エバンスブログをご覧いただましてありがとうございます、銀座エバンスの福永です。
昨今の高級時計人気は止まるところを知らず、つい最近まで値頃感があったモデルも気が付けば遠い存在に、という状況が散見されます。
今回の話題はロレックス デイトナRef.116520、このモデルも気が付けば・・・、という状況がそこまで迫っているのかも知れません。
★記事の内容は、今後の価格動向を保証するものはございません。
★記載される価格は、2021年11月15日時点のものです。
デイトナ人気の牽引役 Ref.116500LN
まず初めに、現在のデイトナ人気を取り巻く環境としては、現行ステンレスモデルであるRef.116500LNの極めて高く安定した需要が、並行新品や中古全体を牽引する役割を果たしています。
販売価格にして5~10%の上下はあるものの価格上昇の流れは続いており、2021年11月15日時点での新品販売価格は430万円(黒文字盤)~470万円(白文字盤)となっています。
また、ステンレス以外では金無垢モデルの需要が、以前よりも大幅に増加しており、金無垢のデイトナに関しては価格の高騰以上に入荷自体が著しい減少傾向にあります。
加えて、金無垢ではありませんが、プラチナモデルに関してはその希少性の高さから、メーカー国内希望小売価格のおよそ2倍の価格を記録るに至っています。
そして、プロフェッショナルモデルとしてはデザインの完成度は高いものの、一般的な需要がそこまで高くなかったコンビモデル(ロレゾール)にあたるRef.116503(G)についても徐々に注目が集まっており、現行モデルいずれもが価格高騰の道を辿ることとなりました。
この価格高騰がどこまで続くかは未知数ですが、高級時計において絶対的な知名度と人気を誇るロレックスにおいては、まだまだ上昇の余地があるのではないでしょうか。
レア要素が決め手 Ref.16520
続いてはRef.16520をはじめとする旧世代モデル、最近ではセミヴィンテージなどとも呼ばれますが、1989年から2000年まで生産されたこれらは、手巻きモデルとは明らかに異なるモダンなテイストを持っています。
生産時期によるディテールの違いも様々確認され、それらがレア要素として評価に加味される点に加え、生産終了から少なくとも30年余りの時を経ている為に、コンディションの良い個体は減少傾向となっており、比較的高値で安定しています。
また、ポイントポイントを押さえた良い個体の価格は跳ね上がりますが、あまりコンディションの良くない個体に関してはそれなりの評価(とは言っても、一定の価格にはなります)が下されることも多く、この辺りはヴィンテージウォッチとしての側面が強くなってきた印象を受けます。
最後の買場かも Ref.116520の現状
さて、前置きが長くなりましたが、今回の話題の中心であるRef.116520をはじめとした一世代前のモデルについて、緩やかな価格上昇はあるものの、上記のRef.116500LNやRef.16520に比べると、意外なほどに目立った値動きが感じられません。
Ref.116520の生産期間は2000年から2016年にかけてと、比較的長い期間生産されたモデルであり、2021年11月15日現在の中古販売価格は290~330万円が中心の価格帯となっています。
モデルごとに価格が高騰するポイントは様々ですが、分かりやすいところで言えば、Ref.116520に関しては生産終了間際の2015年以降のに見られるクラスプ中板が鏡面仕上となった仕様であったり、逆に生産初期から2004年頃に生産された白文字盤に見られる、アイボリー色や濃いものではクリーム色に変色した個体があげられます。
白文字盤の変色の中でも、特に黄色味を強く帯びた個体は1000万円を超える個体も見られるなど頭一つ抜けた価格帯となっています。
一方で、そこまでレア要素として認識が広まらないものとしては、V品番以降に見られる通称「APHダイアル」があり、これは文字盤に記されるCOSMOGRAPHがCOSMOGR APHのように、RとAの間に僅かなスペースがあることに由来します。
「APHダイアル」について、今後どこまでの人気が出るかは未知数ですが、生産数は決して多くないことからも、目にする機会があれば手に入れておいても面白いかもしれません。
Ref.116520 今後の展望
Ref.116520においては、他にもレアなディテールは存在しますが、他の世代のデイトナに比べれば、話題に上ることは事はまだまだ少ない状況と言えます。
その要因としては、生産期間が16年間と長期にわたる点、生産終了からそれほど時間が経過しておらず、現存数が多い点があげられます。
また、時代背景としてインターネットの飛躍的な発達があり、エンドユーザーが時計に関して多くの情報を簡単に得ることが出来るようになり、それは同時に時計の価値基準の共有を推し進め、結果として良質な個体が多く現存することに繋がりました。
それは一方で、希少性が見出され辛いという側面を併せ持つことになり、生産終了後も価格上昇は緩やかに、またRef.116500LNの極めて高い人気が、Ref.116520の相場を抑えている印象を強く受けてきました。
しかしながら、ステンレスベゼルを備えたRef.116520の安定した人気は揺るぎなく、他のモデルに比べれば、まだまだ手にしやすい買いやすい価格帯という点も後押しとなり、じわじわと注目を集めてきています。
Ref.116520も気が付けば遠い存在に、となる前に、お気に入りの一本と出会えたならば、思い切って手にされてみてはいかがでしょうか。