パワーリザーブとは一体何なのか?関連ワードと共に解説
2020-06-30 11:30
皆様は、腕時計を選ぶ際には、どのようなポイントを重要視なさいますか。総合的な判断で選ぶ方が多いように思えますが、メーカー指定の方や、時計の性能やデザインを第一に考える方も、決して少なくはありません。我々販売する側の視点からは非常に興味深いところです。
そこで、本日は腕時計の性能面に焦点を絞り、誠に勝手ながら独断で「パワーリザーブ」について解説させて頂きます。こだわりの腕時計を探してみたいという方々の、腕時計選びのご参考になればと存じます。
さて、近年の腕時計のパワーリザーブは、2~3日間ほどが一般的ですが、完全にゼンマイを巻き上げてしまえば、1週間以上動き続けるモデルなども中には存在する為、パワーリザーブの長さが腕時計選びの1つの基準とする方々は意外と多いようですね。
それでは、機械式腕時計において非常に重要な役割を果たす「パワーリザーブ」とは一体何なのか、「パワーリザーブインジケーター」などの気になる関連ワードと共に解説をさせて頂きます。
パワーリザーブとは
機械式腕時計における「パワーリザーブ」とは、、『ゼンマイを全て巻き上げた状態から、そのゼンマイがほどけて時計が止まるまでの持続時間』を意味します。
つまり、パワーリザーブとは機械式腕時計にとっての動力源になります。完全に巻き上げられた状態で、スペック上での最大稼動時間を発揮しますが、巻き上げが不足していれば稼働時間は短かくなってしまいます。
なお、機械式腕時計の仕組みを簡単に申し上げますと、先ずオルゴールのように「ゼンマイ」を巻き上げることから始まります。その巻き上げた「ゼンマイ」のほどける力が歯車に伝わります。そして、一気にほどけてしまわないように調速機関を経由し、最終的に針に伝わっていきます。機械式腕時計の動力源として、重要な役割を持つ理由がここにあります。
ちなみに機械式腕時計には、手巻き(ハンドワインディング)と自動巻き(オートマティック)の2種類が存在します。どちらも、巻き上げた「ゼンマイ」の力を失くす時が時計が止まる時になりますが、自動巻きの場合は使用中には常に「ゼンマイ」を巻き上げるという、便利な構造になっているので、毎日ご使用している方の時計は止まることがありません。
ゼンマイ (main spring)
「ゼンマイ」とは、機械式腕時計の動力源の中心にある渦巻状のパーツです。巻き上げられたゼンマイが、元に戻ろうとして発生する反発力を腕時計の動力として利用します。バラバラになってしまわないように、「香箱」の中に収められています。
香箱(barrel)
「香箱」とは、ゼンマイを収める薄型の円筒形部品です。経年劣化で切れてしまうゼンマイが、他の部品を傷つけてしまわない為の役割も持っています。
尚増加傾向にある「ツインバレル」とは、その名の如く香箱を2つ備える時計です。ゼンマイが2箇所となれば、当然動力源が増えて持続時間が延びていくことになります。また、ゼンマイの長さや太さの違いによっても持続時間は変化しますが、この辺は各メーカーの腕の見せ所でしょうか。
パワーリザーブインジケーター (power reserve indicator)
「パワーリザーブインジケーター」とは、蓄えられたゼンマイの残量を、目に見える形で表示するものです。手巻き腕時計で不安視される、巻き上げ時のゼンマイ切れ(※)を回避出来る、という大きなメリットもございます。視認しやすい文字盤上に配されるものがほとんどですが、ケース裏側というモデルも存在します。メーターの形状は、扇型のタイプが一般的です。
※ここで申し上げるゼンマイ切れは、経年劣化のことではございません。多くの手巻き腕時計には巻き上げ限界があり、そこから更にリューズを巻いてゼンマイを巻き上げようとすると、ゼンマイを切ってしまうという現象です。ちなみに、自動巻き腕時計には、一定以上巻き上げると空回りする仕組みになっているので、巻き上げ時にゼンマイを切ってしまう心配はありません。
ゼンマイ残量を見せる為の目盛りを取り付けるという、一見シンプルな構造とも受け取られがちですが、ゼンマイ巻き上げ時に目盛りが増加するという一方通行ではなく、時間の経過と共にチャージされたゼンマイが解けていけば、目盛りは逆にゆっくりと減少していきます。実は、シンプルとは程遠いこちらの構造は、機械式腕時計の複雑機構の一つにカウントされています。
必要な部品や技術力が増えるため、コストは若干高めにはなりますが、実用性も兼ね備えている高級ラインを検討したい方にはお勧めです。
パワーリザーブインジケーター 搭載モデル例
まとめ
これから腕時計を検討される方々で、土日しか使用しない場合は、7デイズや8デイズなどの長めのパワーリザーブを備えているモデルはお勧めですね。非常に実用的な機能ですので、今後は益々ロングパワーリザーブ化は進んでいくことは確実だと思います。選択肢の1つとして、是非パワーリザーブもご検討くださいませ。
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