エバンスブログ

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パテックフィリップのレギュレーター

2024-02-27 11:00

こんにちは、銀座エバンスの稲田です。
本日はパテックフィリップから「5235/50R-001 コンプリケーション アニュアルカレンダー レギュレーター」のご案内です。

レギュレーターとは

「機械式時計」とは、「香箱(ゼンマイが入っている箱)・二番車・三番車・四番車」という歯車と、時計の心臓部である「テンプ」に伝わる動力を制御する「ガンギ車とアンクル」で構成されており、長針・短針は二番車、秒針は四番車に取り付けられています。そして一般的な時計の仕組みは、長針・短針・秒針がひとつの軸で止まっているのですが、「レギュレーター」とは、それぞれが独立して配置された機構のことです。そしておもしろいのが「何時何分何秒かが一見しただけでは分からない時計」という所なんですよね。

今回ご紹介するパテックのRef.5235/50Rは、時・分・秒がそれぞれ別軸に取付けられており、真ん中の一番長い針が長針、12時位置の丸が短針、6時位置の丸が秒針で、一見クロノグラフのように見えますよね。このデザインは、昔の時計師たちが高い精度を持つ置時計をモチーフにしており、Ref.5235/50Rはパテックフィリップ名誉会長室に飾られている振り子時計からインスピレーションを得て製作されたそうなんです。

レギュレーターは、1987年「クロノスイス」が世界初の手巻き式腕時計を発表したのがはじまりです。クロノスイスとは1983年ミュンヘンで設立され、古典的なレギュレーターを中心に、近代的なスケルトン仕様のモデルから、高額なトゥールビヨンまで手掛けている比較的新しいブランドです。

レギュレーターの作られた意図とは、15世紀初頭から17世紀の「大航海時代」(「海を支配する者が世界を征する」という思想の中、世界各地の探検家たちが大海原へ乗り出し、いろいろな物を発見した時代のこと)において、正確な時刻を知るための高精度の時計が必要でした。その時計は「マリーンクロノメーター」と呼ばれ、その大きな時計に多く採用されたデザインがまさに「レギュレーター」であり、遂に腕に装着できるようにまでにしてくれたのが、クロノスイスなのです。レギュレーターとは、一見普通とは違う見た目で戸惑いますが、慣れるととてもシンプルなので実は、時間が読み取りやすい時計なんですよね。

Ref.5235/50R-001とは

2019年、これまでに類を見ない近代的かつ個性的なデザインの時計がパテックフィリップより発表されました。一見、クロノグラフかなと思う顔付は実はレギュレーターで、よく見ると月と曜日が小さな小窓から覗いており、パテックのこのデザインは年次(アニュアル)カレンダーであることがすぐに分かりますよね。

そしてこのモデルの魅力を更に引き立てているのがカラーリングで、グラファイトと呼ばれる濃いめのグレーに、エボニーブラックのツートンでキリっと引き締まった顔付きに仕上げられています。グラファイトには美しい縦のヘアラインが施されており、時針・秒針の円を描くようなギョーシェと相まって文字盤すぐ内側の分メモリ(レイルウェイ目盛り)と、曜日・月の表示窓を立体的に際立たせているのです。そして何より、ローズゴールドとのカラーリングの調和が素晴らしく、黒だけじゃ強過ぎるし薄いグレーじゃ物足りない、すべてにおいて卓越した傑作なんです、このパテックのレギュレーターは。

このモデルのためだけに設計・開発されたキャリバーCal.31-260 REG QAは、時・分・秒をそれぞれ別軸に取り付けたレギュレータータイプ設計の機構で、22金のマイクロローターに、シリコン製の部品が組み込まれ、パワーリザーブは48時間、パテックフィリップ・シール(同社の厳格な品質基準をすべてクリアしたもの)が刻印されています。

この特別なキャリバーに採用されているこれらの部品は、”パテックフィリップ・アドバンストリサーチ”が開発した技術です。”アドバンストリサーチ”とは、2005年に同社が新たに創設した部門で、「パテックフィリップの時計製作における知識と技術力のすべてを世界に発信する」というコンセプトの下、最高の作品を作るため日々研究を重ねています。特筆すべきは、各社が導入し始めた秀逸な素材、”シリコン”に着目し、同年には「Silinvar®」という名のシリコン製ガンギ車を発表したことです。次のチャプターでは、この技術開発局についてもう少し詳しくお話したいと思います。

パテックフィリップ・アドバンストリサーチとは

パテックフィリップ社は、品質・精度・信頼性といった真の付加価値を長期的にユーザーに提供してこそ、真の技術革新の意味があると考えています。そこで、腕時計において非常に便利な特性(耐磁性・定温度・軽量化・潤滑油不要など)を確実に向上させる「シリコン」の研究を重ね、 先駆的な取り組みを行って来ました。

先程少し触れた”アドバンストリサーチ”とは、パテックフィリップ社が2005年に新たに創設した部門で、品質・精度・信頼性を向上させるため、様々な先端的な部品を製作しています。2005年には「Silinvar®」(潤滑油不要の脱進機用ガンギ車)、2006年には「Spiromax®」(等時性を向上させたヒゲゼンマイ)、2008年には「Pulsomax®」(エネルギー効率を飛躍的に向上させたアンクルとガンギ車)、2011年には「Oscillomax®」(これらに「Gyromax-Siテンプ」を統合したもの)、2017年には「Spiromax®」ヒゲゼンマイの更に上のバージョンのヒゲゼンマイという商標登録済の、すべてにシリコンを素材とした革新的な部品を次々に発表しました。

2005年に初の「Silinvar®ガンギ車」搭載モデルRef.5250(年次カレンダー・世界100本限定)を発表、酸化ケイ素コーティングされたこの部品は、美しい青色をしています。2006年には「Spiromax®ヒゲゼンマイ」を組み込んだRef.5350(年次カレンダー・世界300本限定)を発表、このヒゲゼンマイは耐久性に優れ、温度変化にも強く、同心円性を保ちながら伸縮することにより、温度や振り角の大小に関わらず振動数を一定に保つことができます。2008年には「Pulsomax®」搭載のRef.5450(年次カレンダー・世界300本限定)を発表、新しいガンギ車とアンクルは、最適化された設計によりエネルギー効率が改善され、パワーリザーブが45時間から60時間へ延びました。2011年には「Gyromax-Siテンプ」を発表、「Pulsomax®」と「Gyromax-Si」を組み合わせた「Oscillomax®」を搭載したRef.5550(永久カレンダー・世界300本限定)を発表、パワーリザーブは48時間から65時間へと延びました。

2017年発表のRef.5650(アクアノート・トラベルタイム・世界500本限定)※下写真※のフレキシブル機構は、トラベルタイムのデュアル・タイム機構を簡素化、部品数を37個から12個へ減らしたことで、薄型化に成功しました。新しい「Spiromax®ヒゲゼンマイ」は、更に技術が向上しており、新たに内周に設けられたふくらみと外周のエンドカーブの組み合わせにより垂直姿勢における進み・遅れを低減しています。

アドバンストリサーチモデルは限定本数が極めて少なく、コレクターズアイテムのため中々出回ることはありません。もしもお取り扱いができる日が来ましたら、すぐにお知らせさせて頂きます。

おわりに

いかがでしたでしょうか。今回はパテック初のレギュレーターのことだけではなく、アドバンストリサーチモデルについてもお話しすることができました。

今回ご紹介したRef.5235/50R-001(パテックフィリップのレギュレーター)を取り扱っている所は非常に少なく、エバンスでも初入荷のレアモデルです。
この記事をご覧になって気になられた方は是非、お早めに私までご連絡いただければ幸いです。
みなさまのご来店、心よりお待ち申し上げております。

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