機械式時計におけるオーバーホールの重要性について
2020-04-28 11:00
エバンスブログをご覧の皆様こんにちは。今回は機械式腕時計を所有している方や検討している方、向けにオーバーホール(分解掃除)の重要性について書いていきたいと思います。初心者の方や、ベテランの方にまで知っておいて損はない情報です。
オーバーホール(分解掃除)とは
先ず始めにオーバーホールとは何か?日本語では分解掃除となります。
機械式腕時計の場合、購入後メンテナンスをせずに使用したまま放っておくと、時間の遅れや進みといった不具合などが出てきます。そういった不具合を直したり、未然に防ぐ為に「4~5年」に一度のオーバーホールを時計店では勧めています。(技術の高まりにより、ロレックスの最新モデルやオメガのコーアクシャルなど、オーバーホール期間が伸びている時計もあります。)
時計が正常に動きを取り戻すようにしてあげるのが『オーバーホール』なのです。全ての部品を分解し、細かくパーツをチェックして破損しているものがあれば修理や交換をし、洗浄・注油などを行い、組み立て直すといった作業になります。時計だけでなく、機械には必ずこういった作業はありますね。
車やバイクといった乗り物が身近でしょうか。車検といった義務化されているものがあるように、機械にメンテナンスというのは欠かせません。
とはいえ、乗り物は不具合が出てしまうと命に直結してしまうほどですので、当然、義務化されています。しかし、時計に関しては正直壊れていようが、多少の遅れや進みなどが出ても命には関わらない為、機械の内部の状態を細かく気にしている方は意外と少ないかもしれません。
では、次からはオーバーホールの重要性を解説していきます。皆様の時計のメンテナンスについて考える機会になれば幸いです。
オーバーホールの期間はなぜ約4年に一度?
銀座エバンスではオーバーホールは約4~5年に一度をおすすめしています。ではなぜこの期間でオーバーホールを行うことが望ましいのか?
それは機械式腕時計の内部に入っている潤滑油が、約5年前後で干上がってしまうからです。油切れの状態でそのまま作動させていると、内部の歯車が擦れて磨耗してしまい、時計自体の動きが悪くなってしまいます。良い作りの時計の場合だと多少メンテナンスを怠っても、頑張って動いてくれるので、ついつい見落としがちかも知れません。
ですが、そのまま一生オーバーホールを行わないのは不可能といえます。磨耗した歯車の負担が、他の部分にかかって致命的な故障になる為です。購入して数年の高級腕時計や、長年愛用してきた時計などが故障してしまってはショックですよね。そんなことを未然に防ぐ為にもオーバーホールは4~5年に一度は行っていきましょう!
時計を使用していなければオーバーホールしなくても大丈夫?
これは意外とお問い合わせのいただく内容です。お客様の中には「全然使用していないからオーバーホールしてなかった」という方もいて、使用してないからオーバーホールは必要ない、と判断されている方もいるようです。
しかし、それは誤りです。オーバーホールの一番の目的というと、劣化した潤滑油をリフレッシュすること。時計がしっかりと動き続けるために油は必要不可欠です。これは使用頻度に関わらず、経年により劣化してしまうので、あまり使用していなくても定期的にオーバーホールはしなくてはなりません。
仮に4~5年程使用せず、ずっと保管していた場合でも使用する前には、オーバーホールをした方が良いでしょう。
また、保管していた時計を譲られるようなことがある場合や、逆に譲る場合であっても、以前のオーバーホールはいつ頃であったかを確認していただき、年数が経っているようであれば、メンテナンスに出すことをおすすめ致します。
機械式腕時計をお持ちの方はぜひオーバーホールを!
ここまでお読みいただきオーバーホールの重要性はお分かり頂けたでしょうか。車であれば車検、人であれば人間ドックなどといったものがあるように時計にも同じくメンテナンスは必要ということです。
メンテナンスを怠ってしまうとどのような物でもさび付いてきてしまいます。人間も同じですね。体のメンテナンスをしっかり行い、長生きをして幸せな人生を過ごしたいと誰もが思うはずです。腕元には長年愛用してきた時計を着けている。そんな老後も幸せじゃないでしょうか。
ご自身で愛用している時計がある方、またはこれから機械式腕時計を購入したい方。そんな方たちに、ぜひ時計への愛情を持ち、メンテナンスを怠らず末永く愛用して頂ければと思います。
愛着のある時計と、素敵な人生を過ごせることを銀座エバンス スタッフ一同願っております。