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手巻き時計をおすすめする 8の理由

2020-01-13 11:00

こんにちは。エバンスの大貫です。

みなさんは、高級輸入時計を購入する際、おそらく男性では機械式の時計が選択肢の中心になるかと思います。動力で分けると、基本的に機械式かクォーツかの2択になりますが、機械式時計の中でも、あえて「手巻式時計」を選ぶ方は圧倒的に少ないように思います。

現在市場に出回っている機械式時計といえば、自動巻きが大半になってきています。人気のロレックスにおいても、手巻式は現在ラインナップにはありません。自動巻き機構がロレックスによって一般化されたのが 1931年になりますので、それ以降自動巻き時計のシェアは上昇し、現代においては手巻き時計のバリエーションは少なくなってきています。

自動巻きと手巻きの違い

時計の自動巻き(オートマッチック)には、下記の画像のように「ローター」と呼ばれる半円状の振り子のようなパーツが付いています。このローターが腕の運動で動くことで、動力であるゼンマイが巻き上がります。

一方、手巻き(マニュアルワインディング、またはハンドワインディング)では文字通り手でリューズを巻き上げてゼンマイを巻き上げます。腕に着けているだけで巻き上がる自動巻きとは違い、手巻き時計の場合、毎日動かすためには“1日1回” 手でゼンマイを巻き上げる必要があります。

最近のモデルでは、技術の向上で72時間(3日間)ほど持続可能な商品が出てきています。また一部では、8日巻きや10日巻きなどロングパワーリザーブのモデルもありますが、基本的に1日1回の巻上げが目安になります。

自動巻きと手巻きの違い

確かに面倒で、そのために自動巻きが発明された歴史がありますが、自分の手で巻き上げる感触、所作、ルーティーンなど、自動巻き時計では得られない感動があり、玄人が手巻き時計を好む理由と言えます。 手巻き時計は個人的におすすめしたいところですので、今回「手巻き時計を選ぶ理由」をご案内したいと思います。


手巻き時計おすすめポイント

ポイント① 価格

例えば単純に同じ機械の場合、手巻時計の方が自動巻きに比べ、ローターやリザーバー(自動巻上機構)など機械を構成するバーツが少なく、単純化されるため価格は安くなります。もちろん同じモデルで自動巻きと手巻きを揃えるメーカーは少ないですが、概ね手巻きモデルはお手頃価格と言えます。

アンティークではありますが、高級時計の代名詞であるロレックスでさえ、10万円台で購入が可能なモデルもありますし、弊社に在庫がありました「オイスター スピードキング」(2020年1月13日 SOLD OUT)では金無垢にもかかわらず、40万円台とリーズナブルです。

ロレックスのアンティーク
ロレックス スピードキング  Ref. 6021(アンティーク)

ポイント② 耐久性

上記のおすすめポイント①にてご案内したように総パーツ数が少なく、また自動巻き機構特有のローター(振り子)がありませんので、衝撃を受けた際のダメージは自動巻きに比べ圧倒的に少なくなります。

オメガ「スピードマスター プロフェッショナル」もこの理由でNASAに選ばれたと言えます。衝撃に強く、またムーブメントのパーツ自体が大きく設計されており、長くご使用いただけるなどのメリットがあります。

オメガの手巻きムーブメント
オメガ 手巻きクロノグラフムーブメント Cal.861

上記画像のムーブメントは1968年から製造され、現在においてもほとんど仕様変更せず生産され続けているオメガの傑作ムーブメント「Cal.861」。 現行のムーブメントは、“Cal.1861”となっており、メッキ処理がアップデートしただけです。

スピードマスター・プロフェッショナルは手巻き時計の素晴らしさを体現しているモデルといっても過言ではありません。 時計自体も大きなモデルチェンジもなく、常に人気の商品で、最近では価値が見直されてきており、中古相場も上昇しています。

オメガのスピードマスター
オメガ スピードマスター ムーンウォッチ 現行モデル Ref.311.30.42.30.01.005

ポイント③ 名作が多い

上記のスピードマスターもそうですが、手巻き時計には名作が数多く存在します。ムーブメントの耐久性が高く、長期間の使用にも耐えることが出来るため、後に名作と呼ばれる個体となってきます。アンティークやヴィンテージなどは、搭載するムーブメントによって “価値” が大きく異なり、わかりいやすい例としてロレックスの「デイトナ」が挙げられます。

自動巻きのムーブメントを搭載しているデイトナですが、1988年までは手巻き式で、1963年~1988年に製造された手巻きデイトナの相場は、1000万円を超える個体も珍しくありません。搭載するムーブメントは、今では存在しないムーブメントメーカー「ヴァルジュー社」製の72系キャリバー。ロレックスだけでなく他のメーカーでも使用されており、この機械が入っているだけで、無名のブランドも結構な価格になります。

ロレックス 手巻きデイトナの最終型ムーブメント
手巻きデイトナの最終型搭載ムーブメント Valjoux社ベース Cal.727

他にも“名作”・“傑作”と呼ばれるムーブメントは手巻き式が多く、レマニアのCal.321やオメガの30mmキャリバー、ロンジンのCal.30CH 、ヴィーナス社のCal.178、 IWCのCal.88などなど魅力的なムーブメントが数多く存在します。もちろん価格はそれなりに高額となりますが、趣味性が高く、ハマるポイントです。


ポイント④ 修理・メンテンナンスのコスパ

自動巻きに比べ、パーツの少なさからメンテナンスの費用は自動巻きに比べ安く設定されています。そのため定期的なオーバーホールや、故障時の修理の際を考えますと、ランニングコストが低くなる点はメリットと言えます。

ブランドやモデルによりますが、自動巻きのオーバーホールに比べ、およそ10~20%ほど価格は安くなりますので、一生ものと考えるとランニングコストが抑えられます。

時計分解イメージ

ポイント⑤ ムーブメントの美しさを堪能

シースルーバックのモデル限定ですが、手巻きムーブメントがより堪能できます。手巻時計の場合はローターがありませんので、シースルーバックのモデルでは、ローターが邪魔せず、美しく緻密なムーブメントを楽しめます。またシースルーバックのガラス面からムーブメントまでの距離が短く、より近くで鑑賞できることも特徴的です。

ランゲ&ゾーネのダトグラフ
ランゲ&ゾーネ ダトグラフ

ポイント⑥ 薄型ケース

ここでもローターが無いことがメリットになります。振り子や巻上機構を取り付けるスペースがなくなる分、薄いケースに収めることができます。特にドレスウォッチの機械式時計の場合は、ほとんどが手巻き式。もちろんサイズの制約が少なくなりますので、薄く小型のものから、大型で分厚いモデルまで製造ができます。

“薄さ”に関しては技術力のあるメーカーでないと製造できませんので、「ウルトラスリム」、「エクストラフラット」という名称がつくモデルは、メーカーの意欲作と言えます。

ブランパン ヴィルレ ウルトラスリム

ブランパン ヴィルレ ウルトラスリム 18KPG Ref.(中古)

ポイント⑦ アンティークを気軽に

アンティークでは故障や修理時の費用、またデリケートな取り扱いなど不安な部分が多く、実際に購入をためらってしまう方も多いと思います。ですが手巻きの時計では、上記の耐久性や修理コストの面で優れており、商品によっては比較的安価で購入ができます。

確かに防水性の面では確かに不安はありますが、アンティーク1本目は、是非手巻きモデルをお勧めします。

手巻きアンティークウォッチ色々

ポイント⑧ 巻上げ頻度が少ないモデルも

ロングパワーリザーブという機能が付いた手巻き時計があります。一般的なモデルのパワーリザーブは40~50時間ほどで、1日1回の巻上げが必要ですが、最近のモデルでは3日巻きや8日巻き、さらには31日巻き!(ランゲ&ゾーネ ランゲ31 )といった持続時間が長いモデルが存在します。8日巻き以上では、概ねパワーリザーブ表示があり、残量が一目で分かるようになっていますので、手巻きのデメリットを補う機能があります。

iwc ポートフィノ8デイズ
IWC 8日巻き仕様のポートフィ

手巻き時計の使い方・注意点

上記でメリットを挙げてきましたが、使い方で注意したい点があります。それは手巻きでの巻上げ時に巻きすぎてゼンマイが切れてしまうことです。

手巻き時計では一部を除き、”巻止まり”があります。ゼンマイをフルに巻き上げると、それ以上巻けない様になっていますが、それ以上に無理に巻こうとすると、負荷がかかりゼンマイが切れ、修理が必要になってしまいますので、ご注意ください。

だた、最初は巻止まりの感覚が分からないと思いますが、少し使用すれば慣れてきます。あまり神経質になることはないと思います。


今買える おすすめ手巻き時計 

現行品では手巻きモデル自体少なく、選択肢は狭まるものの、アンティークや中古品を含めると非常に多くの魅力的なモデルがありますので、是非ご参考いただければと思います。

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ランゲ&ゾーネのランゲ1

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