「 夏の夜空をあなたの腕に”Van Cleef & Arpels ミッドナイト イン パリ” 」 2019年6月25日
2019-06-25 11:00
こんにちは、銀座エバンスの稲田です。
梅雨に入り、あいにくの天気が続きますね。お出掛けの際は傘をお忘れになりませんよう、ご注意くださいね。
さて、本日は” Van Cleef & Arpels ヴァンクリーフ&アーペル ”から息を呑むほど美しい大変稀少な一本、
”ミッドナイト イン パリ”のご紹介です。
Van Cleef & Arpels ヴァンクリーフ&アーペル
”ミッドナイト イン パリ”
メゾンのはじまり
メゾンのはじまりは 1906年。宝石商の娘であるエステル・アーペルと宝石細工職人の家で生まれたアルフレッド・ヴァンクリーフが出会い、二人のラブストーリーは現在のメゾンの礎となっています。愛し合う二人は何よりも、永遠に滅ぶことのないものを創造したいという願望を強く抱いており、二人の家族たちと共に” Van Cleef & Arpels ヴァンクリーフ&アーペル ”を創業しました。
創業からわずか数年で世界でも稀な最高級のハイジュエラーとして成長を遂げ、今ではその名を知らない人はいないほどのメゾンとなっています。独創性に富んだ愛に満ち溢れたデザインは、100年以上の長い歴史の中でゆっくりと培われ、同社の創り出すジュエリーと時計はどれも詩的で美しい物語を持っているのです。
女性のためのジュエリーウォッチ
ヴァンクリーフ&アーペルは、1920年代から腕時計の製作を始めたのですが、それは女性たちのための豪華絢爛なジュエリーウォッチでした。
初期作品はアールデコ(当時流行したデザイン。幾何学模様すなわち対称性のある模様が、一定の間隔で重なり組み合わさっている模様、単純で直線的なデザイン)に着想を得たデザインで、プラチナ・ダイヤモンド・サファイア・エメラルド・ルビー・オニキスすべてを取り入れたデザインのペンダントの裏に、とても小さな時計の文字盤を埋め込んだ”シャトレーヌ”です。(上写真)
そして後に発表する”カデナウォッチ”は1935年の初出から80年以上経った今もなお作られ続けており、歴史的作品でありメゾンの永遠の定番として、世界中のセレブリティ達に愛用されています。(下写真)
男性のための初のシンプルウォッチ
1949年、ピエール・アーペル氏によりデザインされた、男性に抱くエレガンスを凝縮したそのモデルは、実は彼自身のために製作した腕時計だったそうです。そして当初知人にのみ販売していたもので、正式発表は1967年のことでした。
製作から70年経った今もなお、更なる洗練美と新たな機能を持ち、伝説の時計として作り続けられています。(下写真)
同社は「調和」を何より大切にしており、控えめで洗練されたエレガンス、アシンメトリーなデザインなどすべてがメゾンの美の真髄を表現しています。
「シンプルさは究極の洗練である」同社が大切にしているレオナルド・ダヴィンチの言葉どおりの腕時計ですね。
ポエティックコレクション
そして2006年。今回ご紹介する”ポエティック コンプリケーション”シリーズが誕生。
卓越した技術と創造性によって、腕時計の文字盤に物語と命を吹き込まれたこのコレクションは、一目でヴァンクリーフ&アーペルと分かる詩的で斬新なデザインです。
同社が創業当初から培ってきたフランスのハイジュエリーの伝統と、スイスの時計専門技術、すなわちサヴォアフェール(職人たちの見事な技術のこと)を融合させた詩情溢れる夢のような腕時計、それがポエティックコレクションです。
ミッドナイト イン パリ
”ミッドナイト イン パリ”。その名のとおり、美しいパリの夜空を文字盤に描いたモデル、なんとポエティックでロマンティックなモデルなんでしょう。アベンチュリンという天然石を用いた文字盤は、和名で砂金水晶(さきんすいしょう)と呼ばれており、角度によってキラキラと輝く深いブルーの色は、夜空を表すのに最適な石です。(上写真)
この石には心を穏やかにする効果があり、ネガティブな感情を緩和させ、持ち主の本来の才能や魅力を最大限に引き出してくれるそうです。
アベンチュリンの周りを囲うのはフロステッドブルークォーツ(青水晶)で、見事な調和をもたらします。
ハンターケースになっている裏蓋から覗くのは、夜空の文字盤と連動しているカレンダーとその周りをぐるりと囲む、美しい隕石(メテオライト)です。(下写真)ブルーアベンチュリンとの相性抜群なこの石は、稀少な上大変加工が難しく、世界に二つとない表情を見せてくれます。
ベゼルとラグに採用されているダイヤモンドの総数はなんと140石、総カラットは4.02カラットにもなります。カラーはD~Fのもの(Dが最上級)、クラリティ(透明度)はIF~VVS(FLが最上級でIFはその次)カットはバゲットカットです。内包物や傷のない大きなダイヤモンドでなければ、このカットは実現せず、ベゼルだけで64石もの同じカラーと透明度のダイヤモンドを揃えるのは困難極まりないことですよね。
このモデルは表も裏も抜かりない、まさに芸術作品と言えるでしょう。
ムーブメント
「時を詩的に解釈する」というコンセプトの表現のため、ヴァンクリーフ&アーペル社は2006年に”クォンティエム ド セゾン”というムーブメントを開発、これは一年という年月をかけて、ゆっくりと一回転する仕組みで、文字盤と文字盤の裏側が連動しています。今回ご紹介するミッドナイトインパリに搭載されているのは、このモデルのために特別に開発されたモジュールで、ジャン・マルク・ヴィダレッシュという時計師の作る”アジェノー社”製ムーブメントです。
アジェノー社が同社に参戦したのは2003年で、当初はレディースモデルのみの搭載でした。2009年、ミッドナイトインパリ用に初めて開発したムーブメントはヴァンクリーフ&アーペルのコンセプトにピッタリだったのです。
実はヴィダレッシュ氏は当社に一度だけ入荷したことのある、ハリーウィンストンの”オーパス9”(ダイヤモンドを乗せた二本のチェーンで時刻を表示する機構)の時計師で、また、以前ご紹介したロマン・ジェロームのブログ(「MOON DNA ” ロマン・ジェローム スカイラブ48スカル ”」・・・合わせてお読みください)の中に出て来た”サブクラフト”の時計師でもあります。
この二本だけ見ても非常に難しい機構を作り上げる天才時計師であることは明確ですよね。
同氏が率いるアジェノー社、これからいろいろなブランドでこの名前を聞くことになると私は思います。今回のブログ写真の一部はVHPより引用させて頂きました。
おわりに
いかがでしたでしょうか。まだまだ語りつくせぬヴァンクリーフ&アーペルの世界。
腕時計だけでなく、ジュエリーや香水にまで美しい物語のあるメゾンは世界にいくつもありません。
”ミッドナイト イン パリ”。これほどロマンティックな腕時計に私は初めて出逢いました。
同社は他にも素晴らしい名作を数本製作しています。そのほとんどが一千万円を超えており、なかなかお目に掛かれない作品ばかりです。そして、その一本一本に詩的な物語があり、仕掛けがあり、愛があります。
その大変稀少な一本が、 お客様からのご委託商品という形でここエバンスに存在します。
この奇跡のような夢が醒めてしまう前に、 気になられた方はお早めにご来店くださいね。
メンズとしてのご提案ですが、女性の方にも是非おすすめしたいです。
みなさまのご来店、心よりお待ちしております。