もう一つのクロノグラフ「CHANEL(シャネル) J12 スーパーレッジェーラ (H3409)」 2022年6月27日
2022-06-27 11:00
今回のエバンスブログは、「CHANEL(シャネル) J12 スーパーレッジェーラ (H3409)」のユーズドウォッチをご紹介します。こちらは、定番のJ12 クロノグラフ(H0940等)とは別に存在したスポーティーなクロノグラフモデル。すでに生産終了となっている1本です。
今回の時計の概要
（■今回の時計：「シャネル J12 スーパーレッジェーラ(H3409)」 ■定番で現在も発売されている「J12 クロノグラフ(H0940)」）
こちらの「J12 スーパーレッジェーラ (H3409)」は、2013年から2018年頃まで生産されていた型番。定番クロノと同じ41mmサイズで、2カウンターのクロノグラフとなります。色は白(H3410)も存在しました。
「スーパーレッジェーラ(Superleggera)」は、イタリア語で「超軽量」といった意味。重さを計ってみると「約170g※」。そこまで軽量でもない感じです。実は、この「Superleggera」ロゴには別の意味合いもあるのです。
※今回の時計はブレス長さ約20cm。 定番クロノ H0940は約184g(ブレス長さ約20cm)。 ちなみに、ロレックスの場合、サブマリーナ デイト(Ref.116610LN)で 約159g、デイトナ(Ref.116500LN)で 約141g 参考)過去ブログ「スポーツロレックス・重さ比較編(1)」
まずは、J12 スーパーレッジェーラの歴史を軽く振り返ってみましょう。
J12 スーパーレッジェーラの歴史
（■2005年に登場したJ12 スーパーレッジェーラの初代モデル(H1624)。定番と同様の丸みあるベゼルにタキメーター目盛が入る。裏蓋の黒い部分はサファイアガラス。 ■2021年発表の現行モデル「ムッシュー ドゥ シャネル スーパーレッジェーラ(H6823)」 出典：シャネル公式サイト）
J12 スーパーレッジェーラの「初代」は2005年から2年ほど発売されていた「セラミックとアルミニウム」のコンビ(H1624)。シャネルのスーパーレッジェーラというとこちらのモデルの印象をお持ちの方が多いのではないでしょうか。そして、初代と今回の型番の間に「ラバー製ブレスレット」仕様(H2004、H2039など)もありました。
今回紹介のモデルの終了後、2021年にスーパーレッジェーラは再び復活。「ムッシュー ドゥ シャネル」コレクションに加わりました(H6823)。そちらは、クロノグラフ仕様ではなく、「ジャンピングアワー」＆「レトログラード分表示」という複雑機構を搭載したモデルとなっています。
赤の”Superleggera”ロゴ
（■ダイアルに赤い”Superleggera”ロゴ [上] 初代モデル(H1624) [下] 今回の時計(H3409) ■今回の時計(H3409)の裏蓋にも赤いロゴ）
「赤い”Superleggera”」ロゴ。このロゴは、フェラーリやアルファロメオなど、1950年代頃の高級スポーツカーに関連したもの。かつて存在した「カロッツェリア トゥーリング(Carrozzeria Touring)」という車体メーカーが手掛けた各社の超軽量ボディに、そのエンブレムが掲げられていました。
最近のプロダクトで例えると、アウトドアブランドの多くで使われている防水素材「ゴアテックス (GORE-TEX)」や、靴底の「ビブラム(Vibram)」のような存在だったのでしょう。真っ赤な「スーパーレッジェーラ」ロゴは、当時のスポーツカー界で高性能を示す目印でもあったのです。
シャネルのアーティスティックディレクターだった「ジャック・エリュ(Jacques Helleu)」氏は、少年時代に近所の自動車整備工場で「スーパーレッジェーラ」ボディーのスポーツカーを目にしていて、憧れの世界だったそう。J12に男性向けモデルを追加することになり、憧れていた「スーパーレッジェーラ」ロゴの使用権を手に入れ、時計に使ったということのようです。
ここからは、今回のJ12 スーパーレッジェーラ(H3409)を定番J12 クロノ(H0940)と比べつつ、見ていきたいと思います。
定番モデルと比較してみます
並べてみました
（J12スーパーレッジェーラ(H3409)と定番のJ12クロノグラフ(H0940)。セラミックのつや感やベゼル周りの立体感に違いが。ケースの厚さは、スーパーレッジェーラ(H3409)が約12.8mm、定番クロノ(H0940)が約14mm）
ますは、J12 スーパーレッジェーラとJ12クロノグラフの正面から。ともに黒のセラミック仕様でケースサイズは同じ41mmです。大きな違いはインダイアル、素材の仕上げ、ベゼルといったところです。
インダイアルは、定番クロノの3つに対し、スーパーレッジェーラは2つ。3時側が秒針、9時側がクロノ30分計で、クロノ12時間計は省略されています。ダイアルに対しインダイアルが大きめで、自動車の計器を思わせるスポーティー感があります。
スーパーレッジェーラのセラミック素材は、全体的にマットなつや消し仕上げ。ブレスレット、リューズ、プッシュボタン部分などもつや消しで、細部まで徹底されています。つややかな定番モデルと比べると、精悍さが増したような感じがあります。
ベゼルは定番の回転ベゼルに対して、タキメーター表示をガラスの内側に入れたインナー仕様。スーパーレッジェーラでも初となるインナータイプになりました。横から見るとベゼル部分の厚さが減っています。定番モデルはベゼルの丸みがJ12らしさを作る一つの要素なのだと感じさせられます。
正面、プッシュボタン
（J12スーパーレッジェーラ(H3409)と定番J12クロノグラフ(H0940)をそれぞれ正面から。スーパーレッジェーラのプッシュボタンはねじ込みを緩めて使用するタイプ）
針、インデックス数字、ダイアルのブランド名などは、スーパーレッジェーラがヘアライン仕上げのシルバー色で、定番は白が基調。モダンな定番モデルと比べ、精密な計器感が増している感じです。
スーパーレッジェーラのダイアルは、タキメーター部分がすり鉢状でインダイアルが少しへこんだ感じ、定番は分刻みのレイルウェイ内側とインダイアルが2段階でへこんでいます。ベゼルの存在感の違いもあり、スーパーレッジェーラの方が平面的でダイアルが大きく感じます。
プッシュボタンは、同じように見えますが、定番クロノのボタンは「ねじ込み風」。スーパーレッジェーラは「ねじ込み式」となっています。
裏側から
（J12スーパーレッジェーラ(H3409)と定番J12クロノグラフ(H0940)をそれぞれ後ろから。定番のつややかなセラミックに対し、スーパーレッジャーラはつや消し仕上げ。金具はともにバネ式）
裏蓋やブレスレットは同じような形状です。セラミック部分の仕上げが異なり、裏蓋に赤いスーパーレッジェーラロゴが入るくらいです。ブレスレットはともにバネ式となっています。
夜光
（■J12スーパーレッジェーラ(H3409)の夜光。タキメーター目盛りの外にインデックスがある ■定番J12クロノグラフ(H0940)の夜光。時分針の夜光の長さもスーパーレッジェーラと異なる）
最後に夜光の比較。ともに時分針とダイアルの時を示すインデックスが光ります。スーパーレッジェーラでは少し変わった位置にあり、タキメーター目盛の外に時を示すインデックスがあります。
精悍なもう一つのクロノ
（腕回り16.5cmのスタッフが腕に乗せてみました。Tシャツやカジュアルスタイルならさらにいいかも）
J12 クロノグラフの兄弟的な存在の「J12 スーパーレッジェーラ(H3409)」、いかがだったでしょうか？
定番クロノ(H0940)と、ケースの形状やムーブメント(ETA 2984-2)は変わらず、ベゼルや各部の仕上げが異なる今回のスーパーレッジェーラ。比べてみると、洗練されたファッショナブル感のある定番モデルとは異なる「男の腕時計」といった雰囲気があります。
往年の高性能スポーツカーへの憧れを形にしたような精悍な「J12 スーパーレッジェーラ」。夏のドライブにも似合いそうですね。
→CHANEL(シャネル) J12 スーパーレッジェーラ (USED)
（H3409、セラミック＆ステンレス、自動巻き、41mm径、2019年保証書）