ブログをご覧の皆様こんにちは、銀座エバンスの福永です。
いつの時代も絶大な人気を誇るロレックスですが、その中でもデイトナに関しては、クロノグラフとして堅牢性に優れた設計、機能を映し出す美しいデザイン、希少性の高さ、それらが渾然一体となり別格の存在感を放っています。
デイトナがこれほどまでに人々を魅了する理由は何なのか、そして揺ぎ無い価値を支えるものは一体何なのか?本日は常に話題の中心になる、デイトナの魅力について迫ってみたいと思います。
ヴィンテージデイトナの魅力
現在のデイトナの人気を支える上で重要なポイントが、ヴィンテージモデルの中に秘められています(デイトナの歴史を遡り深く掘り下げると、それはそれは長いお話になりますので、今回は割愛させて頂きます)。
ロレックスにおけるヴィンテージモデルは一般的に4桁リファレンス以前のモデルが該当し、デイトナに関してもRef.6239やRef.6241、Ref.6263、Ref.6265などがそれにあたります。
ヴィンテージモデルの価値、それを一言で表すならば、希少性の高さであると言えます。
デイトナをはじめとしたスポーツモデルに関しては、製品の特性上ドレスウォッチなどに比べ保存状態の良い個体が少ない傾向にあり、また当時の需要からも見ても生産本数が少ない点があげられます。
また、ファッションのカジュアル化が進む今日において、高級時計に求める姿にも大きな変化が見られるようになりました。
以前は名門ブランドのコンプリケーションウォッチなどが、ハイエンド市場では当たり前の様に大きなシェアを持っていましたが、その需要が名門ブランドの代表格であるパテックフィリップであってもノーチラスやアクアノート、そしてロレックスにおいては手巻きデイトナのような、スポーティーかつ希少性が高いモデルへ移ってきています。
そして、ヴィンテージロレックスの価値を裏付ける決定打とも言えるのが、豊富な見識を持つ、オークションハウスの存在であると言えます。
中でも手巻きデイトナについてシリアルと、その仕様の整合性を体系的にまとめあげたフィリップの功績は大きく、今日の手巻きデイトナのブランディングを成功させたとも言われています。
それは、実際に購入に踏み切る際の有用な判断材料として、そして価値を担保してくれる安心材料として機能し、市場の拡大に大きな影響を与え続けています。
デイトナ自動巻きモデル誕生
ヴィンテージ市場で絶大な人気を誇る手巻きデイトナですが、その後継モデルであり、ロレックス初の自動巻きデイトナであるRef.16520、そして自動巻きデイトナを不動の地位に押し上げたRef.116520、生産終了となって久しい両モデルの人気は衰える事を知りません。
自動巻きデイトナは製品自体の完成度の高さに加え、シリアルや年代によって様々なレアポイントが散見される点、そして1000万円という価格が常態化した手巻きデイトナとは異なり、現実的な価格帯であろう200万円台前半から選ぶことが出来るモデルとして人気を博しています。
また、Ref.16520とRef.116520、この二つのモデルを一般的な視点で見た場合、共に似たデザインであるという点において、異論の余地は無いと言えますが、その内容は大きく異なり、Ref.16520に関してはロレックス初の自動巻きクロノグラフを搭載したモデルですが、ベースムーブメントはゼニスのエルプリメロを採用しています。
ロレックスが他社のムーブメントを使用するケースは少ないですが、その最たる例がエルプリメロであり、また生産時期により細かな意匠の違い、または限られた時期に使用されている塗料の性質によっては、インダイヤルに経年変化が表れる後天的な要素も価値の向上に繋がっています。
また、外装面ではブレスレットの仕様や、ベゼルのタキメーター刻印のバリエーションなど、レアポイントが判断しやすい点においても、こだわりを持って探される方の所有欲を満たす存在であると言えます。
デイトナ自社製ムーブメントを搭載
Ref.116520については、Ref.16520のデザインを踏襲しながらも、ムーブメントは自社製へと刷新され、外装面のブラッシュアップもしっかり行われたモダンロレックスの模範ともいえる仕上がりが魅力です。
ロレックスは2000年代に入り、多くのリファレンスが5桁から6桁へモデルチェンジを遂げましたが、そのハイライトが外装面における明確な高級路線への移行であったと言えます。
ダイヤルの質感が改善され、針やインデックスは大型化、そして無垢仕様となったブレスレットは、さらなる剛性感を獲得しました。
それは同時に手にした際に感じられる、明らかに”良い物である”という質感を持ち合わせるに至りました。
シャープな雰囲気で旧来のロレックスを楽しめるRef.16520、一目で高級機であると分かるRef.116520、似ているようで性質の異なる二つのリファレンスの動向から今後も目が離せそうにありません。
デイトナゴールドモデルの躍進
手巻きデイトナそして自動巻きデイトナと、ステンレスモデルを主体に綴ってきましたが、ここ数年では金無垢モデルの需要も高まってきています。
従来よりデイトナのゴールドモデルの需要は一定数ありましたが、それはステンレスモデル比べれば微々たるものでした。
それでは、何故これほどまでに、ゴールドモデルの人気が高まってきたのでしょうか。
ゴールドモデルの人気が広まったきっかけはいくつか考えられますが、まずはホワイトゴールドモデルであるRef.116509の登場ではないでしょうか。
イエローゴールドの華やかな印象とは異なり、スポーティな雰囲気が好まれる傾向が強いデイトナにおいて、一見するとステンレスモデルと似た印象のRef.116509には、金無垢ならではの重量とステンレスモデルとは異なるダイヤルが与えられ、明確に区別されたラグジュアリー感の演出に成功しました。
そしてRef.116515LNでは耐傷性に優れたセラミックベゼルが、その革新的な実用性とデザインのバランスから高い人気を誇り、その後に続くRef.116515LN、518LN、519LNではベルトが革からオイスターフレックスと呼ばれるラバー素材へと改められ、ステンレスモデルとは異なる形でデイトナのスポーティさ、そしてラグジュアリーさを昇華させたゴールドモデルの注目度は俄然高まってきています。
そして、ゴールドモデルはありませんが、プラチナを贅沢に用いたRef.116506もまた、デイトナが名実ともにロレックスの最上位機種である証明として機能しており、デイトナの人気を確固たるものにする、精神的支柱としての役割も担っています。
さらなる進化セラミックベゼル採用
最後になりますが、最もポピュラーなデイトナといえば、現行モデルであるRef.116500LNの存在を忘れてはいけません。
一世代前にあたるRef.116520から基本設計は踏襲しながらも、デイトナ特有のタキメーターベゼルにセラミックを用いる事で、雰囲気をガラリと変えてきたモデルです。
バリエーションは白と黒の2種類のみ、Ref.16520から続く伝統的とも言える色展開に則り、その完成度を高めてきました。
また、Ref.116500LNはセラミックベゼルを採用する事で、最新スペックを与えられたモデルですが、ベゼルそしてインダイヤルの配色からは、手巻き時代のRef.6263を想起させます。
以前からロレックスは、過去のモデルを復刻するという手法は取らないメーカーとして知られていますが、記憶に新しいところでは21世紀に蘇ったプリンス、そしてミルガウスをリバイバルさせてきました。
それらは生産中止期間が長期に及んだだけ、と捉えてしまえばそれまでですが、過去の傑作を最新技術でトレースし、時を越えて再びスポットを当てる事で、既に流通している製品までも、そしてロレックスというブランドの価値を常に高めるようコントロールしています。
長年かけて培ってきた、時計業界における絶対的な強者であるロレックスという名の下、製造された製品はモデル毎に一貫したコンセプトを保持し、それらは需要の高まりと共に体系化され、メーカーの手を離れて数年、数十年経った現在でも、それに見合ったプライスが付けられていきます。
デイトナはモデルチェンジを重ねる度に、新作への注目と同時に、現存数の減少に抗えない過去のモデルへの関心が高まり、その価値が見直されていく傾向にあります。
また、過去のモデルがオークションでは驚くようなプライスで度々落札され、それが市場に与える影響は大きく、オークションで認められた基準が、価値を担保する存在となり、広義で言えばデイトナ全体の価値を引き上げる要因として機能し続けます。
以上のように、デイトナが常に高い人気を誇り、支持され続ける理由を考察してきましたがいかがだってしょうか。
数多ある腕時計ですが、これほどまでに人々を熱狂させるモデルは他にはないのではないでしょうか。