ちょうどいい1本「GRAND SEIKO(グランドセイコー) スポーツコレクション SBGV245」(USED) 2022年11月14日
2022-11-14 11:00
今回のエバンスブログは、「GRAND SEIKO(グランドセイコー) スポーツコレクション SBGV245」のユーズドウォッチをご紹介。2018年夏から2年半ほど発売されていた40mmサイズの3針モデルとなります。グランドセイコーらしからぬ?クセの少ないシンプルフォルムに、ナイロンベルトを合わせた1本なのです。
今回のモデルについて
(■今回の時計「グランドセイコー スポーツコレクション SBGV245」 ■キャリバー9Fの25周年にちなんだモデルの一つとして発売された(限定のブルーはダイアルに特別な模様が入っている) 出典:公式サイト 25周年モデル発表ページ)
今回の「SBGV245」は、”クォーツを超えるクォーツ” こと「キャリバー9F」の誕生25周年を記念した限定時計の派生モデルです。2018年6月に1000本限定モデルとして「ブルー」文字盤(SBGV247)が先行発売、ひと月遅れの2018年7月に、今回の「グレー」(SBGV245)と、色違いの「黒」(SBGV243)が、通常モデルとしてリリースされました。
3型番ともグランドセイコーでは初となる「ナイロンベルト」仕様で、高精度な9Fクォーツ式ムーブメントを搭載。20気圧防水や耐磁機能(16,000A/m)も備えます。こちらのモデルは、2021年の1月頃に販売終了となりました。
そういえば「グランドセイコー 」。知っているようで知らない気がします。 どんなブランドなのでしょう?
グランドセイコーとは
(■1960年に発表された「初代グランドセイコー」 ■1967年に発表された名作「44GS」 出典:公式サイト グランドセイコー History)
GRAND SEIKO(グランドセイコー)は、セイコーの高級腕時計ブランド。「世界に挑戦できる国産最高級の腕時計」を目指し登場したのが1960年のこと。時計ブランドとしては最近の誕生だったりします。その歴史を振り返ってみましょう。
1960年 | 「初代グランドセイコー」誕生 |
1967年 | 「44GS」誕生。デザインの指針となる「セイコースタイル」を確立 |
1970年代 | (”クォーツショック”により休眠状態に) |
1988年 | グランドセイコー初となる【クォーツ式】モデルで復活 |
1993年 | “クォーツを超えるクォーツ”「キャリバー9F」搭載モデルが登場 |
1998年 | 【機械式】のグランドセイコーが復活 |
2004年 | グランドセイコー初の【スプリングドライブ】自動巻き 搭載モデルが登場 |
2017年 | 「独立ブランド」に(文字盤から「SEIKO」が消える) |
1960年代後半には「スイス天文台コンクール」で上位に入るなど、機械式ムーブメントの精度を追求してきたグランドセイコー。研磨など優れた加工技術でも知られる実力派ブランドです。自社で開発から製造までを一貫して行う「マニュファクチュール」でもあり、ムーブメントを手作業で組立・調整するなど、深いこだわりを持つ一面もあります。
1980年代後半にクォーツ式で復活したグランドセイコー。現在は、セイコー独自の「スプリングドライブ※」を始め、機械式、クォーツ式という「3種類のムープメント」が存在。それぞれに高品質・高性能を実現しています。(※ゼンマイを動力にクォーツで制御するハイブリッドで高精度なムーブメント)
(グランドセイコーには、スプリングドライブ、機械式(自動巻き、手巻き)、クォーツという3種類のムーブメントが存在 出典:グランドセイコー公式サイト 解説ページ 9R スプリングドライブ、9S 機械式、9F クォーツ
グランドセイコーは、2017年に独立ブランド化。GMT、ダイバーズ、クロノグラフなどスポーツ系モデルの展開を拡大したり、「日本の美」を意識したダイアル仕上げを取り入れるなど、現在も世界に向けてその存在感を広めています。(参考:過去ブログ「グランドセイコー基礎知識」)
ここからは、今回の時計「スポーツコレクション SBGV245」を見てみましょう。
今回の時計を見てみましょう
(■シンプルで直線的なケースデザインに、筋目と艶ありの2種類の仕上げが巧妙にミックスされている ■太く長いアロー針や立体的なバーインデックスがタフさをさりげなく演出)
シャープで直線的なケースに目がいくこちらのモデル。「オフにも使えるグランドセイコー」というのがテーマだったそう。「スポーツコレクション」の立ち上がりもこのモデルと同じ2018年だったため、スポーツ系ウォッチの新たな方向性を探っていたのかもしれません。仕上げのヘアラインと光沢面の組み合わせで、さりげないタフさと上質感を両立しています。直線的な針やインデックスとも好相性なフォルムです。
(ダイアルの細部まで細やかな仕立て。分目盛があるダイアル外周にはレコード盤のような溝が施されている。6時位置の文字「9F82-0AL0」は”側型式番号”と呼ばれるケース番号的なもの ■「ルミブライト」夜光で暗いところでの視認性も十分)
ダイアルはシルバーがかったグレー。ケースやベルトと近い色合いで大人っぽい組み合わせです。こちらの型番では、ブルーや黒のモデルで見られるビビッドな差し色(オレンジや黄色)の秒針でなく、濃いグレーを採用し、落ち着いた感じとなっています。ブランド名以外でダイアル上に目立つ文字がないというのも異色です。針やインデックスには、セイコー独自の「ルミブライト」夜光が施されています。
(リューズガードがなくリューズも小さめで、すっきりした控えめな造形だが、「ねじ込み式」リューズで安心感がある 横からのフォルムも直線的でシンプル)
横からも直線的でシンプルな形状。ラグが短めでバネ棒用の穴が空いています。1950年代後半のスポーツ系の腕時計を思わせるクラシカルなスポーティーさが漂います。ケースの厚さは11.8mmで、重さは101g、厚すぎずブレスレットモデルほど重さを感じないかと思います。
(■しっかりした作りのナイロンベルト。こちらのコーデュラナイロンは比較的太めの1000デニールタイプ ■裏蓋には獅子の刻印)
ベルトは、強度の高い米国インヴィスタ社の「コーデュラ(CORDURA)」ファブリックで、裏面は革張り。グリーンがかったグレーっぽいカラーも絶妙で、さりげないミリタリー感が漂います。少し硬そうな感じではありますが、しっかりとした作りです。金具は3つ折り式で、ブレスレットのように使え、着脱に便利そうです。
ムーブメントは、クォーツ式の「9F82」を搭載。「年差±10秒」の高精度で、クォーツ式ながら太く長い針を駆動させるなど、グランドセイコー 独自のこだわり仕様となっています。裏蓋にはグランドセイコー の「獅子」のマークが入っています。
新品で買えない「ちょうどいい」1本
(■今回の時計の後継?現行のスポーツ系3針モデル(SBGX341) 出典:グランドセイコー公式サイト ■腕回り16.5cmのスタッフが腕に乗せてみました。スーツ系も意外といけるかも)
今回は、すでに生産終了となっている「グランドセイコー スポーツコレクション SBGV245」の時計を見てきました。現行モデルでは、強化耐磁&4時位置リューズのSBGX341(白)あたりが近いところかと思いますが、スポーツ感を増した印象です。
今回の時計は魅力的ですが、「選ばない」ポイントとしては
・「ロレックスのように他人から一目置かれにくい」
・「GSなのにスプリングドライブや機械式でない」
・「グレーっぽくて派手さがない」
などがあるかと思います。
しかし、裏返しで、
・「他人の目線を気にせず使える」
・「ゼンマイ巻きが不要で操作も少ない」
・「非常にシンプルで、大人っぽいスポーティー感がある」
といったところが、魅力なのだと思います。オフのカジュアルシーンなどで、安心して使える「ちょうどいい」1本なのではないでしょうか?