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腕時計の『防水性能』について。~気圧防水とm防水の違い~

2020-10-13 11:00

皆様の愛用している腕時計の天敵と言えば何が思い浮かぶでしょうか。

衝撃や磁気に水など、気付かぬ内に時計にダメージが、、、なんて事もありますよね。精密な機械ですから繊細な扱いが必要になる事は間違い無いのですが、出来る事なら永く愛用したいですよね。

磁気は目に見えず、分かりづらいことも多いです。一方で水や衝撃はある程度気を付けることが出来ると思います。

今回は腕時計のスペック上でよく目にする防水性能について調べてみました。ご一読頂ければ幸いです。

防水の重要性

まずは腕時計における防水の重要性についてです。

腕時計は本来水にとても弱いものになります。水が機械内部に入ってしまうと内部パーツが錆びてしまい、様々な故障を引き起こします。その様なトラブルを未然に防ぐため、防水性能があります。

皆様の愛用する腕時計は日々着用する方もいれば、休みの日にしか着けない方もいると思います。しかしどの様な着用頻度であれ、生活をしている以上水が掛かってしまう場面は出てくることでしょう。

例えば洗面台で時計を外さずに手や顔を洗ったり、雨に降られてしまったりと予期せぬ場面でも水が掛かってしまう状況があります。

水が時計の中に入ってしまったことをイメージしてみると、内部で様々な異常が生じるなど想像できると思います。

水が入り、内部で蒸発してしまうと風防内部に曇りが発生します。その様な状態になると針や文字盤が水分により腐食してしまいます。

そのまま放置をするとオーバーホールが必要になり、高額な修理費用が掛かることになりますので、一刻も早く対処せねばなりません。

よって、時計を選ぶ際にはぜひ防水性能にも着目したいですね。

防水時計

防水時計の中にも種類があり、大まかには「日常生活防水」や「日常生活強化防水」「潜水時計(ダイバーズウォッチ)」に分かれます。どの程度の防水性能なのか、またどういった意味合いがあるのか知らない場合、そのまま水場で使用してしまうと故障してしまう可能性もあるので気を付けましょう。

①日常生活防水(2~3気圧防水)

日常生活防水とは、一般的には2~3気圧防水の事を言い「普段の日常でかかることの予想される水」に対しての防水性です。

例えば雨が降ってきた際に少し濡れてしまったり、洗顔の際や汗をかいてしまったりといった場合が予想されます。水滴が付く程度に対してのものと考えておいた方がよいでしょう。

よって、海に入ったり川遊びをしたりといった事は避けましょう。

②日常生活用強化防水(5~20気圧防水)

日常生活強化防水とは5気圧防水から20気圧防水までがあり、より強い防水性能を備えた時計になります。その為、水の使った作業をすることが出来ます。

例えば、5気圧防水の時計であれば水に触れることの多い仕事(漁業・農業・飲食業など)をされる方にお使いいただけます。

10気圧や20気圧防水にまでなると、水上スポーツ(水泳・ヨット・つりなど)にも対応出来ます。しかし潜水には適していないので潜ることは避けたほうが良いでしょう。

③潜水時計(ダイバーズウォッチ)

こちらは所謂「ダイバーズウォッチ」と呼ばれるものですね。プロのダイバー向けに作られているものが多く、ロレックスではサブマリーナ、オメガではシーマスターダイバーなど有名なものが多いですね。

潜水時計は二種類定義され、「空気潜水時計」と「飽和潜水時計」に分かれます。JIS及びISOに基づいた防水性能では、どちらも時計を着けたまま潜水が出来るという点があり、時計に表示されている水深まで潜る事が出来ます。

主に200m以上から1000mや、中には3000mを超える物まであります。

また潜水時間、減圧時間を計ることが出来る回転ベゼルを備えている事も特徴になります。

プロフェッショナル向けの時計になりますので時計として頑強に作られており、スペックは充分なものが多いのが特徴です。

10気圧防水と100m防水の違い

こちらは勘違いをする方も多い問題です。「10気圧防水=100m防水」と意味合いは同じようなものに聞こえますが、正確に言うと同じではありません。

10m潜ると1気圧腕時計に負荷が掛かります。よって100m潜ると10気圧の負荷が掛かるというのは間違いではありません。

仮に10気圧防水であれば、100mまでの防水に耐えられることを意味しています。これだけ聞くと100mもの防水性があるなら水場での使用も大丈夫と思いがちですが、そのまま100mまで潜れるかというとそうではありません。あくまでも静止した状態の場合です。一方で○m防水時計の場合は〇mまで潜水をした場合でも耐えられる造りになっています。

気圧防水は時計が静止した状態で水の中に入れた場合に「耐えられる」という意味になります。同じ環境下でも動いて作業をすると、それ以上の水圧が掛かり場合によっては耐えられないのです。

使用上、気を付けたいポイント

では、防水性能を持つ時計は水に無敵かというとそうではありません。優れた防水機能を持った時計といえど、水が致命的となる事は事実ですので使用する上で気を付けたいポイントがいくつかあります。

①水が付着したままでのリューズ操作

これは案外やってしまいがちかもしれません。ダイバーズウォッチをお使いの方であればその高い防水性から時計への信頼が厚く、水が付着したままでうっかりリューズを開けて操作なんて事も…

しかしこれには気を付けたいところです。リューズは機械内部と直接繋がっている構造を持つため、リューズから水が伝わり内部に侵入してしまう可能性があるからです。

海水などが入ってしまうとたちまちムーブメントは錆びてしまいますので恐いですね。リューズ操作をする際には、必ず水は拭き取ってから使用したいものです。

また、リューズが開いた状態で使用することも「非防水」の状態になってしまうので気をつけましょう。

②お風呂場でのお湯の使用

腕時計には機械内部に水の侵入を防ぐため、パッキンというゴム製素材のパーツが風防とケースの間や、裏蓋とケースの間に使われています。

パッキンとは水漏れ防止の為に作られた輪っか状のゴムの事で、主に水道の蛇口のつなぎ目などを塞ぐ役割として用いられています。腕時計にも気密性を保つ為に使われています。

しかし熱に弱いパーツになる為、お湯などの熱いものが掛かった場合に変形してしまう可能性があるのです。

そうするとパッキンが本来の役目である水や汚れを防ぐ事を果たせなくなってしまい、水が中に入り込みやすくなってしまいます。

また、シャワーなどの場合は思っているよりも水圧が高く、時計の耐水性能を超えてしまうことがあるので注意したいですね。

③海やプールでの使用

ダイバーズウォッチをお持ちの方であれば愛用の時計と一緒に海やプールに行きたいと考えたことがあると思います。

しかし、機械式腕時計は精密です。海やプールなどでは飛び込んだり泳いだりと時計には予想以上に負荷が掛かる事になります。

そうした場合、やはり時計の耐水性能を超えてしまうことに繋がるので水場での使用というのは避けたほうが無難です。

④水が入ってしまった場合は直ぐにオーバーホールを

しっかり気を付けていても、どうしても入ってしまう事もあるかと思います。ここで重要なのが直ぐにオーバーホールに出すことです。

水が入ってしまいそのまま放置をしてしまうと錆びや汚れの原因となり、内部不良が起こります。やがて機能面に多大な影響を及ぼし、時計が止まってしまうなんて事も。

海水の場合には特に金属を錆びつかせやすい為、特に注意が必要です。

まとめ

水場での使用には細心の注意を払いたいところです。少し高い防水性能になってくると油断しがちな場面が出てくると思います。

防水性能を超えてしまう水圧が掛かる場合ではその機能も効果なしです。

そもそも機械式腕時計は水や衝撃、磁気といったものに弱く繊細な扱いが必要となります。高級品だからといってどの様な状況でも壊れないという訳ではありません。

高額な時計程複雑な機能を搭載していたり、宝飾品を使用していたりと高いなりの理由があります。精密な機械であり、100個以上ものパーツが合わさって動いているので特に扱いには気を付けたいものです。

防水性能がある時計は数値的に目に見えるものなのでイメージがしやすいものと思いますが、防水性能の正しい意味を知らずに使っている方も多いのではないでしょうか。

普段何気なく使っている時計ですが、防水の知識を知ることで愛用の腕時計をより永く使えるでしょう。

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