かれたロゴ(通称:盾バラ)、1947年からの二十年間は薔薇の周りの盾の囲みを失くし、薔薇のみのマークの下にTUDORと書かれたロゴとなり、1969年から2021年の現在に至るまで、今度は薔薇を廃して、シンプルに”盾”のみのブランドロゴへと変化を遂げました。なぜ、昔のモデルには薔薇のロゴが描かれているのかと質問をされたこともありますが、上記の理由からです。
また、三代目の薔薇のみロゴには、大きいサイズの薔薇と小さいものがあり、「オイスタープリンス」というロレックスで言うところのオイスターパーペチュアルの位置にあるドレスウォッチを製作していたのですが、このモデルのブランドロゴにこの大小が存在します。大きいロゴの方が「通称:デカバラ」(上写真)と呼ばれ、愛好家の間で高い評価を得ており、市場価格は高くはありませんが、私自身も好きなモデルのひとつです。ちなみに、小さいバラロゴは「コバラ」と呼ばれており、次にお話するチューダー・サブマリーナではこのコバラが人気だそうです。
そして、1954年に同社初のダイバーズウォッチ、”オイスタープリンスサブマリーナ”を発表、その後の1969年には特徴のある短針と、真四角のインデックス文字盤を採用した文字盤へと変貌を遂げ、それまでロレックスのサブマリーナに酷似していたチューダーのダイバーズウォッチが、初めてひとつのチューダーというブランドであることの誇りを表現したようなモデルを作ったのです。(下写真)
2021年現在でもこのデザインを大切にしており、チューダーというブランドの象徴とも言えるモデルへと進化しています。ロレックスで言うところの「ベンツ針」を、まるでイカのような短針(通称:イカ針)に変更。このデザインは「イカサブ」と呼ばれ、現在でもチューダー及びチュードル愛好家達の間で絶大な支持を得ています。
そして、今回ご紹介する”ブラックベイ”にもこの特徴のあるイカ針(正式にはスノーフレークという名称です)を採用しており、他モデルとは一線を画し一際目を惹くデザインとなっております。ちなみに、前述したイカサブの特徴(イカ針と真四角のインデックス)を踏襲した現行モデルは「ペラゴス」という名を冠しており、チュードルのダイバーズウォッチとして作られています。(下写真)このクォリティで定価は40~50万円台と、創業当初からの理念を変えることなく、いいものを今もなお作り続けているチューダーというブランドに、敬服致します。
チュードルとは
”チュードル”。この名前は、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。冒頭でも少し触れましたが、チュードルはロレックスのディフュージョンブランド(ブランドの価値や特徴を保ちつつ、普及を目的として安い価格で提供される商品ブランドのこと)とよく言われますが、それもそのはず、ロレックスの創業者「ハンス・ウィルスドルフ」が創った会社なんです、チュードルとは。
氏の言葉をそのまま引用すると「私は何年もの間、ロレックスの技術と信頼をもって、確固たる品質と先駆性を備えた腕時計を創りたいと思ってきた。その価値ある新しい腕時計を製造・販売するために、私は新たに”チューダー(チュードル)ウォッチカンパニー”という会社を立ち上げることにした」
細かくお伝えすると、1926年に代理の方がブランド名を商標登録後、ジュネーブで会社を設立、そして我らがハンス・ウィルスドルフ氏が、独占的使用権を取得したというわけなんです。
そしてチュードルとは、まさに「チューダー」のことで、チュードルは今現在50~60代の方々の若い頃に大流行した腕時計ブランドです。その頃日本に代理店がなく我々のような並行輸入店、または海外にしか取扱いのないレアなブランドで、皆がこぞってロレックスを持っている中、廉価版ではありますが一味違ったロレックスに似た腕時計を買うというのがカッコイイ時代だったのです。その方々が「TUDOR」をそのまま「チュードル」と読み、広まっていったというわけです。(上写真:1990年代のチュードルサブマリーナ)
そして2018年に時計愛好家待望の日本初上陸を果たし、2019年秋に銀座に代理店がオープン、今年11月には同じ銀座内に内装を一新したブティックが移転オープンして話題を呼びました。
そしてそれがなぜ今の呼び名、「チューダー」になったかというと、 2018年のチュードル日本上陸の際、我々がよく知るチュードルという名ではなく、チューダーという名前で広告を打っており、あ、これが現在のチュードルのコンセプトなんだと感じたのを改めて思い出しました。
チュードル = チューダー。今日では若い世代にも注目をされているブランドへと成長し、若い方々はもしかしたらチュードルという名を逆に知らないかもしれませんね。
ブラックベイフィフティーエイトとは
今回ご紹介するチューダーを象徴する時計(アイコニックウォッチ)のモデル名は、同社初のダイバーズウォッチRef.7924が発表された1958年に由来しています。(上写真)
このはじめてのダイバーズウォッチは「ビッククラウン」と呼ばれ、こちらもまた同社で初めて取り付けられた直径8mmの大きなリューズが特徴で、特筆すべきはこのリューズガードのないビッククラウンと、腕への収まりのいい39mmというケースサイズです。
これは1950年代に、初の200m防水ケースに上記の特徴が備わったモデルを発表したのですが、そのすべてを踏襲して現代風にアレンジしたモデル、それがブラックベイフィフティーエイト(58 = Fifty-Eight)なのです。
そして満を持してご紹介する、”チューダー・ブラックベイ・フィフティエイト・ブロンズ”は、チューダーブティック限定で、通常モデルのインデックスは○▽□で構成されているのですが、ブロンズモデルにのみ数字の3・6・9が加わり、まるでロレックスのエクスプローラーⅠのような特別感溢れるモデルとなっております。
EXPⅠ+イカ針+ブロンズ。赤みがかった金色に相応しい、ブラウン文字盤とベゼルの組み合わせがこの上ないプレミアム感を演出しており、腕に乗せた時の重みと相まって他モデルとは違う満足感・優越感に浸れること間違いなしです。
気になるブロンズ(青銅)という素材の経年変化ですが、チューダーのブロンズはアルミニウムを組み合わせているので、10円玉のようにすぐに真っ黒になってしまうことなく、装着する人の過ごす環境によって少しずつ色が変化して来ます。一緒に年を重ねることが目に見える腕時計。大海原へ出る海軍達が夢を持って航海していたみたいに、とてもロマンのある腕時計ですよね。
このブログ記事を読んで気になられた方は是非、このレアモデルを一度お手にとってみて頂きたいです。
おわりに
いかがでしたでしょうか。今回は主にフィフティーエイトにスポットを当ててお話しましたが、チューダーには魅力的なモデルがまだまだたくさんあります。また入荷をしてご紹介できる機会があれば、その他のモデルのお話もさせていただければと思います。
近年、ロレックスがますます入手困難になる中、時計愛好家達はチューダーに目を向け始め、特に人気のブラックベイはプレミアムが付きはじめています。値が上がり過ぎて手に入らなくなる前に、お早めにいらっしゃって下さい。
みなさまのご来店、心よりお待ち申し上げております。