復刻とは何かが違う「TAG HEUER(タグ・ホイヤー) カレラ 39mm」2023年新作 “グラスボックス 逆パンダ” CBS2210 2024年1月22日
2024-01-22 11:00
今回のエバンスブログは、スイスの高級腕時計ブランドTAG HEUER(タグ・ホイヤー) の「カレラ クロノグラフ CBS2210.FC6534」をご紹介します。2023年の新作で、ヴィンテージ感とモダンさを合わせ持ったフォルムに、新型ムーブメントを搭載した要注目の1本なのです。
(今回の時計:2023年新作「タグホイヤー カレラ クロノグラフ “グラスボックス” CBS2210.FC6534」)
今回のカレラについて
(風防などにヴィンテージ感があるが実は新作のモデル。 12時位置の日付表示も特徴)
こちらは、2023年3月末に発表されたカレラ クロノグラフの新作。限定ではなく通常モデルとなります。その外観から「”グラスボックス”の新作で”逆パンダ”のほう」などと呼ばれていそうな1本です。
現代のカレラとしては控えめな39mmサイズで、ケース素材はステンレス。ドーム型のサファイアガラス風防は、往年のプラスティック風防を再現した “グラスボックス” と呼ばれるもの。黒×シルバーの “逆パンダ” ダイアルは、初期カレラの希少モデル(Ref.2447 NS)に着想を得たものだとか。ムーブメントは、自社製自動巻きの新世代キャリバー(TH20-00)を搭載しています。
(色違いの「ブルー」CBS2212.FC6535。日付は6時位置 出典: タグホイヤー 公式サイト 2023年10月発表の「イエローゴールド素材」CBS2240.FC8319。ダイアルは縦のサテン仕上げ 出典: タグホイヤー 公式サイト )
ちなみに、同時に発表された色違いに、カレラの象徴的なカラーである「ブルー」も存在します。こちらは色以外に、日付表示の位置、6時位置インダイアルの窪み等の仕様も異なります。 また、2023年は「カレラ誕生60周年」というメモリアルイヤーで、このモデルの前後にも複数のカレラ話題作が発表された (参考: 公式サイト ) 年だったりします。
ここで、タグホイヤー&カレラの豆知識と題して、歴史などを簡単にご紹介します。
タグホイヤー&カレラの豆知識
(第一世代カレラ「Ref.2447 S」(1963年発表) 出典: 公式サイト タグホイヤーの世界 「Ref.3147 Dato」1960年代の広告から。日付表示が12時位置の1本 出典: 公式サイト タグホイヤーの世界 )
【タグホイヤー】
- 1860年 スイスで創業
- 1985年 TAGグループの傘下となり、HEUER(ホイヤー)からTAG HEUER(タグホイヤー)に
- 1999年 LVMHグループ傘下に (高級時計ブランドでは、ウブロやゼニスなども同グループに属す)
- 特徴は「アバンギャルド (前衛的)、スポーティー、コストパフォーマンス」
【カレラ】
- 「カレラ(Carrera)」はスペイン語。「レース、競争、道」といった意味
- 1950年代の過酷な公道カーレース「カレラ・パナメリカーナ・メキシコ」から命名
- ポルシェのスポーツカー「カレラ」も、同レースが名前の由来
- 初代カレラは、1963年に誕生
- 生産されていない時期がある(1980年代中頃から1996年頃)
- 3針モデルも存在(2000年代初頭頃から)
タグホイヤーを代表するスポーツウォッチで、誕生から60年を迎えた「カレラ」ですが、歴史が途絶えていた時期があるのは意外でした。1996年の復刻手巻きモデル(Ref.CS3110など)が、復活への足がかりになったようです。世代やモデルごとにデザインは変わりつつも、カーレースを意識した視認性の高さなど、その魅力は現代に引き継がれています。
今回の時計を見てみましょう
(ヴィンテージ感ある風防は、両面無反射コーティングが施されたサファイアクリスタルガラス。 同じ39mmサイズの「創業160周年記念 復刻モデル」(2020年限定) CBK221B.FC6479と。ガラスの大きさに注目)
では、今回の時計「カレラ クロノグラフ(CBS2210.FC6534)」をじっくり見てみましょう。
まず目につくのが、角に丸みを帯びたサファイアガラス素材の”グラスボックス”風防。2015年から復刻モデル等で使われているのですが、特徴的なのがその大きさ。ケースと同じ位まで広げられています。横から見ると、通常のベゼルを排したような独特なフォルムが伺えます。
(インダイアルは一段くぼみ、同心円状の模様が入る。 分表示の目盛とタキメーター部分はそれぞれ緩やかなカーブを描く)
タキメーター目盛は、つややかなガラスの内側に収められ、高級感を醸します。そして、その表面もガラスのカーブに沿った曲面状に。内周側のミニッツマーカーも、タキメーターの曲面と呼応するかのように緩やかにくぼんだカーブを描き、視認性も高まっている感じです。
光沢のあるアワーインデックスも、表面がわずかにカーブしており、ミニッツマーカーとダイアルを自然に繋ぐ役割も果たしているようです。ダイアルからタキメーターまで一体感があり、復刻モデルとはひと味違うモダンさが感じられます。そして、12時位置の日付表示は、現代の時計ではあまり見ない仕様ですが、インデックスと同じサイズ感のため、見慣れてきそうな気もします。
(大きいガラスがケースに載ったようなサイドビュー。ラグは裏蓋側に傾斜している。 シースルーバックから見える新世代ムーブメント「TH20-00」。コラムホイール※はシルバー色に(※精密な制御と操作感の良さが特徴、高級機に良く見られる機構。写真ではTAG HEUERロゴの近く右上部分))
一方、ケースは直線を基調としたシンプルな造形。ポリッシュとヘアラインの面を巧みに織り交ぜています。ラグを短めにし、裏蓋側に傾けるなど、着用感や使用感も配慮されているようです。
自社製キャリバー「TH20-00」は、80時間パワーリザーブの上位ムーブメント「ホイヤー02」の改良版。ローターを両方向巻き上げにし、細部を見直すなと、巻き上げ効率や耐久性が向上しています。ローターの形状がホームベース型になったのも、今までと違うところです。
ベルトは、カーフ革でパンチング加工が施されたもの。ちなみに、色違いのブルーはパンチング穴のないネイビー色のカーフベルトです。なお、このシリーズでブレスレット仕様は現在のところ存在しません。
(追記:2024年4月にブレスレット仕様の新作が加わりました。→公式サイトへ )
懐かしく新しい、新時代に向けた1本
(重量は約88g、ケース厚さは約14mm。 革ベルトはパンチング加工入り。留め具はバックルタイプ)
今回は、2023年新作の「タグホイヤー カレラ クロノグラフ “グラスボックス”」を見てみました。39mmサイズと少し小さめで、復刻モデル風のデザイン要素がありつつ、現代の時計としてモダンな新鮮さがある仕上がりです。
カレラ クロノグラフには、よりお求めやすいやすい価格感で、ホイヤー02やキャリバー16を搭載したモデルが存在します。今回のモデルは、通に向けたニッチな上級モデルといった位置づけかもしれませんが、新時代の定番として定着していって欲しいところです。
そして、世界最大の時計見本市「Watches & Wonders Geneva (ウォッチズ & ワンダーズ ジュネーブ)」の今年2024年は、4月9日から15日までの開催です。タグホイヤーも参加するので、さらなる新作カレラ グラスボックスを見れるかもしれませんね。
【今回の時計】
→TAG HEUER(タグ・ホイヤー)「カレラ “グラスボックス” 2023年新作」(SOLD OUT)
(CBS2210.FC6534、39mm径、ステンレス、自動巻き、80時間パワーリザーブ、100m防水)