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GMTマスター徹底比較!① 

2020-11-24 11:30

こんにちは、銀座エバンスの稲田です。
今回は5桁のGMTマスターをステンレスモデルに絞って徹底比較してみたいと思います。

GMTマスターとは

1955年、飛行機が旅客用のジェット機として普及し始めた時代、当時最も有名だったアメリカの“パンアメリカン航空”、通称:パンナム社により依頼を受け、パイロットのための腕時計を開発したことからはじまります。

初代Ref.6542から赤と青の二色使いのベゼルが採用され、昼夜を瞬時に見分ける工夫がされていました。この手法は最新であるRef.126710にも採用されており、見た目やデザインを大きく変えることなく、65年経った今も色褪せることなく際立っています。

初代のベゼルはプレキシガラス(ベークライト)製、次にアルミニウム製となり、現行はハイテクセラミック製へと進化しています。その時代、時代に合わせた最新技術を用いて製作した意欲作、それがGMTマスターなのです。

Ref.16750とは

1980年〜1988年まで製作された、前作Ref.1675の次の第三世代モデルとして登場した最初の5桁のGMTマスターです。
発売当初は夜光塗料のトリチウムを文字盤上に丸く塗ってインデックスとした、“フチなし”文字盤でしたが、後期はそのインデックスをホワイトゴールドで丸く縁取ったフチありに変更され、現在ではフチなしにプレミアムが付いています。

前作との大きな違いはキャリバーで、19,800振動のロービートCal.1570からCal.3075の28,800振動のハイビートへと変更、Cal.3075には日付の早送り機能も付加され、より高い精度が出るようになりました。それに伴い、防水性も50mから100mへアップ、ブレスレットも最初からハードブレス設定となりました。

風防がプラスチックであることで、5桁モデルですがアンティークとして区別されており、特にフチなしについては、ギャランティー付完品で200万円近くのプレミア価格が付いています。いい個体が市場に少ないという理由から、これからもっと上がって行くことと思います。

ROLEX ロレックス GMTマスター (アンティーク) 16750

Ref.16700とは

1988年〜1999年まで製造された、GMTマスターIの最終モデルです。このモデルからサファイアクリスタルとなり、キャリバーはこのモデルのためだけに開発された、心臓部のテンプを両方で支えるツインブリッジのCal.3175が採用されました。Ref.16750もそうですが、日付の早送り機能が付いているGMTマスターということで、現在でも人気モデルのひとつです。

1995年頃よりバックルがシングルからダブルへ変更され、耐久性はアップしましたが、ヴィンテージ感の強いシングルが人気が高いのが現状です。また、1996年〜1997年頃まで夜光塗料にトリチウムが採用されており、現在市場価値のあるモデルとして、「オリジナルケース横穴付き、シングルトリチ、オリジナルベゼル、ガラスもすかし無しのオリジナルの完品(箱・国際保証書・冊子・タグ・コマ)」という暗号のようなワードで時計愛好家に親しまれています。このモデルに限らず、メンテナンス等で交換のされていない“オリジナル”が市場価値が高いものとして取引されています。なかなか全てが揃った個体は少ないというのも現状です。

当時、このモデルがディスコンになる前に、GMTマスターⅡが発表されて一時期併売されていたため、Ref.16700はGMTマスターの廉価版なんて言われた時期もありましたが、今や100万円以下では買えないですからね。世界中にロレックス愛好家が増えて改めて見直されたモデル、それがRef.16700なのです。

ROLEX ロレックス GMTマスター 16700

Ref.16710とは

1990年〜2007年まで製作されていた、最も普及したGMTマスターです。実はRef.16760という短命のモデルがRef.16750との間に存在し、ご存知ない方も多いのですがRef.16760が初代GMTマスターII、Ref.16710は第二世代モデルなんです。

Ref.16760は1983年~1988年頃までの生産で、同時に併売していたRef.16750と区別をするため、ベゼルを赤×黒のみで作るという大きな特徴を持ったレアモデルです。また、このモデルからサファイアクリスタルとなり、短針を単独で動かせるという現在へ繋がる大事な機能を備えました。

Ref.16710からは、キャリバーをCal.3085からCal.3185へ変更、心臓部を支えるテンプを両方で支えるダブルブリッジとなり、テンワにはマイクロステラスクリューからマイクロステラナットが取り付けられて、メンテナンスのし易さと精度の向上が図られています。
そしてベゼルカラーが一番充実しているのがRef.16710の特徴で、黒一色、赤×黒、赤×青の三色展開で、このモデルから赤×黒は”コーク”、赤×青は”ペプシ”と呼ばれ、現在でもその愛称は変わりません。

ちなみにRef.16760にも”ファットレディー”(ソフィアローレン)というペットネームが付いており、これは、短針を単独で操作できる新しいキャリバーが積まれたため、通常のケースより0.5ミリ厚い作りになっているのでこのような通り名が付けられています。”ソフィアローレン”とは、豊満なバストとヒップの肉感的なボディの持ち主でイタリアの大女優の名で、この名でお話をして来られる方はかなりロレックスに精通していますね。
ルートビアというペットネームがついているモデルもあるんですよ。それはGMTマスター徹底比較!第二弾記事でのお楽しみです。

ROLEX ロレックス GMTマスター II スティックダイヤル 16710

Ref.16750・Ref.16700・Ref.16710
3モデルそれぞれのディテール  

下写真左のRef.16750ですが、シャープなラグ、中空ブレス、そして特筆すべきはベゼルのギザギザの溝が後に続くモデルより若干浅いのが特徴です。また、この頃ラッカー仕上げで艶のある文字盤を製作していたのですが、すごく細かくキレイにひび割れている個体、まるで蜘蛛の巣のような状態になった文字盤を”スパイダーダイアル”と呼び、現在ではレアモデルとしての価値がどんどん上がって来ています。

真ん中のRef.16700ですが、前作との決定的な違いはガラスで、その他の作りはあまり変わりません。1997年以降、最終製造年の1999年までの二年間で製作された個体は夜光塗料をトリチウムからスーパールミノバへ変更されたため、見た目がRef.16710に似ています。

ラグ幅は上から約4~2ミリ、ラグ長さ約15ミリ、ベゼル幅約5ミリ、ブレスレット幅約19~15ミリ、ケース厚み約12ミリ、クラスプ厚み約0.5ミリという結果でした。

一番右のRef.16710ですが、2000年頃にブレスレットと本体を繋ぐバネ棒のカバー(フラッシュフィット)がステンレスの板を折り曲げて嵌めていたものからステンレス無垢のしっかりした部品になり、2003年頃からはケースにふたつ空いていた小さなバネ棒用の穴が塞がり、高級感と耐久性が上がりました。
また、”スティックダイヤル”と呼ばれるGMTマスターⅡの上下の線がない棒二本だけの表記の文字盤が近年注目されており、既にプレミアムモデルとなっています。

ラグ幅は上から約4~2ミリ、ラグ長さ約15ミリ、ベゼル幅約5ミリ、ブレスレット幅約19~15ミリ、ケース厚み約12ミリ、クラスプ厚み約0.5ミリという結果でRef.16700と全く同じ作りでした。

Ref.16750は現在在庫がないため今回は計測できませんでしたが、作りはほぼ変わらないので実寸は同じくらいと思われます。ちなみに前述したRef.16760も在庫がないのですが、80年代のトロピカル(黒文字盤がエイジングにより少し茶色がかって来ている文字盤)で400万円近くまでのプレミアムが付いています。Ref.16700もRef.16710もデイトナ以外の5桁のモデルの評価がどんどん上がって行っているのを嬉しく思います。

また、今回ご紹介した四型はブレスレットが三列(オイスター)五列(ジュビリー)の作りがあり、どちらかを選べた上互換性もあるので現在でもロレックス社で交換可能です。
GMTマスターはこれからも注目したいモデルのひとつですね。

おわりに

いかがでしたでしょうか。GMTマスター徹底比較第一弾では、5桁のGMT I・IIステンレスモデルを比較いたしました。次回は6桁、既に生産終了しているモデルから最新モデルまでのお話です。お楽しみに。

現在、Ref.16700、Ref.16710はエバンスに在庫がございます。この記事をご覧になって気になられた方は是非お越し下さい。
みなさまのご来店、心よりお待ち申し上げております。

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