パネライ「”PAM00718”ラジオミール1940 3DAYS(ユニークダイアル)」
2024-12-03 11:00
こんにちは、銀座エバンスの稲田です。
本日はパネライから「”PAM00718”ラジオミール1940 3DAYS」のご紹介です。
ラジオミールとは
1916年、三代目である”グイド・パネライ”がイタリア海軍のために特殊な夜光塗料「ラジオミール」の特許を取得したことから、ラジオミールの歴史ははじまります。一族は海戦用照準器などの精密機器をイタリア海軍に納品しており、真っ暗な海中ミッションで大活躍のラジウムベースの夜光塗料”ラジオミール”をついに開発。これは元々計器や照準器に塗布して視認性を高めるためのものでした。
そこで、商いの天才であるグイド氏が腕時計にも採用してはどうかと、1936年にはプロトタイプのラジオミールを製作。このプロトタイプこそが、今回ご紹介する限定モデルにも採用されているユニークダイアル(ローマ数字とアラビア数字を半分ずつ組み合わせたおもしろい文字盤。カリフォルニアダイアルとも呼ばれている)だったのです。(上写真)
1940年にはすべてのラジオミールの原型Ref.3646を製作。47mmもの大きなステンレス製クッションケース、文字盤には”ラジウム”インデックス、革ベルトはなめし加工をした防水レザーストラップ、手巻きムーブメントはなんとロレックス社製。明るくて大きなラジオミールは当時の深海ミッションで大活躍したことでしょう。(下写真)
当時はイタリア海軍への納品のための時計づくりを行っていましたが、その後、1990年代より市販され始めたラジオミールは45mmが主流となり、40・42・47mm、最大のモデルで49mm、かつては38mmも製作されていました。
1900年代は同社の一番の主力はラジオミールでしたし、数々の特許を取得していますが、ラジオミールが特許取得第一号なんです。パネライと聞くと「ルミノール」を思い浮かべる人が未だに多いのですが、ルミノールはラジオミールの改良版であり、一番最初につくられたパネライ腕時計は「ラジオミール」なんですよ。
いろいろなラジオミール
ラジオミールはかつて「ラジオミール」と「ラジオミール1940」という二種類が作られており、それぞれの違いはケースとリューズにあります。我々の思い浮かべるラジオミールは、クッションケースの上下に細いワイヤーループが付いていて、リューズが円錐状になっているクラシカルなモデルですよね。
これがレギュラーのラジオミールで、今回ご紹介するラジオミール1940は、ルミノールとよく似たケース形状で、細いワイヤーループラグではなく、ケース一体型のラグ、リューズは小さな円柱型です。
現行のラジオミールは「ラジオミール クアランタ」(クアランタ:イタリア語で40という意味。40mmの手巻き・日付付き)、「ラジオミール オフィチーネ」(45mmの自動巻き・日付なし)、「ラジオミール トレジョルニ」(トレジョルニ:イタリア語で3日巻き)「ラジオミール オットジョルニ」(トレジョルニ:イタリア語で8日巻き) 、「ラジオミール カリフォルニア」(カリフォルニア:ユニークダイアル)の他アニュアルカレンダー、パーペチュアルカレンダー、トゥールビヨンなどバリエーション豊かなラインナップです。素材もステンレスの他、イエローゴールド、プラチナ、ブロンズ、ゴールドテック(パネライ独自の配合によるレッドゴールド)があり、各モデルに相応しい素材が採用されています。
ラジオミール1940とは、同社が1940年代に大元となったモデルを製作したため名付けられたモデルで、これまでレアモデルも含めて何本かエバンスにも入荷しました。現在ラジオミール1940は完全に生産終了してしまい、名残のある1940ケースは、まさかの4000万円越えの最上位モデル”PAM00600”(ラジオミール ミニッツリピータートゥールビヨンGMT)という一型のみの生産となっています。
文字盤のつくりは二種類で、通常の数字をペイントしたタイプと、数字をペイントした文字盤の上に、同じ数字をくり抜いた文字盤を二枚重ねた「サンドイッチ文字盤」があり、初代にはサンドイッチ文字盤が採用され、視認性を高めるため数字を少なくした12・3・6・9の大きな表記はお馴染みの顔ですよね。これが基本デザインで、1~12の数字が全部入ったもの、12と6だけのもの、まったく数字のないものまでいろいろあるんですよ。
特筆したいのは、一度だけ入荷したことのある当時のVIPにのみ提案されたという幻のラジオミール”ダイヤモンドコレクション”。(下写真)こちらは当時の定価で約290万円だったのですが、当時のレギュラーモデルが20~30万円台で販売されていたことから、VIP限定レアモデルだということが伺えますよね。
また、数字やインデックスがダイヤモンドで模られているモデルは今でも入手可能ですが、このシンプルなベゼルダイヤモデルは全く見付からず激レアなんです。ラジオミールといえば、45・47mmなので、40mmのこのモデルはパネライオーナーのパートナーへのご提案だったのかもしれませんね。
ユニークダイアルとは
先程も少しお話ししましたが、その名の通り、ローマ数字とアラビア数字を半分ずつ組み合わせたデザインのユニークなダイアルで、上半分がローマ数字(1・2・10・11)、下半分がアラビア数字(4・5・7・8)、これら以外の数字には▼や横向きのバー(棒状インデックス)が組み合わさっています。
ユニークダイアルは別名「カリフォルニアダイアル」とも呼ばれており、なぜカリフォルニアなのかというと、先述した通りパネライはロレックスからのムーブメント供給を受けていた時代、ロレックスの文字盤補修を行っていた会社がこの文字盤デザインでリフィニッシュしてロレックスが採用し、この会社がカリフォルニアにあったからだそうです。
ユニークダイアルを搭載した腕時計はロレックスが一番最初ですが、実はロレックスやパネライだけでなく、いろいろなアンティークウォッチやチュードル、セイコーなどにも存在し、ユニークダイアルを模したフランクミュラーもあるんですよ。(下写真)
1940年代のロレックスのユニークダイアルは主に「バブルバック」に多く見られ、たくさん種類があります。特に人気の高い針やベゼルデザイン、フラッシュフィットの組み合わせでリダン(修復)されていないものは入手困難なためもし見付かった場合大変高額です。ロレックスに限らず、いろいろな「ユニークダイアル」を探してみるのも楽しいですよね。
今回ご紹介する”PAM00718”ユニークダイアルは、なんと、世界限定50本の激レアモデルです。実は数年前に一本だけ同じモデルが入荷したのですが、その時より価格は上がっています。現在、ここエバンスにしか在庫がなく、大変稀少モデルなので今後も期待できると思います。
42mmという小振りで手巻きなので薄型ですが、ホワイトゴールド製なので心地よい重みも感じさせてくれる。主張しすぎない、一味も二味も違うユニークなダイアル。何より、極端に少ない生産本数ゆえの優越感。すべてがコレクター心をくすぐる素晴らしいモデルです。是非、一度お手に取ってこの特別なモデルを堪能してみていただきたいです。
おわりに
いかがでしたでしょうか。この記事を読んで、すべてのパネリスティ、これから所有してみたいみなさまが、興味を持っていただけたら嬉しいです。
気になられた方は是非、私までお問合せ下さい。
みなさまのご来店、心よりお待ち申し上げております。