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ロレックスの特殊機能「ヘリウムエスケープバルブ」(シードゥエラー、ディープシー)

2019-11-05 11:00

銀座エバンスの福田です。最近、朝晩はかなり冷え込んでまいりましたので、皆様も風邪などひかない様にお気をつけ下さい。
本日は、ロレックスの特殊機能「ヘリウムエスケープバルブ」についてお話をさせていただきます。

ヘリウムエスケープバルブとは

飽和潜水方式における減圧の過程で、腕時計ケース内に入り込んでしまったヘリウムガスを自動的に排出するバルブのことになります。

飽和潜水

ヘリウムエスケープバルブの説明では欠かす事のできない、飽和潜水という重要な単語をお聞きになられたことはございますか。スキューバダイビングとは異なり、深海で安全に長時間活動するための潜水方式のことになります。飽和潜水士の方々が、船上に設置されている加圧・減圧可能なタンク(居住空間)に入り、 カプセル内にて指定の水圧に耐えられる状態になるように、時間をかけて酸素とヘリウムの混合ガスを人体に溶け込ませた後(飽和状態にして)、深海へ出て作業をすることです。
理解不足であれば申し訳ございませんが、深海までは以下のような流れになっています。先程お伝えした、深海での水圧に適応出来る状態になってから同気圧の別のカプセルへ移動し、そのカプセルごと指定の深海まで潜っていきます。そこから外へ出て作業を行うそうですが、作業後はカプセル経由で再びタンク内へ戻り、加圧のとき以上に時間をかけて減圧しなければならず、数週間を要することもあるそうです。

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ヘリウムガスが使用される理由

大気中の空気に含まれている窒素は、当然ですが無害です。しかし、圧力が加わった状態で体内に留まってしまうと、窒素酔いを発生する危険がある為、混合ガスにはヘリウムが使用されています。
※窒素酔いとは3~4気圧程度以上の窒素を摂取すると発症する一種の中毒症状。

ヘリウムエスケープバルブ開発の理由

タンク内に充満しているヘリウム分子は非常に小さいため、加圧時に時計ケース内へ侵入してしまいます。 当時の飽和潜水方式において、減圧時にサブマリーナーの風防が破損したという問題が開発のきっかけとなりました。 減圧時に時計ケース内で膨張したヘリウムガスが逃げ場を失って風防を破損させてしまう。減圧のペースにヘリウム排出のスピードが間に合わないことが原因でした。
ロレックス社は、当時サブマリーナーを使用していたことで、潜水士の方々を悩ませていたフランスの潜水調査会社「コメックス」協力のもと、 腕時計を保護するために任意の圧力差が生じた場合、自動的にヘリウムガスを排出する仕組みを開発することとなりました。

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まとめ

1967年に特許を取得した 「ヘリウムエスケープバルブ」は、コメックス社用の「サブマリーナ(REF.5514)」と市販用の初代「シードゥエラー(REF.1665)」に搭載されました。そして、半世紀以上前に確立されたその機能は現在、現行モデルの「オイスターパーペチュアル シードゥエラー(1,220m防水)」と「オイスターパーペチュアル ロレックスディープシー(3,900m防水)」に搭載され、ダイバーズウォッチの代名詞として世界中で愛用されています。

ちなみに、「海に住む者」という意味の「シードゥエラー」は、1950年代に登場したダイバーズウォッチ「サブマリーナー」のプロフェッショナルバージョンとして1967年に誕生しました。発表から数年間は文字盤のシードゥエラーの文字が赤くなっており、入手が困難になってしまった現在では、赤シードの愛称で大人気のプレミア時計となっています。また、コメックス用のダブルネームは更に入手困難なため、マニア垂涎のコレクターズアイテムとなっております。
機会がございましたら、ブログでご案内したいと思います。

REF.1665

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