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伝統に忠実な時計づくりを今もなお「”チューダー クロノタイム”」2019年3月5日

2019-03-05 18:26

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こんにちは、銀座エバンスの稲田です。
ようやく暖かくなったと思ったら雨が続き、まだまだ寒いですね。
花粉も多くなる季節ですので、お出掛けの際はケアを忘れずになさってくださいね。

さて、本日はチューダーから”クロノタイム”のご紹介です。


2018年10月、”チューダー”というブランドが日本に上陸しました。
時計愛好家であるみなさんはもうお分かりですね。1970年代~90年代には普通に日本に輸入されていて、エバンスでも見かけました。その頃は「チュードル」の名で親しまれていたあの懐かしのブランドです。
この頃から”通”な感じでチュードルをチューダーと呼ぶ方はいましたが、昨年正式に日本での呼び名を「チューダー」と発表、現在正規取扱店として東京では三箇所、大阪・名古屋を入れて計六箇所オープンしています。現行のチューダーはブラックベイというダイバーズウォッチを主力に、様々なバリエーションを展開しています。

今回ご紹介するクロノタイム、そしてロレックスでいう所のデイトジャストに似たプリンスシリーズなどは生産終了していて、特に一部のクロノタイムは価値が出始めています。このクロノタイムというモデルは実はロレックスのデイトナのディフュージョンモデルで、今回ご紹介するシルバーに黒目玉は6263シルバーを彷彿させますよね。後程詳しくチューダーとロレックスの関係をご説明しますが、4桁のデイトナが人気も価格も高騰しているために、似た文字盤のクロノタイムが注目されているというわけなんです。


チューダーのはじまりは1926年、腕時計ディーラーのヴーヴ・ドゥ・フィリップ・ヒュンターという人物が、我らが敬愛するロレックスの創始者、ハンス・ウィルスドルフ氏の代理でチューダーの名を商標登録、ジュネーブで会社を設立したところから始まります。
初期のチューダーのロゴは、”T”の上の棒が右に長く伸びたシンプルなものでしたが、10年後の1936年、ハンス・ウィルスドルフ氏へ会社を譲渡した際に、私達もよく知るバラのロゴが入るようになりました。
これはチューダー朝の紋章から着想を得たモチーフで、チューダー朝とは1485年のバラ戦争に勝利して即位したヘンリ7世が開いた王朝のことです。チューダーは当初からメンズ・レディースウォッチを製作しており、レクタンギュラーやトノー型の腕時計を主に作っていました。

チューダー創業当初から、同氏はロレックスの技術と信頼を兼ね備え、確固たる品質と先駆性を備えた腕時計を創りたいと考えていたそうで、第二次世界大戦直後の1946年、氏は事業拡大のため”モントレチューダー社”を設立しました。1948年にはロレックスとの繋がりを明確に示した大々的なチューダーの広告を展開、メンズだけでなくレディースも豊富に取り揃えていることや、素晴らしい防水性・精度を持っていることを強調したキャッチコピーで打ち出しました。


1952年、新しいモデル「プリンス」を発表した際、ハンス・ウィルスドルフ氏は「他のいかなる時計にも使うことを許さなかったロレックスの二つの強み、オイスターケースと自動巻きパーペチュアル機構(ローター)を採用することにした。これまでロレックスだけに限定されてきたこの二つの並外れた機能を備えたチューダーは、我々の信頼度を示すもので私はこの製品を推奨できることを誇りに思う」と語っています。(上写真参照)

現に、今回ご紹介するクロノタイムのリューズには、ロレックスの王冠マークが入っており、一部のアンティークチューダーにはロレックスの名前を冠しているモデルもあるそうです。前述した通り、ロレックスの創業者が自信を持って販売に当たっていた時計、それがチューダーというブランドなのです。


1954年には同社初のダイバーウォッチ、”オイスタープリンス サブマリーナ”を発表、ロレックスのサブマリーナと同じく、初期モデルは100m防水だったのが後に200mへと改良され、わずかにディテールを変化させながら進化し、1968年まで製造されました。この頃のブランドロゴは大きなバラの下にTUDORの文字でした。(上写真左)

翌年の1969年には第二世代の本格的なサブマリーナの製造を開始、それまで針はペンシルまたはベンツ針でしたが、スノーフレークと呼ばれる特徴的な針を採用したサブマリーナが誕生、これは今や伝説となって語り継がれている稀少なアンティークで、日本ではその針がイカに見えることから”イカサブ”の愛称で親しまれています。(上写真右)そしてこの時代から、チューダーのブランドロゴはバラではなくなり、堅牢と信頼の象徴である盾へと変化、2019年現在まで採用されているブランドの誇りのひとつとなっています。

そして前述した現行モデル、ブラックベイはこのイカサブにオマージュを込めたモデルで、すべてのモデルにイカ針が採用されています。現在、リューズはロレックスではなくなりましたが、当時のバラロゴの大きく彫ったものになっており、チューダーは創業から約100年、今なお伝統に忠実に時計製作を行っているメーカーなのです。

チューダー初のクロノグラフは第二サブマリーナ誕生の翌年1970年に、2カウンターのクラシカルな文字盤に、鮮やかなオレンジのクロノ針と5~60の数字、五角形のトリチウムもオレンジ色で下地はグレー、インダイアルは黒で台形という斬新なデザインの「オイスターデイト」という名で登場しました。(上写真左)そして現在もやはりこの初代クロノグラフにオマージュを込め、忠実に再現されているモデル”ヘリテージ”コレクションを製作しています。ブラックベイもヘリテージも、こういう背景を知って改めて時計を見ると、新たな視点で良さを再確認できますよね。

そして1976年、今回ご紹介するサードシリーズクロノグラフ「オイスターデイト・クロノタイム」を発表、正式には”ビック・ブロック”という名称で、ケース形状がステンレスを大きくくり貫いた塊であることからこの名が付いており、日本ではイカサブに続き、”かまぼこケース”という愛称で親しまれています。(上写真右)
1989年から僅か数年の製造のRef.79190は、プレキシガラス製(プラスチック風防)で、1995年にはサファイアクリスタルへ変更となっており、ムーブメントは知る人ぞ知る”バルジュー7750”を搭載しています。このムーブメントのお話を少ししますと、バルジュー7750は1973年製で、バルジュー社という傑作クロノグラフを次々と生み出していったエボーシュ(ムーブメントの部品メーカー)の最高傑作と言っても過言ではありません。なぜなら、このバルジュー7750は数々の有名なブランド、オメガやブライトリング、IWC、パネライ等の名門が1970年代にこぞって採用した素晴らしいキャリバーだからです。


というのも、量産されていたためにコストが安く、耐久性や精度のバランスが優れており、何よりクロノグラフのプレート、針のプレート、日付のプレートという風に三層が組み合わさっている構造になっているため、各社独自にカスタムがしやすいのです。

どうしてもムーブ自体に厚みが出るために、時計本体が分厚くなってしまうというデメリットはありますが、だんだんと年数が経つにつれ古きよきものになって来た今、この厚みだからこそ私はこの時計に大きな魅力を感じます。現在、2mmという驚愕の世界最薄機械式腕時計が存在しますが、時代を感じる分厚い時計も素敵だと思いませんか?
前にお話した1970年から1980年にかけてのクォーツショックで大打撃を受けてしまった機械式時計メーカー達の救世主、それが”バルジュー7750”なのです。(上写真参照)



このモデルは生産終了しているためこれからも価格は上がり続けていくと思います。
なんといっても、ロレックスのリューズと裏蓋の「ORIGINAL OYSTER CASE BY ROLEX GENEVA」の刻印が稀少性を際立たせており、前述した6263を彷彿させる文字盤が価格高騰の要です。

1996年、チューダーが創業50周年を迎えるにあたり、時計市場で名が広まったと確信した同社は徐々に時計本体のロレックスの刻印をなくしていきました。2000年頃には完全にチューダーのみの名とロゴのモデルを製作、独自のブランドとして確立しています。ただし、ロレックスとの繋がりが途絶えたわけではありません。なぜなら今現在、アフターサービスはロレックスで行っていただけるのですから。

まだまだ語りつくせないチューダーの魅力、みなさま是非一度実物をお手に取って実感していただきたいです。
気になられた方はまずご連絡ください。
みなさまのご来店、心よりお待ち申し上げております。

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