次元の時計よみがえる~「ZENITH(ゼニス) エル・プリメロ A384 リバイバル ルパン三世 1stエディション」2021年7月5日
2021-07-05 11:00
今回のエバンスブログは、「ZENITH(ゼニス) クロノマスター エル・プリメロ A384 リバイバル “ルパン三世 ファーストエディション” 03.L384.400/27.C815」をご紹介。1969年のモデル「エル・プリメロ A384」の復刻版をアレンジした限定モデル(第一弾)で、2019年12月に発売され即完売になったという、日本限定50本の稀少なモデルです。
今回の時計の概要
(今回の時計「ゼニス エル・プリメロ A384 リバイバル <ルパン三世 1stエディション> 03.L384.400/27.C815」)
1969年に、世界初の一体型自動巻きクロノムーブメントである「エル・プリメロ」を初搭載したモデルが「エル・プリメロ A384」。エル・プリメロ50周年である2019年夏に、忠実な復刻版である「A384リバイバル」が誕生しました。
また、1971年のTVアニメ「ルパン三世 (第1シリーズ)」の第一話で、「A384」をモチーフとした時計を、主人公の一人「次元大介」が着用しており、今回の時計は、その次元の時計をゼニスが再現した日本限定モデルとして、2019年12月に限定発売された時計となります。
エル・プリメロ
(■シースルーバックから「エル・プリメロ400」ムーブメントが見える ■付属ブックレットにはエル・プリメロのストーリーも掲載されている)
自動巻きクロノグラフの名機として名高い「エル・プリメロ(El Primero)」。その特徴を簡単に振り返ります。
- ・スペイン語で「No.1」を意味
- ・1969年1月発表 「世界初」となる自動巻きのクロノグラフの一つ
- ・「36,000振動/時」というハイビートがもたらす高精度が特徴
- ・「一体型」の構造(ユニット式=2階建て ではない)
- ・1970年代半ばに生産中止。図面や金型が破棄されることに
- ・1980年代半ばに奇跡の復活
- ・ロレックス デイトナに採用(Cal.4030。振動数を下げ、部品を追加する等の変更あり)
- ・タグホイヤー、パネライなど、数々のブランドの高級機に搭載
- ・50年経つ現在も改良され、作られている
各ブランドが、自動巻きのクロノグラフムーブメント開発にしのぎを削っていた1960年代後半。いち早く発表したのが、ゼニスとモバードのグループでした。ハイビートで一体型設計というのも、驚きを持って迎えられたようです。
その後、1970年代のクォーツ式腕時計の台頭により生産中止となりますが、技術者「シャルル・ベルモ(Charles Vermot)」氏が、図面や金型を秘密裏に保管していたことで、1980年代に復活。ロレックスのデイトナ5桁型番(Ref.16520など)に搭載されるなど、数々の伝説を持つムーブメントなのです。
ルパン三世
(■8ページ構成のブックレットが付属 ■付属ブックレットにはルパン三世の解説も)
1967年創刊の週刊漫画アクションで連載が始まったモンキー・パンチ氏原作の「ルパン三世」。TVアニメは1971年に第1シリーズがスタート、原作の世界観に忠実な「大人向け」アニメーションを目指すも人気が振るわず、途中での路線変更ののち約半年で終了。再放送や5年後の第2シリーズ等を経て、徐々にブレイク。不定期に放送されつつも、今年2021年に50周年を迎える人気アニメシリーズとなりました。
その第1シリーズに、キャラクターデザインや作画監督として参加していたのが先日亡くなった大塚康生氏。未来少年コナン、ルパン三世 カリオストロの城の作画監督など、数々の名作に関わった日本アニメーション界の大御所の一人です。
大塚氏の愛車は、ルパンの愛車でもあったフィアット500、無類の車好きで軍用車両マニアでもあったそう。大人向けを目指したルパン三世では、登場人物ごとに、車や銃などの細かな小道具設定がされており、ゼニスの時計が選ばれたのにも、そんな大塚氏をはじめとするスタッフの嗜好が反映されていたのかもしれません。
ちなみに、次元はロレックス サブマリーナ、オメガ スピードマスター マークIII、ルパンはフランスのイエマ(YEMA) ミーングラフなどを劇中で着用していたとか。ルパン三世シリーズで、ボンドウォッチ的な時計探しも楽しめそうですね。
A384 リバイバル
(■1969年のオリジナルA384 ■2019年の復刻版A384 出典:ゼニス公式サイト https://www.zenith-watches.com/ja_jp)
2019年=エル・プリメロ50周年イヤーに、復刻モデルの一つとして誕生したのが「A384 リバイバル」。実際の機械から設計や仕様を調べあげる「リバースエンジニアリング」の手法で、1969年の実機を部品単位でデジタル化、忠実に再現したのがこの復刻版「A384」だそう。
ドーム風防がサファイアクリスタルガラス、裏蓋がシースルーバックとなり、搭載するのが「エルプリメロ400」ムーブメントといった変更点はありますが、37mm径の直線的なトノーケースや小ぶりな文字盤で、当時の時計が新品で蘇ったような感じに仕上がっています。
このモデルはアリゲーターレザー&裏ラバー仕様のベルトで登場しましたが、かつてゲイ フレアー(Gay Freres)社が手掛けた「ラダーブレスレット」と呼ばれる中央がくり抜かれたブレスレット仕様も復刻されています。
ルパン三世 エディション
今回のモデル
(■今回の「エル・プリメロ A384リバイバル <ルパン三世 ファーストエディション>」 ■特製ボックスにも劇中の時計が掲載)
今回のルパン三世 1stエディションは、1971年のルパン三世 第1シリーズ第一話「ルパンは燃えているか…?!」で、レーシングウェアに身を包んだ、ルパンの相棒 次元大介が着用していたモデルがベース。漫画やアニメをテーマとしたコラボレーションを行ったのはゼニスでは初のことだったとか。
劇中で腕元がアップになるシーンがあり、そこには「ENIT」のブランド名が。よく見るとEの左に「Z」、Tの右に「H」が黒塗りで存在し、ゼニスを模した時計である事がわかります。約50年後に本家ゼニスが、その存在を認めてコラボすることになるとは、当時の関係者たちも予想していなかったことでしょう。
アニメと今回の復刻時計はほぼ同じなのですが、見比べてみるとブランド名周りの文字や、インデックスの長さ、ベルトの仕様(劇中ではブレスレット)などが異なります。そして、今回の時計のシースルーバックには次元の線画が入り、特製ボックスや小冊子で、特別感のある仕様となっています。
こんなモデルも
(■限定1本の非常に特別なモデル。ブレスレット仕様でインデックスが短くなるなどアニメにより近づいた ■2020年のルパン三世&ゼニスの第二弾。ブレスレット仕様 出典:ゼニス公式サイト https://www.zenith-watches.com/ja_jp)
実は、こちらの次元限定には、さらにアニメに近づけたバージョン(限定1本)が存在し、2020年11月のフィリップス オークションに出品されたとか。こちらは、なんとブランド名が(Z)ENIT(H)となっていたそう。
また、第一弾モデルの好評を受け、2020年10月に第2弾モデル(ルパン三世 セカンドエディション)が発表されました。第1シリーズ最終話「黄金の大勝負!」に登場した次元の時計がモチーフで、白黒のパンダ文字盤&ラダーブレスレット仕様の200本限定モデルでした。
(追記2022年2月 2021年に発売された第3弾となる「ルパン三世 50周年記念」の未使用品が入荷しています。こちらは黒/グレーの文字盤でラバーブレス仕様の50本限定モデルです。 )
カラーリングが渋い希少な1本
(■ゼニス エル・プリメロ A384リバイバル <ルパン三世 1stエディション> リューズは1段目が時間合わせ、2段目が日付合わせ ■重量は約72g、夜光はグリーン系の発光でした)
「ZENITH エル・プリメロ A384リバイバル <ルパン三世 ファーストエディション>」いかがだったでしょうか?マットグレ―のインダイアルが、アニメに登場した「あの時計」という感じで、分かる人には分かる特別な1本となっています。ですが、記念モデルの要素は裏面だけなので、さりげなく日常にも使えそうな感じです。このカラーリングと50本だけという非常に希少なところがポイントではないでしょうか?
ちなみに、次元モデルの元となった「A384リバイバル」は通常モデルとして存在。グラデ―ション文字盤の”A385″やグリーン文字盤の”サファリ”など、2021年も派生モデルの展開を広げています。37mmサイズのクロノマスター「リバイバル」シリーズは、今後の展開も気になるところです。
ところで、
ルパン三世(第1シリーズ)の第一話「ルパンは燃えているか…?!」の動画がYouTubeで公開されています(約25分)。ハードボイルドな雰囲気で、ジャジーなテーマ曲も格好よかったです。
(10分40秒あたりから次元の「ENIT」、その直後にルパンの「イエマ(YEMA)」(らしき時計)を見ることができます)
→ZENITH(ゼニス) エル・プリメロ A384 リバイバル
”ルパン三世 1stエディション” 03.L384.400/27.C815 (未使用品)(SOLD OUT)
(2019年12月、日本限定50本、37mm径、ステンレス、自動巻き、特製ボックスとリーフレット付き)