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ショパールの傑作スポーツウォッチ「アルパインイーグル」

2022-01-18 11:30

こんにちは、銀座エバンスの稲田です。
本日はショパールからスポーツウォッチの”アルパイン イーグル ケイデンス 8HF”のご紹介です。

ショパールとは

1860年、今から160年以上も前のお話ですが、若い時計職人であった”ルイ-ユリス・ショパール”が、スイスのラ・ショー・ド・フォン近くの小さな町、ソンヴィリエに小さな工房を建てたのがはじまりです。

芸術作品とも言える斬新なデザインで、優れた精度を持つ懐中時計の製作を得意とした彼の作品は、様々な著名人達をたちまち虜にし、世界中にその名が広まるのにさほど時間は掛かりませんでした。
その後の1915年、息子のポール-アンドレ・ショパールへと経営は引き継がれ、支店をラ・ショー・ド・フォンへ、数年後にはスイス最大の湖レマン湖の端、みなさんご存知のジュネーブへと本社を移します。

しかし1960年代に入り、ショパール家の人間が誰も跡を継ぐ意思がないことを知ったアンドレは、会社を手離すことを決意し、運命的に出会ったドイツの金細工・時計職人である”カール・ショイフレ”へ売却しました。
1970年になった頃から、ショイフレはジュエリーウォッチを手掛けるようになり、衰退していたショパールの復興を見事成功させ、1980年代にはカールとその妻カリンの娘であるキャロラインと兄のフリードリッヒが経営に加わり、現在ではこの二人が共同社長を務めています。

復興成功のきっかけとなったのは、1976年に発表した我々もよく知るジュエリーウォッチ、”ハッピーダイヤモンド”です。1980年に起こった「クォーツショック」により、時計業界が大打撃を受けている中、クォーツウォッチであるハッピーダイヤモンドによって同社は救われたのです。(下写真左:ハッピーダイヤモンド、右:1993年にカジュアルラインとして登場したハッピースポーツ)

文字盤上に薄いサファイアクリスタルガラスを二枚重ねてその間にダイヤモンドをセットして組み立てるという世界初のデザインの腕時計は、文字盤上で踊るように自在に動くダイヤモンドに誰もが驚き魅了され、ブランドのアイコンとなったのは言うまでもありませんよね。

ちなみに少し前の1988年には、伝統あるイタリアのクラシックカーラリー「ミッレミリアレース」とパートナーシップを結び、その名も”ミッレミリア”という防水性の高いスポーツラインを発表、その後1997年には創業者ルイ-ユリス・ショパールの頭文字を冠した”L.U.C”を発表し、クロノグラフやトゥールビヨン、ミニッツリピーターなど、洗練されたメンズウォッチの製作にも力を入れています。(下写真左:ミッレミリア、右:L.U.C)

次のチャプターで詳しくお話しますが、ショパールは2001年より「カリテフルリエ財団」に所属しています。ショパールの腕時計の一部は、スイスクロノメーター検定機関の検査に加え、このカリテフルリエ機関の規定に基づき、更に細かい検査とテストが行われています。そしてクロノメータープラス、財団の認定を受けたものだけが、商品としてお店に並ぶのです。

創業者”ショパール”の偉業と伝統を、受け継いだ時から現在もなお大切にしている”ショイフレ家”。家族経営だからこそ生まれる新しいデザインや技術は、これからの時代で更に飛躍していくことでしょう。

カリテフルリエとは

2001年、ショパールを含めた数社、2017年の私のブログ記事にも登場した”パルミジャーニ・フルリエ”、19世紀に大成功を収めた懐中時計をモチーフとした腕時計を得意とする”ボヴェ・フルリエ”、ムーブメント製造会社の”ヴォーシェ・マニュファクチュール・フルリエ”の共同プロジェクトにより設立された、独立した検定機関のことです。

ショパール公式サイトより:カリテフルリエ財団(FQF)

● カリテフルリエ認定取得の条件 ●
 ① 100%スイス製であること
 ② ムーブメントは高級感を伴う美しさを追求した仕上げであること
 ③ COSC(スイスクロノメーター協会)認定で合格をしていること
 ④ クロノフィアブル・テストに合格していること
 ⑤ フルリテストに合格していること

それぞれ少し詳しくお話していきます。
① 100%スイス製であること
 …構想・設計・製造・組立に渡り、時計本体と構成部品のすべての工程がスイス国内で行われている必要があります。この検定にパスした個体は「Qualité Fleurier(カリテフルリエ)」の刻印の他、「manufacturée 100% en Suisse(スイス国内で100%製造)」という内容を記載することができます。

② ムーブメントは高級感を伴う美しさを追求した仕上げであること
 (審美的品質基準の確立)
 …研究・教育・製造の専門家たちのグループにより、各部品の仕上げや装飾レベルの高さが定義され、これらをクリアするために小さな部品ひとつひとつの徹底したチェックが最重要ポイントとなります。

③ COSC(スイスクロノメーター協会)認定で合格をしていること
 …世界的に有名な検定機関である「COSC」で行われているテストとは、15日間で5つの姿勢差と3つの異なる温度(8℃・23℃・38℃)の環境下でのムーブメントの精度を測定、更に直径20mm以上のキャリバーの日差が-4~+6秒以内、それ以下の大きさのキャリバーは日差-5~+8秒でなければならないという、規定が厳しく定められています。

④ クロノフィアブル・テストに合格していること
 …「クロノフィアブル・テスト」とは、リューズ・(クロノグラフなど、プッシュボタンのあるモデルはボタンも)・回転ベゼルの老化サイクルテスト、磁気・衝撃・防水性のテストです。

⑤ フルリテストに合格していること
 …「フルリテスト」とは最後のテストのことで、ロボットによる24時間機能テストです。 これは一昼夜の人間が生活する上で起こる様々な動きを想定し、シュミレーションをします。このテストで重要なことは、日差がマイナスになってはならない、日差0~+5秒以内でなければならないという所です。COSCに加え、この最後のフルリテストに合格した個体がようやくカリテフルリエ認定モデルと定められ、出荷されるのです。

現在、同社では「L.U.C」シリーズの特別なモデルのみが、カリテフルリエ認定を受けています。今回ご紹介するアルパインイーグルはクロノメーターで、カリテフルリエの刻印はありませんが、ショパールという会社の腕時計づくりに対する真摯な取り組みをこの機会にみなさまにお伝えしたくて、この項目を作成しました。

アルパインイーグルとは

2019年に発表された、新世代のラグジュアリースポーツウォッチです。これは1980年、前述した現社長のカール・フリードリッヒ・ショイフレのデビュー作「サンモリッツ」のリバイバルで、サンモリッツはショパール初のステンレス製スポーツウォッチです。

ステンレスとイエローゴールドコンビや、金無垢、ダイヤをあしらったモデルなど、バリエーション豊かに製作されていた、独特な雰囲気を持つこのモデルは、ショパールのアイコンとしてカール・フリードリッヒ・ショイフレ氏はとても大切に思っていました。

そこに、氏の息子であるカール・フリッツ・ショイフレが、偶然に机の引き出しの中に入っていたサンモリッツを発見し、しばらく身に着けてみた後に時代に合わせた改良、すなわち再解釈ができると確信したそうです。そして約5年もの歳月をかけて完成した素晴らしいモデルは、今ではショパールの新たなアイコンとして大成功を収めています。

伝統的なディテールはそのままに、スポーティーさとショパールらしいドレス感との融合は見事です。パテックフィリップやオーデマピゲのステンレスモデルよりも求めやすい価格設定(レギュラーモデルは定価100万円台)、今の時代に照準を合わせた次期四代目のフリッツ氏の才能が光るモデル、それがアルパインイーグルなのです。

独特な風合いの文字盤デザインは、モデル名の「イーグル」から分かる方もいらっしゃると思いますが、”ワシ”の眼の”虹彩”をモチーフにしており、秒針のおしりにもワシの羽をイメージした飾りを付けています。また「アルパイン」とは、アルプスの高い山のことで、このモデルは大自然にインスピレーションを受けて完成したことを示しており、リューズには大自然への冒険へと誘う”コンパスローズ(羅針図)”が刻印されています。

そして、前身のサンモリッツのベゼルは艶有りだったのに対し、生まれ変わった今作では、ブレスレットと共にベゼルをも艶消しの仕上げにして統一感を持たせ、より洗練された現代的なデザインとなっています。

今回ご紹介した「アルパイン イーグル ケイデンス 8HF(ALPINE EAGLE CADENCE 8HF)」は世界限定250本、レギュラーモデルとの違いは、素材がチタンであることと、シルバーに近い明るいグレーの文字盤色(レギュラーモデルはステンレスで暗めのグレー)、特筆すべきは超高速な振動数です。一般的な自動巻き機構の振動数は毎時28,800回なのに対し、この限定モデルは毎時57,600回(8Hz)と二倍の速さで動きます。高振動であることで何が起こるかというと、腕時計に対するあらゆる衝撃で、心臓部のテンプに影響が起こり不具合(進み・遅れ・止まり)の原因になるのですが、このテンプの振動を速くすることで、影響を起こりにくくします。更に、歩度の等時性を素早く回復させることができるので、「超高速振動=正確」なのです。

文字盤の真ん中より少し下に、珍しいマークが見えますよね?これは超高速振動マークで、裏スケのガラスにもプリントされています。これからこのマークが付いたモデルが増えて来ることを期待して、新作を楽しみにしたいですね。

おわりに

いかがでしたでしょうか。
見れば見るほど、惹き込まれる作品のひとつ、アルパインイーグルのご紹介でした。

先程もお伝えした通り、このモデルは世界限定250本で、現在国内でご覧いただけるのはここエバンスのみです。この記事をご覧になって気になられた方はお早めに、まずはご連絡ください。
みなさまのご来店、心よりお待ち申し上げております。

銀座エバンス

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