孤高の存在:Grand Seiko SBGE013
2019-06-04 11:00
ブログをご覧の皆様こんにちは、銀座エバンスの福永です。
本日はグランドセイコーのスプリングドライブGMTをご紹介いたします。
国産時計の最高峰として長きにわたり君臨するグランドセイコーは、時計の心臓部たるムーブメントに始まり、優れた加工技術により生み出される唯一無二の仕上がりを見せるケース、その他多くの点で他を寄せ付けない孤高の存在として知られています。
今回はセイコー独自の機構であるスプリングドライブを搭載したモデルを例に、グランドセイコーの魅力について改めて迫ってみたいと思います。
こちらのスプリングドライブGMTは、機械式時計と同じくゼンマイを動力源とし、クォーツ時計の制御システムである水晶振動子からの正確な信号(
1秒間に32,768Hz )によって精度を制御するセイコー独自の駆動機構であるスプリングドライブが搭載されています。
スプリングドライブのメリットは様々ありますが、強いトルクを生み出すゼンマイを使用することで、グランドセイコーならではの太く重い針を回すことにも適しており、さらにはクォーツ並みの高い精度を、バッテリー不要で実現できる点があげられます。これは、まさに機械式そしてクォーツを極めたセイコーならではの技術の結晶であると言えます。
スプリングドライブは内部の構造に止まらず、針の運針、とりわけ秒針の動きに特徴が見られます。一般的なクォーツ時計は1秒毎に刻むように動くステップ運針、また機械式時計は細かく刻むビート運針ですが、スプリングドライブはスイープ運針であり、ダイヤル上を音も無く流れるような運針が特徴です。
これは機械式の場合、テンプが往復運動をする事に対して、スプリングドライブのそれにあたるIC制御のローターは、一方方向に回転する構造のため生み出される運針であり、それは絶え間なく続く時の流れを感じさせてくれます。
グランドセイコーを印象付ける要素は、世界最高峰の技術を持って組み上げられるムーブメントに加え、独創的な世界観を構築するケースデザインからも感じ取る事が出来ます。
グランドセイコーらしさ、それは稜線を活用した造形によって陰影を表現する、と評されるケースデザインであり、側面など影が落ちる面は限りなく黒く、そして光を受ける面を一層際立たせる、時計という限られた中に最大限の立体感を生み出す設計思想のもと、面と面がせめぎ合う緊張感のあるフォルムを生み出します。
一見すると実にスタンダードでありながら、それこそが普遍的なグランドセイコーらしさを生み出す要素であると言えます。
また、ブレスレットに関しては、ケースの完成度の高さと比べてしまうと、物足りない面も感じられますが、操作性に優れたクラスプは、作動時のガタツキは最小限に抑えられています。
また各所は丁寧に角が落とされ、手が触れた際の触感までも熟考されており、隙の無い設計には感心させられます。
国産最高峰のグランドセイコーをご紹介して参りましたが、現状では日本国内での人気はまだまだこれからといった感じを受けます。
内容を考えるとバーゲンプライスとも言える価格設定のグランドセイコーですが、2017年に他セイコーブランドから独立する形で、ブランド名を”GS”に、そしてダイヤル上からは”SEIKO”の単独銘を除くことで、新しい”GRAND SEIKO”のとして、高級路線のイメージ戦略に打って出ましたが、国内においてはスイス勢の牙城を崩すには、まだ少し時間がかかるのかも知れません 。
一方で海外ではグランドセイコーの人気は高く、また、アメリカ市場での評価が高く現地にグランドセイコーの名を冠した販売会社を設立するに至っています。
当時のプレスリリースには、以下のようにあります。
“「Grand Seiko Corporation of America」は、グランドセイコーの名を冠した世界初の販売会社です。2017年春のセイコーブランドからの独立後、グランドセイコーは、この2年間で米国において目覚しい成長を遂げてきました。新会社は、既存のグランドセイコー取扱店、及び「グランドセイコーブティック ビバリーヒルズ」、ニューヨークとマイアミの2つの「セイコーブティック」を通して、グランドセイコーを販売いたします。今後の新たなマーケティング施策については、11月にニューヨークで発表を予定しています。
世界的にウオッチの高級品市場は堅調であり、今回の新会社設立を機に、米国はもちろん、欧州を含む全世界においてグランドセイコーの認知度向上を図り、メイド・イン・ジャパンの高級腕時計としてグローバル戦略を更に加速してまいります。”
https://www.grand-seiko.com/jp-ja/news/pressrelease/20181002より一部抜粋
今後の躍進が楽しみなジャパンブランド、その最右翼はグランドセイコーであると言えます。