「周年」記念の腕時計~アニバーサリーな5本~ タグホイヤー、オーデマピゲ、オメガ、カルティエ、ロレックス 2023年1月16日
今回のエバンスブログは、「周年」記念の腕時計5本をご紹介します。ブランドや時計の誕生を祝ったり、その時計に関連したイベントなどを記念する「周年」の時計。店頭の時計を中心に、それぞれの特徴を見ていきたいと思います。
周年記念、例えば2022年は…
「周年」記念の時計は、英語で「アニバーサリー ウォッチ(anniversary watch)」。”anniversary”は「特別な事が起こった日」といった意味合いの言葉。誕生日のようなお祝い事だけでなく、故人の命日といったものも”anniversary”なのだそう。
多くの場合、ダイアルや裏蓋の刻印など、通常モデルと異なる特別な仕様が見られ、本数限定モデルとして発売される場合もあります。
【2022年の周年時計:例1】(誕生60周年モデルが3機種登場した「タグホイヤー オータヴィア」。中にはGMTモデルも 出典:タグホイヤー公式サイト 70周年イヤーに合わせて刷新された「ブライトリング ナビタイマー」。カラフルな新色が目を惹く 出典:ブライトリング公式サイト)
当ブログ作成中の現在は2023年1月。昨年「2022年」の腕時計界を振り返ってみると、例えばこんな「周年」がありました。
- ナビタイマー誕生70周年(ブライトリング)
- オータヴィア誕生60周年(タグホイヤー)
- ロイヤルオーク誕生50周年(オーデマピゲ)
- フランクミュラー創業30周年
- タンブール誕生20周年(ルイヴィトン)
【2022年の周年時計:例2】(ブランド創業30周年記念の「フランクミュラー トノーカーベックス30th」。ダイアルは特別なギョウシェ装飾 出典:フランクミュラー公式サイト 誕生20周年記念の「ルイヴィトン タンブール トウェンティ」。ゼニスの名機エル・プリメロを搭載 出典:ルイヴィトン公式サイト)
ナビタイマーは新シリーズが登場、オータヴィア、フランクミュラー、タンブールは、それぞれに周年記念モデルが発売。オーデマピゲは、2022年に発売されるロイヤルオークの新作ほとんどに「50周年マーク」入りの特別なローターが使用されたのだそう。
【2022年の周年時計:例3】(シリーズ50周年の2022年に誕生したモデルの一つ「オーデマピゲ ロイヤルオーク エクストラシン Ref.16202ST」 出典:オーデマピゲ公式サイト 50YEARSのロゴマークが入った特別なローター 出典:オーデマピゲ公式サイト(2022年新作紹介ページ))
ここからは、今回ピックアップした「周年の時計」5本をご紹介します。
「周年」の腕時計5本
1、復刻を現代的に ~カレラ ホイヤー160周年
(タグホイヤー「カレラ 160周年記念 リミテッドエディション」 Ref.CBK221B.FC6479 ローターに160周年マークが入る)
こちらはTAG HEUER(タグホイヤー) カレラ。「ブランドの周年を記念した」1本です。創業160周年となる2020年に発表された4モデルの一つで、1860本の限定となります。
シンプルな名作として人気の高い1964年のカレラ(Ref.2447S)に着想を得たこちら。サンレイ仕上げのシルバー文字盤などクラシカルな印象の1本です。1960年代モデルの雰囲気は守りつつ、サイズを36㎜から39mmに拡大、風防をサファイアガラスに変更するなどのアレンジが加えられています。
ムーブメントは、現在のタグホイヤーにおける上位ムーブメントで、80時間パワーリザーブの自社製「ホイヤー02」を搭載。シースルーバックから見える「160周年記念マーク」入りローターと、裏蓋の「ONE OF 1860」刻印が特別感を高めています。
外観は往年の時計風で、中身は現代的なムーブメントという新旧をミックスしたハイブリッドな1本。現代的なサイズ感で、表からは周年記念を主張しないため、日常使いでも楽しめそうです。
→TAG HEUER(タグホイヤー) カレラ 160周年記念 リミテッド
(CBK221B.FC6479、2020年1860本限定、ステンレス、自動巻き、39mm径、USED)
2、当時のモデルを忠実に ~オフショア クロノ 25周年
(オーデマピゲ「ロイヤルオーク オフショア クロノ 25周年復刻」Ref.26237ST.OO.1000ST.01 裏蓋も当時のモデル同様のソリッドバック仕様)
2本目は「時計の周年を記念した」復刻モデル。AUDEMARS PIGUET(オーデマピゲ) ロイヤルオーク オフショア クロノです。デビュー25周年の2018年に発表、直営ブティックだけで発売されていた記念モデルです。
ラグジュアリースポーツの先駆モデル「ロイヤルオーク」(1972年誕生)の兄弟機種として1993年に登場した「オフショア」。CEOの「若者に向けたロイヤルオーク」というお題を、当時22歳のエマニュエル・ギョエが、よりスポーティーで大きく存在感のあるクロノグラフモデルとしてデザイン。
42mmと当時としては巨大すぎたオフショアは、社内でも非難が殺到、「The Beast(野獣)」というニックネームが付いたといいます。オリジナルのロイヤルオークをデザインしたジェラルト・ジェンタも、こんなデザインは認められない、と激怒したのだとか。
この25周年モデルでは、オリジナルと同じ42mmサイズで、文字盤などの外観も初代を再現。ベースムーブメントは当時のジャガールクルト製から自社製に変わりましたが、裏蓋はスチールで当時の仕様を再現。
「25周年」の文字や特別モデルの刻印などは入っていませんが、オリジナルに忠実に復刻することで、1993年当時の雰囲気を感じさせてくれる特別な1本となっています。
→AUDEMARS PIGUET(オーデマピゲ) ロイヤルオーク オフショア クロノ 25周年復刻
(26237ST.OO.1000ST.01、2018年発売、SS、自動巻き、42mm径、USED)SOLD OUT
3、周年モデルも歴史あり ~アポロ11号月面着陸記念
(オメガ スピードマスター プロフェッショナル 「アポロ11号月面着陸20周年記念」Ref.3891.50.81と「月面着陸50周年記念」Ref.310.20.42.50.01.001)
3本目はアポロ11号による人類初の月面着陸(1969年)という「歴史的なイベントを記念した」1本。
NASAの厳しい検査をクリアした公式装備品として、月面着陸時の宇宙飛行士も着用していた「スピードマスター プロフェッショナル」。月に着陸した唯一の腕時計で「ムーンウォッチ」とも呼ばれます。
こちらは、1989年に発売された「月面着陸20周年」記念モデルでアメリカ版の2000本限定モデル(Ref.3590.59)。ダイアルなどは定番手巻きモデルと同様なのですが、ケースサイドに「XXXX/2000」と通し番号つきの刻印も入り、ワッペンも付属、特別な限定感を高めています。
オメガは記念限定モデルが多いブランドで、アポロ11号関連も20周年から5年おきに発売されているようです。最近の周年記念モデルは、レーザー刻印など見ごたえのあるダイアルのモデルも多かったりします。時代によって、周年記念モデルも変わっていくものですね。
ちなみに、現在、エバンスにはアポロ11号の周年記念モデルがさらに2本あります。20周年モデル(ST145.022)と25周年モデル 革ベルト仕様(3891.50.81)。25周年のほうにはなんと「ピンバッジ」も付属しています。
→OMEGA(オメガ) スピードマスター プロフェッショナル アポロ11号月面着陸20周年記念
(3590.59、1989年2000本限定、ステンレス、手巻き、42mm、ワッペン付き、USED)
4、周年に合わせて登場 ~サントス100
(カルティエ 「サントス100 LM」 Ref.W200728G 写真はステンレス素材のモデルだが、イエローゴールドや、ステンレス&イエローゴールドのコンビなど様々な素材で展開された →一覧へ)
4本目の時計は「周年のタイミングで登場した」レギュラーモデル。Cartier(カルティエ)のサントス 100です。サントス「100周年」の2004年に登場。2018年の後継モデル「サントス ドゥ カルティエ」誕生の頃に、生産終了となりました。
オリジナルのサントスは、1904年※に作られた、カルティエ初の男性用腕時計。ブラジル人飛行士 アルベルト・サントス=デュモンの「操縦する際、簡単に時間を確認できる時計が欲しい」というオーダーにより作られたスクエア型の時計です。(※市販は1911年)
こちらのサントス100は、特別な限定モデルではなく通常モデルとして展開された時計。大きめで厚みのある男性的なフォルムは、パネライなど「デカ厚」の時計を意識したものかもしれません。こちらの裏蓋はステンレス製の通常仕様ですが、2004年の初期生産ロットには「1904-2004」の刻印も入っていたとか。
カルティエでは、レディースの大定番モデル「タンク フランセーズ」も周年のタイミングで登場した腕時計。カルティエ創業150周年である1997年に誕生しています。
→CARTIER(カルティエ) サントス100 LM
(W20073X8、SS、自動巻き、38×38mm、USED)SOLD OUT
5、ロレックスで周年? ~サブマリーナ デイト
(ロレックス 「サブマリーナ デイト」 Ref.16610LV “グリーンサブ”)
最後の1本も「周年イヤーに登場した」時計。ROLEX(ロレックス) サブマリーナ デイト Ref.16610LV。サブマリーナ誕生50周年である2003年に登場した初代「グリーンサブ」です。(2010年の後継モデル Ref.116610LVの登場に伴い生産終了)
ロレックスは、記念限定モデルを発売することがほとんどなく、このモデルも新色という以外は、特別な刻印等もなく限定でもない通常のモデルです。周年にタイミングを合わせた「かくれ周年モデル」といったところでしょうか?
グリーンは、ロレックスのコーポレートカラー。発色の良いアルミのベゼルプレートは経年変化をしていくのですが、それも味として今も愛されるモデルです。
そのほか、周年に合わせて追加されたロレックス新機種としては、「GMTマスターII “ゴールド素材”(2005年)」(Ref.116718、GMTマスター50周年を記念したと言われる)や「デイトナ “プラチナ素材”(2013年)」(Ref.116506、デイトナ50周年)などが存在します。
そして、ロレックスの今年2023年は「デイトナ誕生60周年」。3月末頃のウォッチ&ワンダー展示会で、7年ぶりの新型発表が噂されるデイトナですが、さらに、新たな「かくれ周年記念」モデルも登場するかもしれませんね。
→ROLEX(ロレックス) サブマリーナ デイト(グリーンベゼル)
(16610LV、ステンレス、自動巻き、40mm径、2005年頃製造品、保護シール付き未使用品)
「周年」の時計 2023年も楽しみです
周年を記念した時計たちは、いかがだったでしょう? 「特別な記念モデル」と「周年タイミングの発表品」と、大きく二つのパターンが見られました。
今年2023年は、ロレックス デイトナ以外にも
- サブマリーナ、エクスプローラー誕生70周年(ロレックス)
- フィフティファゾムス誕生70周年(ブランパン)
- カレラ誕生60周年(タグホイヤー)
- G-SHOCK誕生40周年(カシオ)
- スウォッチ誕生30周年(スウォッチ)
などのアニバーサリーイヤーとなっています。未知の新作に期待しつつ、楽しみにウォッチしていきたいところです。