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一つの時計と向き合ってみる【ショパール L.U.C カリテフルリエ 16/1896】

2023-12-05 11:31

エバンスブログをご覧いただきましてありがとうございます、銀座エバンスの福永です。

今回はショパールのL.U.C カリテフルリエをご紹介いたします。

ショパールの歴史を紐解くと、ルイ‐ユリス・ショパールによって1860年に設立された懐中時計とクロノメーターに特化した時計工房にまで遡ります。
その後、1963年に現オーナーであるショイフレ家に引き継がれ、1976年に生み出されたハッピーダイヤモンドで大きな成功を収め、ジュエラーとしての側面も注目されるようになります。

そして1996年、L.U.Cによって機械式時計製造における最高水準の製品を生み出すに至りますが、1990年代と言えば多くの時計ブランドがクォーツショックから立ち直り新たな歩みを進めた時期にあり、ショパールに関しては自らの手で比類無き機械式ムーブメントの開発を行うことで、高級時計ブランドとしてのポジションを確固たるものとしたと言えます。

L.U.Cとは

L.U.Cとはショパールの自社開発ムーブメントの名称であり、創業者
Louis-Ulysse Chopardのイニシャルが冠されています。
また、同ムーブメントを搭載したモデルの名称としても用いられます。

時計に興味がある方ならば、昨今盛り上がりを見せるドレスウォッチと合わせて、L.U.Cというワードを耳にする機会もあるのではないでしょうか。

L.U.Cムーブメントを搭載した最初のモデルは1996年に発表されたL.U.C1860であり、素材や裏蓋の構造により合計1860本が製造されたとされています。

L.U.C1860/2

その最たる特徴は、現在でも自動巻きムーブメントの最高峰の一つに数えられるCal.1.96を搭載している点、そしてマイクロローターを用いた薄型設計であり、巻上機構はラチェット式を採用しています。

またヒゲゼンマイはブレゲヒゲ、主ゼンマイはツインバレルとし65時間のロングパワーリザーブを有した実用性に秀でた設計でありながら、ジュネーブシールを取得する美麗な仕上げも持ち合わせています。

一方で量産機でありながら、見えない部分までも全て手作業で仕上げられるムーブメントは最上の仕上げを目指したと言えども、その生産性は明らかに悪かったとされています。

L.U.Cムーブメントは1.96系以降、手巻きロングパワーリザーブの1.98系、またセンターローターを採用し実用性に重点を置いた自動巻きの1.010系、そして地板や穴石にまで極めて高いコストがかけられた手巻きのEHGなど、バリエーションを拡大していきました。

しかしながら、モデルやムーブメントのバリエーションの豊富さに対して生産数は年産で僅か5000本ほどに限定され、L.U.Cはその品質そして存在をエクスクルーシブなものとしています。

ジュネーブシールからカリテフルリエ

最高峰の自動巻きムーブメントを目指したCal.1.96は、その審美性においてもジュネーブシールを取得しており、後にショパール、ボヴェ、パルミジャーニによって立ち上げらる新たな認定基準である「カリテフルリエ」に歩みを進める大きな礎ともなっています。

カリテフルリエに関しては審美性はもちろんですが、前提条件としてクロノメーター認定をパスしている点に加え、テスト内容が実生活に則したものであり、極めて過酷なテストが多いことでも知られています。
言い換えれば繊細な設計を持ったドレスウォッチにとっては、認定取得が困難で最も相性の悪いものと言えます。

カリテフルリエ認定モデル一例
www.fleurier-quality.com

一方でカリテフルリエの認定テスト自体は広く開かれたものでありましたが、認定基準の厳しさから実際には発足に関わったショパール、ボヴェ、パルミジャーニの製品でしか認定されたものはなく、現在においてはショパールのみがカリテフルリエ認定モデルの生産を行っている状況です。

L.U.C カリテフルリエ

今回ご紹介のL.U.C カリテフルリエについては、カリテフルリエ認定を受けた初のモデルであり、同時にL.U.Cの可能性を広げたモデルと言えます。

外装デザインにおいてはオリジナルのL.U.C1860とは異なり、側面の膨らみが抑えられたケースに特徴的なラグを持ち、後に続くカリテフルリエ認定モデルでも多く採用される象徴的なフォルムを持っています。

20世紀中頃のヴィンテージモデルを彷彿とさせるセクターダイアルは、サンバースト仕上げのシルバーに艶やかなグレーのリングと、色味により異なる仕上げが施され、また楔形のインデックスの外側には夜光塗料がポイントで配された特徴的なものとなっています。

搭載されるCal.9.96はCal.1.96をベースに、カリテフルリエ認定を取得できるよう改良されたムーブメントであり、特徴は緩急針をトリオビスに、巻き上げヒゲを平ヒゲに変更し耐震装置にも手が加えられ、耐衝撃性と携帯精度を高い次元で両立した設計となっています。

そしてムーブメントを敢えて見せない裏蓋には、ショパールのモチーフとして度々登場する、蜂と蜂の巣をモチーフが刻まれています。

L.U.Cカリテフルリエはその後、いくつかの後継機種が作られていますが、3針モデルにおいては、こちらの初代モデルに則ったケースとムーブメントが採用され、その普遍的な魅力を今に伝えています。

また、L.U.C1860の誕生から25年の節目となる2021年にはL.U.C QF JUBILLEEが発表され、カリテフルリエ認定初のスティールモデルとして、また僅か25本の極少量生産が話題となりましたが、このデザインはまさに今回ご紹介のL.U.Cカリテフルリエをトレースしたものでした。

www.chopard.com

高級機械式時計そしてドレスウォッチのジャンルにおいては、パテックフィリップやランゲ&ゾーネなどのビッグネームに多くの注目が集まりますが、外装面そしてムーブメントにおいてもそれらと比肩、あるいは凌駕する魅力を備えたショパールL.U.C、ぜひ一度お手に取ってみてはいかがでしょうか。

L.U.Cカリテフルリエの在庫状況はこちらからご確認下さい。

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