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「神の手を持つ男 ”パルミジャーニ・フルリエ”功績編」 2017年8月15日

2017-08-16 13:45

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こんにちは、銀座エバンスの稲田です。
雨や風が強い日が続きますね。雨があがると夜は蒸し暑いので、みなさま体調に気を付けてお過ごしくださいね。
さて、本日は”パルミジャーニ・フルリエ”のご紹介です。


1996年、スイス最大のヌーシャテル湖の上部に位置する”フルリエ”という町、(オーデマピゲやモンブラン、コルムをご紹介した時にお伝えした世界遺産に認定されている町、ラ・ショー・ド・フォンやル・ロックルの近くにあります)
この土地で創業者”ミッシェル・パルミジャーニ”が彼の名とその町の名を冠し、パルミジャーニ・フルリエ社が誕生しました。

1976年、彼は歴史的に有名な時計を修復する会社を設立します。
ここでパルミジャーニ氏は1993年、あまりにも複雑過ぎて誰もが修復不可能と匙を投げていた、歴史に名高い1845年製のブレゲの「シンパティック・クロック」を、1800時間もの時間を掛けて見事修復を成功させます。
このことは瞬く間に時計業界だけでなく様々な業界に広がり、サンド・ファミリー財団より支援を得て時計づくりができる環境と設備を整えることができました。

サンド・ファミリー財団とは、1886年スイスのバーゼルにて当時は化学薬品の会社を設立、1996年にはチバガイギーとの合併でノバルティスという製薬会社を立ち上げます。
現在、ノバルティスは製薬会社の世界売上高ランキングで3位となる程有名な会社として発展を遂げており、日本においては主にジェネリック医薬品の開発・製造・販売をしています。
その他、サンド・ファミリー財団はオートマタ(からくり時計)や世界有数の様々なものをコレクションしており、中でもとりわけ有名なものが「ファベルジェの卵」と呼ばれるインペリアル・イースターエッグです。

イースターエッグとは、復活祭(十字架にかけられたイエス・キリストが3日目に復活したことをお祝いするお祭りのこと)を祝うため、色とりどりの美しい装飾を施した卵のことです。
卵が使われる理由は、卵から新しい命が生まれることから、死と復活を象徴しているためとされています。国によっては装飾が様々ですし、現在ではチョコレートを使ったイースターエッグが主流です。


また、先程お伝えしたインペリアル・イースターエッグとは、ロマノフ朝(1613~1917年の間、ロシアを統治した王朝のこと)最後の皇帝ニコライ2世とその父アレクサンドル3世の命により、ロシアの宝石商”ファベルジェ”により製作された美術品のことです。七宝焼きや宝石、中には絹や象牙を採用したものまで様々な種類が存在します。この類稀なる美しさと稀少さを持つファベルジェの卵は、約30年間の間に50数個しか作られておらず、そのうちの数十点が未だ行方知れずとなっています。
そのため、オークションで10億以上(一説によると30億以上する作品もあるそうです)の値が付くほど、大変稀少な世界の宝物なのです。そしてその宝物たちは現在、イギリスやロシア、アメリカなどの王室や博物館、富豪の手に収められています。


はじまりはアレクサンドル3世が妻マリアへ贈るために注文した”めんどりエッグ”からで、アレクサンドル3世の暗殺後、息子であるニコライ2世が父の代わりに母マリアと妻アレクサンドラに毎年ひとつずつ贈り続けたそうです。
有名な卵はコロネーション・エッグやロスチャイルド・エッグ、すずらんや金のたまごなど、そしてスワン・エッグと孔雀エッグです。実はこのスワン・エッグと孔雀エッグこそ、今回ご紹介する天才時計師”ミッシェル・パルミジャーニ”氏の神の手により、約100年の時を経て命が吹き込まれた作品なのです!!

この快挙は彼の名を更に世界に広める歴史的な出来事であり、このことが世界で唯一人、”神の手を持つ男”と呼ばれる天才時計師であり、修復師と呼ばれる所以です。
彼は、修復は修理すなわち動くようにすればいい、というのではなく元の姿に戻すことが大切だと語っています。そのため、その作品の時代背景やその当時の技術、素材までも入念に調べ、もしかしたら何か他の部品がこの部分には存在していたのではなど想像しながら修復の作業をなさっていて、最初のブレゲのシンパティック・クロックは、調べるだけで15日間も費やしたそうです。
時計師であるとともに修復師としての手を持つ人物はこの広い世界に何人いるでしょうか。
そしてその作品のひとつひとつに魂を込めて時には語りかけながらじっくりと作り上げていく。お会いしたことはありませんが、温厚で優しい人物であることが想像できます。そんな人物の作る腕時計はどんな作品なんでしょうね。


”神の手を持つ男”と呼ばれる人物が作った腕時計。みなさん興味が湧きませんか?
今回は彼の行った偉大な功績について、またその背景をお話しましたが、まだまだこの回では語りきれません。
次回、天才時計師であり、高名な修復師であるパルミジャーニ氏の作品紹介をさせていただきます!

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