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「クロノグラフの父 “モンブラン ニコラ・リューセック”」 2015年11月17日

2015-11-17 19:37

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こんにちは、銀座エバンスの稲田です。
寒くなりましたね。銀座の街ではマフラーやショール、ダウンジャケットの方もちらほら見られます。
皆様、風邪などに気を付けてお過ごしくださいね。

本日はエバンスブログ初 “ モンブラン ”からニコラ・リューセック クロノグラフ
のご紹介です。


モンブランといえば、ボールペンや万年筆をみなさん思い出しますよね。
近年では大震災の津波で唯一耐え残った「奇跡の一本松」を用いた、“マイスターシュテック・奇跡
の一本松”と題された、日本限定113本の万年筆が記憶に新しいです。

モンブランは1906年、銀行家のアルフレッド・ネヘミアスとエンジニアのアウグスト・エーベル
シュタインの二人によって、シンプルなペンを製作することからはじまります。
ブランド名の“モンブラン”は、会社の共同経営者の親戚がカードゲームをしている時に、“ペン”と
アルプスの最も荘厳な最高峰“モンブラン”が似ていることを発見し、この名が名付けられたと伝えられて
います。
モンブランのブランドロゴであるホワイトスターのマークは、モンブランの山頂を覆う万年雪、
つまり最高品質を象徴するもので、ブランドの「誇り」を表しているそうです。


1990年にモンブランは初のブティックを香港に出店、その後世界70か国、350店舗以上にまで拡大しました。1992年、スモールレザーグッズやデスクアクセサリーの製作を開始、1993年にはリシュモンの傘下に入ります。
9月の私のブログ「日本人時計師がおくる “オーデマピゲ ミレネリー4101”」
でもお話しした、“ル・ロックル”(ラ・ショー・ド・フォンと一緒に世界遺産に認定された、
隣の町)に1997年に時計の工房を設立し、SIHH(国際高級時計展・ジュネーブサロン)で初めて
腕時計を発表します。
そして2007年、ラ・ショー・ド・フォンの上部に位置する街“ヴィルレ”にある「ミネルバ」という
1858年設立の伝統ある小さな工房と提携し、もうひとつの工房「ミネルバ・オート・オルロジュリ」を設立しました。

モンブランの時計達は現在、このふたつの工房で製作されており、ル・ロックルにある工房は主に組み立てを行っており、ヴィルレではムーブメントの開発やコンプリケーションの製造を行っています。
これらふたつの工房を服飾用語で表現すると、ル・ロックル工房を“デラックス・プレタポルテ(高級既製服)”、ヴィルレ工房を“オートクチュールのアトリエ(特注の仕立服)”だそうですよ。
大変理解しやすい表現ですよね。
ヴィルレの工房には約50人の時計師がいて、年間に一人がつくれるのがワンピースのみ、
その為工房全体でなんと、年間約40本程のモデルしか製造できないそうです。
モンブランの“ヴィルレ・コレクション”は一本一本が高額です。
完全自社一貫生産(マニュファクチュール)彼らはなんと「ひげぜんまい」までも手作りなのです!
創業当時からの伝統をいまもなお守り続けるこの作業、特殊な金属に油を少しずつ注ぎながら、
気の遠くなるような時間をかけてゆっくりゆっくり伸ばしていく。そしてこの髪の毛より細いぜんまいを、
慎重に慎重を重ね、手で巻き上げていくのです。


彼らは細部の組み立てを行う時には、実際に息を止めて作業するそうです。
それはほんのわずかな息でさえ、小さな部品を吹き飛ばしてしまわない為です。
モンブランは次のように腕時計の表現をしています。
“モンブラン”の最高級時計は、同時にそれ自身が人生の一部になります。
時計の各パーツは、体内での役割を自負し、休むことなく力強く働き続ける器官のように、ステンレス
スティールやサファイアクリスタルのケースの下で自らの機能を発揮し続けます。
ひとつひとつのパーツには魂があり、各パーツのつながりを覚えています。
それにより時計は人間の体のように呼吸し、動作し、そしてあなたのパートナーとなって人生の旅に同行
する瞬間を待ち続けているのです。
製作には300時間もの作業時間を要します。それは後にひとつの奇跡を起こします。
機械式ムーブメントのバランスを調整し、振動させる。新しい生命の誕生です。
新たな息吹を吹き込まれた完璧かつ純粋な芸術作品です。

腕時計を人間のように見立て、表現する。そんなブランドに出会ったのは初めてです。
時計の心臓部分であるひげぜんまいまでも手で製作しているメーカーは、全世界でも数社だけです。
モンブランは先に記した伝説の時計工房「ミネルバ」に敬意を表し、工房の名前にその名を冠し、工房には
ミネルバの年代毎の写真が今でも飾られており、ミネルバ時代の時計師達はミネルバの名の入った白衣を今も着て一緒に仕事をしているそうです。
ミネルバは1858年創業、クロノグラフとストップウォッチにおいては他社の追随を許さない数々の素晴らしい作品を製作しています。
その素晴らしさとは、部品ひとつひとつの面取りが丁寧でそのフォルムが芸術的であること、ローマ神話の女神からとったミネルバという名の通り、部品に女神の持っている槍の形を採用していたりと見た目が大変美しいムーブメントなのです。
この伝統あるミネルバを、以前からあったル・ロックルと同時稼働(融合)させたのが2013年からモンブランCEOに就任した、今からお話しするジェローム・ランベールCEOです。

ジェローム・ランベール氏は2001年、ジャガールクルトのCEOに就任、その後ランゲ&ゾーネの暫定CEOを経て、2013年にモンブランのCEOに就任したすごい人なんです。
ジャガールクルトでは600種類ものモデルを製作し、ランゲ&ゾーネでは150種類も手掛けたそうですよ・・・!
この方がモンブランに来てからミネルバの“ヴィルレ・コレクション”に力を入れ始め、最初に発表したモデルの画期的なコンセプトや価格設定に、SIHHでも他ブランドの時計愛
好家の方々までも、
大注目だったそうです。このコレクションが高く評価されたのは、彼のこれまでの多くの経験から、時計作りを根本から把握していること、そして古典時計のデザインを充分に理解していることです。
彼がモンブランというブランドの時計づくりを変え、世界中にモンブランはこんなにも凄い時計を作れるんだということを知らしめた人物といっても過言ではありません。


ジェローム・ランベールCEOはこのニコラ・リューセックのデザインを気に入り、2014年に我々をあっと驚かせた作品を発表します。
その名は“オマージュ トゥ ニコラ・リューセック リミテッドエディション”、
ニコラ・リューセックのデザインはそのままに「ミステリースーパールミノバ」を文字盤に乗せています。これは、明るい所では何も見えないのですが、暗くなると針の周りの文字盤上にアラビア数字が浮かび上がるという画期的なアイデアなのです。

彼は大変な時計好きで、様々なブランドのことやムーブメントのこと、一度話し始めると大変熱く語って下さるそうです。
天才的な経営手腕と時計に対する熱い気持ちを併せ持ったCEO。二つの大きなマニュファクチュールメゾンを経て、モンブランというブランドを選んだランベール氏。
「モンブラン」これからどんな作品を発表するのでしょうか。本当に楽しみです!


今回ご紹介するモデル名の“ニコラ・リューセック”、この方はクロノグラフの発明者です。
世界で初めて特許を取得した約200年前のクロノグラフの動きを蘇らせるべく彼の意匠を取り込み、モンブランで初めて自社で製作することを選んだキャリバーMBR200が搭載されています。
この自社製キャリバーには伝統的なコラムホイールを搭載しており、8時位置のボタンひとつでスタート・ストップ・リセットができる「ワンプッシュクロノ」です。
ふたつの香箱を備え、パワーリザーブは72時間という長時間の駆動時間を持ち合せています。
テンプが大型に作られている為、精度も非常に安定しています。
直径は43mmと比較的大きめですが、シンプルな文字盤は大きさを感じさせません。
ご興味のある方は、是非一度腕に乗せてみて頂きたいです。

いかがでしたでしょうか。
モンブラン、深いブランドです・・・。
まだまだ語りつくせません。また何か入荷したらお話しの続きをしますので、
その時まで楽しみにしていて下さいね。
“クロノグラフの父” へオマージュを捧げた、モンブランのCEOもお気に入りのこのモデル
みなさん一度ご覧になってみませんか?
たくさんの方々のご来店、心よりお待ち申し上げております。

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