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「最高峰クロノグラフ ”ブライトリング for ベントレー フライングB”」2018年12月4日

2018-12-13 14:06

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こんにちは、銀座エバンスの稲田です。
冬の足音が聞こえて来ましたね。
朝も寒くなりましたので、みなさまご自愛くださいね。
さて、本日はブライトリングより“ ベントレー フライングB” のご紹介です。
1860年。今から約160年以上も前のお話ですが、当時のスイスジュラ地方では、農業の傍ら主に冬の時期に小さく精密な時計の部品づくりに励む家が多く、創業者であるレオン・ブライトリング家も例外ではありませんでした。幼い頃から複雑で精密な機構に興味を持っていた彼は、特にクロノグラフへの好奇心が人一倍旺盛だったそうです。そして1884年、スイスのサンティミエに小さな時計工房を開くのですが、これがブライトリング社のはじまりとなります。
レオン氏の製作するクロノグラフは傑作で、博覧会では数々の賞を受賞、そして空すなわち飛行機への愛に溢れた人物だったというのは、現在の作品にも見て取れる周知の事実ですよね。彼の情熱は息子に引き継がれ、二代目でパイロットウォッチといえば、ブライトリングだと誰もが口を揃え、秀逸なクロノグラフ製造会社としてスイスでも指折りの時計メーカーとして発展していきます。
三代目のウィリー・ブライトリングの時代は正にブライトリングの黄金時代と言われています。初代、そして父である二代目、それぞれの遺志をしっかりと受け継ぎ、このブランドの名声を高めたのは彼の偉業があったからこそです。ひとつ例を挙げると1952年に現代の私達もブライトリングといえば、まず初めにこのモデルの名を挙げる程有名な“ナビタイマー”を完成させたことです。(下写真 ブライトリングHPより引用)そして1969年、当時ライバルだったタグホイヤー社と提携して生まれた、共同開発の世界初の自動巻きクロノグラフを完成させ、今もなおその名機はコレクター達の熱い視線を浴び続けています。ウィリー氏の見事な経営手腕は、当時世界中のパイロット達がブライトリングの名を知らない者はいないほどだったそうです。初代の念願を見事に叶え、同社を繁栄に導いたこと、それが黄金時代と言われている所以なんですね。
そして三代続いた家族経営もスイスの時計業界全体を激震の渦にした”クォーツショック”の猛威には勝てず、(クォーツショックについては私の以前のブログ→「海の護り人 ”ユリス・ナルダン”歴史と作品編」で詳しく解説しています。合わせてご覧下さい。)三代目は病床であるひとつの決断をします。ブライトリングというブランドの伝統を必ず守ると固く約束してくれた、当時別の時計メーカーに携わっていたアーネスト・シュナイダーという人物に、ブライトリングの未来を託そうと。そしてこのときの英断が今のブライトリングというブランドを確立させ、見事に再復興を果たしたと言っても過言ではありません。

自身のブランドでクォーツショックの波に乗り、しぶしぶクォーツ腕時計を製作・販売はしていたものの、ブライトリングというブランド・アイデンティティーを尊重していたシュナイダー氏は、クォーツの量産化が進んで廉価になっていく時計業界に実は憤りを感じていたそうです。
クォーツショックという大打撃を逆にバネにし、機械式時計を復活させたいという熱い思いは行動に繋がり、腕利きの時計職人探しからはじまり、パイロットでもある彼は大胆な行動を起こします。
それは、イタリア空軍のアクロバットチームであるフレッチェ・トリコローリが公式の腕時計を募集していると知り、すぐさまイタリアへ飛び、その後何度もイタリアへ足を運んでいろいろなパイロット達の要望を聞き取り、ひとつのモデルを完成させたのです。


チームが求めていたのは「10Gまでの加速に耐える腕時計」ただそれだけでした。(”G”とは重力の単位のことで、加速度を示します。例えばスカイダイビングで1G、世界最速のジェットコースターが5.5G、レッドブル・エアレース(世界最高の技術を持つレースパイロット達によるスポーツのこと)で10Gです。…「赤土の王者 ”ラファエル・ナダル × リシャール・ミル ”」私の以前のブログより引用)
他ブランドは、各社既存のモデルを改良して応募していた中、シュナイダー氏は一切の妥協を許さず、一から設計をするべくイタリアへ何度も飛んで直接、実際に着用するパイロットたちの話を聞いて回ったのです。彼らの要望をまとめると、まっすぐなラグ・回転ベゼル・ライダータブ(グローブを着けていても回せるベゼルの突起のこと)が付いている腕時計が欲しいということでした。これらを受けて、試行錯誤しながら何度も試作、実際にパイロットたちに試着してもらってようやく完成をしたのが、現在でも名機と名高い「クロノマット」です。(上写真 ブライトリングHPより引用)

これがついに公式時計に採用された1983年、レギュラーモデルとして発表、世界中の時計愛好家たちが待ち望んでいたブライトリングが復活した瞬間でした。その後、エアロスペース、スーパークォーツなどのモデルを送り出し、2009年、自社製ムーブメントキャリバー01を発表、現在では複数の自社キャリバーを開発・搭載モデルが存在します。
1994年、息子のセオドアへ事業を引き継いだシュナイダー氏はパパ・シュナイダーの愛称で多くの人々に慕われ、2015年に永眠しました。氏の印象的な言葉を記しておきます。「私は過去の伝統を含め、ブライトリングのすべてを継承する」この信念は息子にも受け継がれているため同社は益々発展し、そして未来永劫、パパ・シュナイダーの伝説は語り継がれ人々の記憶に残ることでしょう。


ベントレーとは、1919年にウォルター・オーウェンにより創業、来年で100周年を迎えるイギリスの車メーカーです。速くてクラス最高の良い車をコンセプトに、ロールスロイスやアストンマーティンと並ぶラグジュアリーでハイパフォーマンスな車を製作しています。同社では”グランドツアラー”といってスポーツカーと対照的な滑らかな乗り心地で運転がしやすく、比較的長くて大きなつくりというのが特徴の車に力を入れており、最新のグランドツアラーは新型コンチネンタルGTコンバーチブルという名の車で日本でのデリバリーは来年だそうです。

ベントレー社が自信を持って世界最上級で最先端かつ最強の車だと豪語するそのモデルは、2000万円以上の値が付いていて、今も昔もベントレーに乗ることがお金持ちのステイタスとされています。というのも1920年代、創業者であるウォルター・オーウェンがレーシングの虜となり、ル・マンというフランスで行われる24時間耐久カーレースに出場するためにエンジンの開発に夢中になっていたそうです。24時間、何周走れるかを競うこのレースでは、レーサーの忍耐はもちろんのこと、エンジンがいかに凄いものであるか素人の私でも想像ができます。このレースにベントレーで出場したレーサーは、ベントレー・ボーイズ、ベントレー・ガールズと呼ばれ、主に富裕層の子孫だったそうです。そしてベントレー・ボーイズは5回にわたって優勝をするという快挙を成し遂げ、今でも伝説として語り継がれています。


ブライトリングとベントレーの繋がりは70年以上前に遡り、前述した三代目・ウィリー氏が熱狂的なベントレーファンで、ベントレーをたくさん所有していたことによります。
そして2003年、同社がグランドツアラーであるコンチネンタルGTのダッシュボード・クロックのデザインをブライトリング社に依頼したことから、パートナーシップが結ばれました。
現在ブライトリング社では、高級ラインとしてベントレーモデルを紹介しています。特徴としてベントレーの顔であるラジエーター・グリル、インストルメント・パネルを想起させる文字盤デザイン、ローターはホイールをイメージしてと、あらゆる部分でベントレー・カーを彷彿させるモデルになっています。近年は丸型のみのつくりで、殆どが限定で現在は生産終了、今回ご紹介する角型ももちろんディスコンのレアモデルです。

ちなみに、ベントレー社の中で最も高級なモデルはミュルザンヌという名の車でその価格なんと、4000万円近く、立体的なベントレーのエンブレム”フライングB”はこのモデルにのみ取り付けられた特別なエンブレムです。上の箱はブライトリング・フライングB専用の箱なのですが、このエンブレムの写真が大きく写し出されているのがご覧いただけますでしょうか。(上写真 ベントレーHPより引用)贅沢に大きくくり抜いたホワイトゴールドケース、インデックスにはにシェルを採用、秒針の始まりにはベントレーのBの文字。このモデルがいかに特別製であるか分かりますよね。横から見たケースはベントレーの車のボディを想起させ、過去の伝説的なビンテージ・ベントレー・カーの姿も目に浮かんでくるようです。


最高峰を求める二社だからこそ実現した夢のコラボモデル。
ずっしりと心地よい重み、大振りながら腕に沿う形状、一目でそれとわかるデザイン。
キャリバーは現在、すべて自社製に切り替わっているため、このモデルを含むベントレーシリーズ、そしてビックデイトが特徴のブライトリング44B搭載モデルは前述した通り、全て生産終了となっております。
故に市場に出回っていないのが現状で、これからも更に入手困難になって来ますので、このブログを見て少しでもご興味を持たれた方は、この機会にお早めにご覧ください。

私はこのブログを書くに当たり、両社の歴史に触れた今、改めてこのモデルに魅了されています。
まだまだ語りつくせぬ人と一味もふた味も違うこの時計、是非、みなさまに一度にお手に取って頂きたいです。
ご興味のある方は私までご連絡下さい。
みなさまのご来店、心よりお待ち申し上げております。

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