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一つの時計と向き合ってみる【カルパ カリテフルリエ】

2023-07-18 10:49

ブログをご覧の皆様こんにちは、銀座エバンスの福永です。

今回はパルミジャーニ・フルリエのカルパ カリテフルリエをご紹介いたします。

パルミジャーニ・フルリエと言えばトンダやトリックなどクラシックなモデルがイメージされますが、ここ数年はトンダGTやトンダPFといったスポーティな雰囲気を纏ったモデルに注力し成功を収めているブランドと言えます。

現在では惜しくも生産終了となった魅力的なカルパを、同社の軌跡を含めご紹介していきたいと思います。


パルミジャーニ・フルリエ

パルミジャーニ・フルリエについては1996年に創業された若いブランドですが、その実はスイス屈指のマニュファクチュールブランドであり、さらには外部への部品供給を行うなど時計産業を支える側面を持ち合わせています。

パルミジャーニ・フルリエは、アンティークウォッチや貴重なミュージアムピースの修復で多くの功績をあげたミッシェル・パルミジャーニ氏が、オートマタやクロックの管理を任されていたサンド・ファミリー財団の後押しを受け、1996年に設立したブランドです。 

また、自らのコントロール下で最高峰の時計製造を実現すべく、マニュファクチュール化を推進したブランドとしても知られています。
1999年にはサンド・ファミリー財団が高級ケース製造を行うレ・アルティザン・ボワティエ社を買収、2001年にはアトカルパを買収する事でヒゲゼンマイを含めた脱進調速機全てを内製化することに成功、2005年には旋盤加工のエルウィンを統合することで、機械式ムーブメントのハードウェアを全てを製造供給できる体制を整えました。

同年、高級ダイアルメーカーであるカドランス・エ・アビヤージュをも傘下に収め、外装面おける高い品質を保持すると同時に、スイス、ドイツの名だたるブランドへの供給も行うようになります。

2003年にはムーブメントの開発部門をヴォーシェ・マニュファクチュール・フルリエと再編し、最高水準の技術と仕上げをもって、パルミジャーニ・フルリエのさらなる躍進を決定づけました。
また、ヴォーシェ・マニュファクチュール・フルリエは、エルメスやリシャールミルにもムーブメント供給を行う事でも知られています。

以上をもってケースからムーブメントに至るまで主要パーツを内製出来る体制を整えたパルミジャーニ・フルリエですが、こと革ベルトに関してはエルメスが採用されています。
この点においては餅は餅屋という事もありますが、エルメスがヴォーシェ資本の一部を有することによります。

カルパ

2018年に発表されたカルパ カリテフルリエは、カルパの原点から20周年の節目に生み出されたモデルです。

オリジナルのカルパは、着けていることを忘れてしまうような装着感を求めて、特にケースサイドのフォルムに熟考を重ね辿り着いた故の造形であり、デザインの出発点にトノー型ケースがあったのではないというものですが、こちらのカルパ カリテフルリエに関しても、その思想が継承されているようです。

実際に腕に乗せてみると、吸い付くような着け心地とはこのことかと思わせる絶妙なフィット感、手首のカーブに呼応するかのようにサファイアを含めた上面の緩やかな曲面が、控えめながら確かな存在感を放っています。

搭載される自動巻きムーブメントCal.PF442は、必要にして十分なツインバレルによる60時間のパワーリザーブ、後述しますがカリテフルリエ認定を受けたムーブメントは、薄型でありながらフリースプラングテンプを採用することで高い精度と耐久性を備えています。

受けに施されるジュネーブ仕上げは通常一方向にのみ施されますが、縦横に交差するように施された極めて珍しく、手間がかけられた美しい仕上げを持っています。

カリテフルリエ

カルパ カリテフルリエ、そのモデル名にも冠されるカリテフルリエについてですが、これはカリテフルリエ財団によって認定された品質基準を満たした製品であることを表しています。

時計の世界にはCOSCクロノメーターやジュネーブシールなどのように、第三者機関による公正な品質基準が存在します。
カリテフルリエもそれらの一つであり、 パルミジャーニ・フルリエに賛同するボヴェ・フルリエ、ショパールにより2004年に制定された、現時点で最も厳格な品質基準とされています。

www.fleurier

絶対的な品質を保証するカリテフルリエの意義についてですが、高級時計を表現するものとして、ラグジュアリーやハイエンドなどと言った様々なワードが飛び交いますが、どれもが明確な基準に基づくものではなく、購入者にとっては環境が整っているとは言い難い状況があります。
カリテフルリエは、それら漠然としたイメージに鋭く切り込み、下記の5つの検査項目を実施することで、 真に価値ある高級時計の姿を定義すべくしたものです。

・100%スイス製造

ブレスレットとクラスプを除く時計本体に適用されます。
連邦条例が定めるスイス製の基準をクリアした上であれば、材料の原産地は問われませんが、その加工はスイスで行われ、組立、調整、ケーシングについてもスイスで行う必要があります。

・審美的な仕上げのムーブメント

部品段階で事前に適合性がチェックされ、ジュネーブシールと同等の審美性を備えたムーブメントの仕上げが施されます。

・COSCクロノメーター認証済

カルテフルリエ認定を受ける上での前提条件として、COSCクロノメーター取得が必須となっています。

・クロノフィアブルテスト

検定対象の5~10%相当の個体に対して行われる過酷な耐久テスト。
検査項目はケース本体への耐衝撃性、耐熱性、耐寒性などに加え、それらはリューズやプッシュボタン、回転ベゼルに対してまで及びます。

・完成品の歩度実証

ケーシング後に日常生活を想定した24時間の動態精度試験、要求される精度は日産で±0〜+5秒以内となっています。
シミュレーターを用いて日常生活で想定される動きのもとテストが行われますが、その項目としては衣服の着替えの動作や、拍手やゴルフのスイングといった時計にとって大敵ともいえる負荷を与えるものが多く含まれます。

カリテフルリエはジュネーブシールと異なり、製造拠点が限定されないオープンな認定ですが、その条件があまりに過酷なため、実際にカリテフルリエの認定を受けた時計を販売するブランドは、財団設立に関わったパルミジャーに・フルリエとボヴェ・フルリエ、そしてショパールに限られます。

実際に手に取ってみて

自らをニッチブランドであることを標榜するパルミジャーニ・フルリエは、そのエクスクルーシブな商品展開ゆえに広く一般に支持されると言えませんが、一方で優れたムーブメントやパーツ、高品質なダイアルなどを他社へ供給する側面を持ち、名実ともにスイス時計産業の一翼を担う存在とも言えます。

今回、ご紹介したカルパ カリテフルリエもパルミジャーニ・フルリエの製品哲学がぎっしりと凝縮されたモデルであり、実際に手にすることでケースの造形の素晴らしさ、美しく繊細なダイアル、巻き上げの感触まで
も実に心地よい、極めてバランスの良い時計であることに気付かされます。

ご興味ございましたら、ぜひ一度ご覧になってみて下さい。
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