ブログをご覧の皆様こんにちは、エバンス オンラインショップ担当の大貫です。
無くてはならい時計のストラップ。ブレスレットで着用を好まれる方も多いと思いますが、レザーストラップは種類も豊富で、時計の印象をガラッと変えることが出来るアイテムです。
当然ながら、レザーベルトは消耗品となりますので、ブレスレットモデルに比べ、コスパは良くありませんが、薄型のドレスウォッチやクラシックなモデルにはレザーベルトがよく似合いますね。ということで、今回は【レザーストラップ・革ベルト】について調べてみました。
ちなみに『皮』と『革』の違いですが、分かりやすく言うと未加工(皮)と加工済(革)です。
皮 = SKIN(スキン)
革 = LEATHER(レザー)
と覚えるとわかりやすかもしれませんね。
【ワニ革】
時計のレザーベルトと言えば、さまざまな種類がありますが、高級感のあるクロコダイルやアリゲーターなどのワニ革は「レザーの宝石」とも呼ばれ、高級時計にはなくてはならい素材の一つと言えます。
時計用ストラップの素材としては一般的なワニ革。日本では『ワニ革=クロコダイル』と思っている方も多いと思いますが、実は幾つか種類があります
ワニ革は大きく分けて[クロコダイル]、[ アリゲーター ]、[ カイマン ] の3タイプ。特にクロコダイルとアリゲーターは価値が高く、世界中で人気があり、高級皮革として有名です。
もちろん上記の3種類は、『ワニの種類』が異なりますます。
- クロコダイル - ワニ目クロコダイル科クロコダイル属
- アリゲーター - ワニ目アリゲーター科 アリゲーター属
- カイマン - ワニ目アリゲーター科カイマン属
さらにクロコダイルだけでも4タイプあり、その中でも最高級とされるのがスモールクロコダイル(イリエワニ)の『ポロサス』。希少であり、「 キング オブ クロコ 」と称されるポロサス・クロコは、ウロコが細かく、斑紋の並びが均一でバランスが良い点が特徴と言えます。エルメスなどの三大メゾンでは、このポロサス・クロコを中心に使用しているそうです。高額な理由が分かりますね。
アリゲーター (ワニ目アリゲーター科)では主に、ミシシッピ・アリゲーター(アメリカン・アリゲーター)が使用されています。 全体に胴が長く、腹部のウロコはクロコダイルに比べ、やや長めの長方形。養殖も大規模に行われていて、世界で最も多く取引されています。
アリゲーターとクロコダイルの違い
一般的には分かりにくい部分ですが、クロコダイルには、縁付近に針でつついたような「穿孔(せんこう)」と呼ばれる小さな“くぼみ”があります。これは感覚器官(詳細は未解明)とみられ、クロコダイルには全て備わっており、ウロコの一つ一つに付いてます。クロコ革の特徴とも言えます。
穿孔が目立つ、目立たないという個体差があったり、染色加工によって見えづらくなったりしますが、見分けるポイントです。
スイス高級時計ブランドの純正ベルトの多くは、アメリカ産の「ミシシッピ・アリゲーター」を使用しているようです。上記のクロコダイルとは違い、ウロコに「穿孔(せんこう)」がないため、斑紋が綺麗に見えます。
アリゲーターは全体に胴が長く、腹部のウロコはクロコダイルに比べ、やや長めの長方形。 養殖により安定した供給が可能で 、世界で最も多く取引されています。
竹斑と玉斑
ワニ革は部位によってウロコのパターンが異なります。腹のウロコ(腹鱗板)の部分が、竹のような四角い斑面が特徴的な「竹斑(たけふ)」。脇腹の丸い斑の部分を「 玉斑(たまふ) 」または「 丸斑(まるふ) 」と言います。高級感の「竹斑(たけふ)」、カジュアルな印象の「丸斑(まるふ)」で分けらることが多いように思います。
ワイルドな“ホーンバック”
「ホーンバック」は、ワニの背中側の皮である「背鱗板(はいりんばん)」の凹凸を活かした素材で、“背ワニ”とも呼ばれる存在感のある革目です。クセがあるため、合わせる時計を選びますが、少し前ではオーデマ・ピゲのロイヤルオーク・オフショアに使用されていました。ゴツ目の時計に似合います。
【牛革】
カーフレザー
牛の中でも、生後6ヶ月から1年位の仔牛の皮のみが“カーフ”と呼ばれます。腕時計に関しては、直接腕に装着するため、非常に柔らかい「カーフレザー」が主に用いられます。
クロコ模様の型押しなど、様々な加工が可能で、汎用性が高いのも魅力です。
キップレザー
生後6か月~2年未満の牛の革を「キップレザー」と呼びます。「カーフ」よりも成長した牛皮のため、柔らかく、強度も兼ね備えており、小物や靴に用いられています。
ステアレザー
生後2年以上で、生後3ヶ月から6ヶ月の間に去勢された雄牛の革。カーフやキップに比べると、柔らかさと表面のキメの細かさは劣りますが、強度に優れているのが特徴です。
去勢されているためか、厚みが均等で扱いやすいため、牛革の中では比較的ポピュラーな素材。時計ベルトの裏材に使われたり、靴業界では、最も広く利用されている革です。
カウレザー
出産を経験した生後2年以上経った雌の成牛の革。キップレザーよりも丈夫な素材です。成牛のため、大きな面積が取れるため、主に鞄やジャケットなどの服飾用に使用されます。
ブルレザー
生後3年以上の雄牛の革。硬く厚みがあり丈夫な革。靴のソール等に使用されことが多い革です。
【バッファロー】
水牛の革。丈夫な素材で、表面上にシボがあり、 他の革に比べると耐水性があるのが特徴です。
【リザード】
リザードクロコダイルやアリゲーターと並び、エキゾチックレザーの代表格となっている「リザード」。細かなウロコが特徴で、綺麗な発色が可能。レディースウォッチに使用されることが多く、耐久性はワニ革と同程度です。
【テジュー(ヤクルス)】
南米原産のトカゲの一種であるテジューの皮。『ヤクルス』とも呼ばれます。リザードに比べ斑が大きく、独特のウロコが特徴的です。クロコダイルとリザードの間のようなデザイン。
【オーストリッチ】
オーストリッチ(ダチョウ)の皮は、羽毛を抜いた後の丸みのある突起した軸痕(クイルマーク)が特徴のユニークなレザー。立体的なデザインで、高級レザーの代表格でしたが、近年時計ブランドでは見かけることが少なくなってきました。
【シャークスキン】
サメ革。水に強い素材で、細かい連続した網目状に凹凸があり、綺麗な染色が出来るのが特徴です。東南アジア近海に生息する、ブルーシャークを主に使用。
特性上、ダイバーズウォッチに取り付けられている事が多い素材です。
【ピッグスキン】
豚の皮をなめしてできる革です。毛穴による凹凸があるのが特徴です。丈夫で耐久性がありますが、最近では採用されることが少なくなってきています。
【変わり種素材】
コードバン
靴やランドセル、財布などによく見られる素材。馬の腰部の皮を使用してます。繊維組織が非常に緻密で、独特な光沢をもち、牛革の2倍の強さを持っています。
シープスキン
羊の革。 生後1年未満の羊の革は、「ラムスキン」と呼びます。強度は牛革ほど高くありませんが、非常に柔らかい素材で、手袋や服飾素材に使用されます。
ゴートスキン
ヤギの革。 子ヤギ(生後6か月前後)の革は「キッドスキン」と呼ばれます。
繊維密度が高く、柔らかい素材で 表面の細やかなシボと独特な毛穴の形が特徴となっており、牛革と比べ薄く、強度があり、耐摩耗性にも優れています。
エレファント
象の革。イメージする通り、大きなシボが特徴的で、厚く丈夫な素材で耐久性に優れます。 象牙と共にワシントン条約により、取引が厳しく制限されていますので、希少な素材となります。
アルマジロ
菱形のウロコが連なる希少革。最近は見ることが無くなりました。
オーストレッグ
文字通り、オーストリッチ(ダチョウ)の足の部分。非常に個性的です。爬虫類に似たウロコ状の模様が特徴となっています。
使用できる部分が少ないため、希少な素材。
シールスキン
アシカやアザラシ、オットセイなど海洋動物の革が「シールスキン」と呼ばれます。厚く弾力があり、丈夫な革で、波型の独特な模様が特徴的です。
ペッカリー
ペッカリーは、南米の熱帯雨林に生息する猪豚に似た哺乳類。 厚みがあるが柔らかく、伸縮性に富み、水汚れに強いため、主にレザーグローブに使用されます。細かなシボが特徴的な高級素材。
パイソン
いわゆるヘビ革。 存在感のある斑紋と独特の肌触りが特徴で、軽く丈夫な素材。 服飾での使用が多く見られます。
ヒポ
カバの革。エレファントレザーに似た素材で、同様に耐久性、耐水性に優れます。皴が深い部分と浅い部分があり、その濃淡が特徴になります。
キャメルレザー
ラクダ革。過酷な環境で生息するため、ゴムのような柔軟性と強い張りが特徴。
チンギアーレ
イタリア語でイノシシを意味する「チンギアーレ」は、ヨーロッパ生息の野豚。高級素材として知られ、ピッグスキンに比べ組織が緻密で毛穴が目立たないのが特徴です。
イールスキン
ヨーロッパでは高級素材として知られる「イールスキン」。日本では馴染みのない革素材ですが、実は「ウナギ」の革。革用に使われるウナギは、食用に適さないアブラウナギが使用されます。牛革の様に柔らかい素材で、発色が良く、独特な光沢が特徴です。
時計ベルトでの加工は少ないものの、財布などで使用されることが多い素材です。
ガルーシャ
アカエイ革。昔から、『海の宝石』と呼ばれている高級皮革素材。非常に硬くて光沢感があり、ガラスビーズを敷き詰めたような細かい突起が特徴的な革です。
日本では武具や鎧の一部、刀剣の柄部分に使用されなど、古くから利用されています。
【時計業界のサスティナビリティに関して】
“サスティナビリティ”や、“エシカル消費”といったことを最近耳にするかと思います。サスティナビリティは「持続可能性」、エシカルは「倫理的な」という意味ですが、エコで環境に配慮する取り組みを指しています。
ファッションの分野は進んでおり、ファー素材など動物愛護の観点から廃止するファッションブランドが増えてきていますね。
時計業界はというと、残念ながらまだまだ進んでいない状況です。ロレックスでは、近年レザーストラップの代わりに「オイスターフレックスブレスレット」が採用されるなど、サスティナビリティを実施しているメーカーではないでしょうか。
しかし、基本的に「レザーストラップ」に関しては、そのブランドでの製造ではなく、ベルト専用メーカーで製造されていますので、 なかなか難しい課題だと思います。それでも、サスティナビリティとエシカル消費は、今や世界的な流れになっていますので、時計業界も変わっていくのではないかと思います。