グランドセイコーSBGC001
2023-02-07 11:30
いつもブログをご覧いただきましてありがとうございます、銀座エバンスの福永です。
今回ご紹介する時計は、グランドセイコーのクロノグラフモデルSBGC001です。
グランドセイコーと言えばシンプルなモデルが好まれる傾向にありますが、クロノグラフ+GMT機能を備えた多機能なSBGC001は、果たしてどのような存在なのでしょうか。
SBGC001とは?
SBGC001の発表は今から16年前の2007年にまで遡ります。
2017年にはグランドセイコーブランドの独立に際し、ロゴのレイアウト修正に伴い型番をSBGC201に変更しながらもデザインは変わることなく、現在でもグランドセイコーの象徴的なモデルとして支持されています。
グランドセイコー初のクロノグラフモデル
驚異的な精度を生み出す機械式クロノグラフ、他社では到達することが困難な高みを目指した根底には、セイコー独自の技術であるスプリングドライブの姿がありました。
スプリングドライブを採用したSBGC001は、機械式ならではの大きなトルクで太く厚みのある針を採用できると同時に複雑機構の搭載にも優れ、加えてクォーツ制御によるクロノグラフは驚異的な高精度を実現するに至りました。
外観デザインにおいては大きく突き出したクロノグラフボタンが印象的ですが、これは1964年に現セイコーインスツルが開発したオリンピック用のストップウォッチ、そのプッシュボタンの形状と操作感が継承されています。
プッシュボタンにはREADY/STARTモードが備えられており、ボタン作動においてはカメラのシャッターストロークのように一定の沈み込みがあり、それにより安定した操作が可能となっています。
キャリバー9R86とは?
現在、グランドセイコーに採用されるクロノグラフムーブメントはSBGC001に搭載されるキャリバー9R86、その高精度バージョンであるキャリバー9R96がありますが、実際には同一設計のムーブメントと言えます。
以前はGMT機能を持たない、キャリバー9R84もラインナップされていましたが、こちらについても基本的な構造はキャリバー9R86に準じるものでした。
キャリバー9R86の特徴としては、量産性、高精度、プッシュボタンの感触、そして長寿命と、実用機としての素質を十分に備えた設計であると言えます。
特に高精度に関しては、テンプを持たない設計のスプリングドライブにおいて日差±1秒を実現し、パワーリザーブについてもクロノグラフ作動時で72時間ほど持続と、スプリングドライブの長所を余すところなく生かしたムーブメントであると言えます。
ケースとブレスレットのギャップ
ケースとブレスレットの質感の差、これはSBGC001に限ったことではありませんが、同時代のグランドセイコー全般に当てはまり、ケース本体の仕上げの良さ故に、ブレスレットの質感が物足りないと感じてしまう点はやや残念と言えそうです。
また、クラスプに関しても定価100万円クラスのモデルとしては、やや物足りないというか、これぞセイコーなデザインが良くも悪くも前面に出てしまった結果の仕上げとなっています。
先にも書きましたが、ケース本体の質感は極めて高いグランドセイコーだけに、ブレスレットなど付随するパーツにも、あと少しだけ華を持たせたデザインを与える事で一層魅力的な製品となるのではないでしょうか。
世界に誇れるオンリーワン
これまでSBGC001の魅力について記してきましたが、その最たるものは世界に誇れるオンリーワンの高級時計であるということです。
セイコーが長年にわたり培ってきた技術は、まさに地に足が着いたものであり、SBGC001では、そのコンセプトを機械式クロノグラフにおいて驚異的な高精度を目指すとし、世界で類を見ない製品をスプリングドライブで実現するに至りました。
高級時計の世界においては、まだまだスイスや一部ドイツ勢に分がありますが、国産高級時計の雄であるグランドセイコーの躍進は、どのような世界を見せてくれるか今後の展開が楽しみなブランドです。