エバンス オンラインショップ担当の大貫です。
2022年12月1日に突如発表された、「ロレックス認定中古 (Rolex Certified Pre-Owned)プログラム」を取り上げたいと思います。少し前から噂は出ていたものの、突然の発表に驚きました。
時計ブランドではまだまだ『認定中古』の分野は広がっていないものの、車メーカーでは既に一般化しているのはご存じでしょう。最近では靴ブランドJ.M.WESTON(ジェイエムウエストン)』による『ウエストン ヴィンテージ』や、カメラブランドのLEICA(ライカ)による『ライカ・アプルーブド・カメラ』といった認定中古が展開されるなど、今ちょっとしたブームとなっています。
ちなみに、時計の認定中古はロレックスが初めてではなく、以前からフランクミュラーやリシャールミル、オーデマピゲ、ブライトリング、またヴァシュロン・コンスタンタンのヴィンテージモデル巡回展示販売『レ・コレクショナー』 など、少ないながらも着実に扱うブランドが増えてきています。
これまで加熱する中古市場に対して、我関せずのスタンスをとってきたロレックスですが、本格的に中古市場に参入することで、どのような影響があるのか?発表されたばかりのプログラムですので、現時点でわかっていること、疑問点、今後の影響などについてご案内したいと思います。
ロレックス認定中古プログラムの概要
購入するユーザーのメリットは、「真正性」と「品質」が重要なポイントでしょう。価格が高くてもブランドのお墨付きがある時計を購入したいユーザーの需要は大いにあります。発表されている内容としては、
- 2022年12月上旬スタート
- 2年の国際保証付(専用ギャンランティ)
- 「BUCHERER(ブヘラ)」のブティックでのみの取扱い
- 2023年春までに他のブティックにも拡大予定
- 製造から3年以上経過したモデルが対象
- 専用タグ、専用ポーチ、保証マニュアルが付属
- 新品販売時のセールス・ギャランティが付くものもある
- セールス・ギャランティ以外のオリジナルの付属品は無し
専用のタグとギャランティが付属するだけで付加価値が付きそうですね。
発表直後より販売がスタートしていますが、2022年12月現在、購入できる場所は長年ロレックスとパートナーを組んでいる老舗時計店「 BUCHERER」の6か国(スイス、オーストリア、ドイツ、フランス、デンマーク、イギリス)にあるブティックで購入が可能となっています。WEB上で在庫の状況は確認できるものの、いまのところオンライン販売は行っていない様です。また販売済みとなった商品情報は確認不可。
認定中古の販売価格はどうなる?
もっとも気になる点は認定中古品の販売価格でしょう。価格によっては、現在の中古マーケットの相場が大きく動く可能性があります。情報では、価格の設定はロレックスが決定するわけでなく、ショップによる価格設定となる様子。
ブヘラのホームページでは既に掲載されていますが、確認したところ日本の国内相場より2割~3割ほど高く、スポーツモデルはさすがに少ないながらも、意外と在庫数は多い印象。また2022年12月15日時点では、5桁モデルは1本(ヨットマスター:Ref.69628)のみで、ほぼ6桁モデルでの展開。現行モデルもありましたが、ごく僅かでした。今後はさらに品数は増えることでしょう。
モデル毎のページでは、シリアルナンバーや交換パーツの有無、コンディション等の情報は無く、 詳しい内容は店舗確認になりそうです。
ロレックス認定中古の不明点
今後は全世界で展開していくと思いますが、気になるのは日本での展開。既に公式サイトでは日本語ページも用意されていますので、早々に日本での販売もありそうですね。開始時期と取り扱うブティックが気になります。
価格に関しては、国内においても一般的な相場よりも高めになると思われます。また、他にも商材の集め方はどうしているのか?国内の買取価格や下取り価格の公表はあるのか?といった点が不明です。
また今後、取扱い数が増えることで、個別のシリアル番号による価格差や文字盤や針などのオリジナリティ、交換したサービスパーツの有無の提示など、中古ロレックスならではの情報も欲しいですね。
個人的には、ヴィンテージモデルの取扱いを希望したいところ。 ヴィンテージ・ロレックスの認定中古であれば、非常に高い需要を感じます。ただヴィンテージの販売するとなると、品質保証の観点からメンテナンスを行いますが、オリジナル性をどう判断していくのか難しい部分もありそうです。
今後の影響
今回ロレックスの認定中古が始まることで、他のブランドも追随すると思われ、特にロレックスの兄弟ブランドであるチューダーの動向は気になります。
中古相場に関しては、ほとんど影響しないと考えていますが、ロレックス認定中古品の二次流通時計は、ある程度の付加価値が付くことでしょう。そのためロレックスの中古市場の幅が広がり、【中古 < 認定中古 < 未使用 < 新品】 といった価格体系になると思います。
なお、ロレックス本社では スイス国内のエネルギー不足の影響により、 2022年10月から2023年3月まで工場の稼働量を半減しているそうで、今でもブティックのショーウィンドウにほとんどない商品が、更に減る見込みです。そうなると、ロレックスとしても認定中古は非常に重要なプロジェクトになることが考えられますので、大きな展開が予想されますね。今後が楽しみです。