金針がいいんです。「PANERI(パネライ) ルミノール マリーナ ロゴ アッチャイオ PAM00632」 2021年9月6日
2021-09-06 10:30
今回のエバンスブログは「PANERI(パネライ) ルミノール マリーナ ロゴ アッチャイオ PAM00632」のユーズドウォッチをご紹介します。ブラウン文字盤に金針でヴィンテージ風な趣きのある1本です。
今回は、この時計を持っていたスタッフの生の声を後半パートでご紹介します。そして、「デカ厚」パネライは現在どの位の大きさが主流なのか?気になったのでサイズ展開なども前半で調べてみました。
今回の時計の概要
(■今回の時計「PANERAI ルミノール マリーナ ロゴ アッチャイオ PAM00632」 ■ブラウンのカーフレザーベルトにピン式の尾錠)
こちらの「ルミノール マリーナ ロゴ アッチャイオ」は、パネライのベーシックラインである「ロゴ」シリーズの3針手巻きモデル。ステンレスケースに金針やベージュ夜光が特徴の1本です。
2015年にヨーロッパで先行発売、2016年から国内で発売となりました。限定モデルではなかったものの、2018年頃には生産終了となったため、生産期間が3~4年という比較的短命だったモデルとなります。
パネライ
(■1930年代ラジオミール最初の試作、1950年代エジプト海軍向け「エジツィアーノ」 ■1960年代イタリア海軍向けのルミノール、海軍向けのコンパス 出典:「オフィチーネ パネライの歴史」https://www.panerai.com/jp/ja/about-panerai/history.html)
・パネライ(OFFICINE PANERAI)
1860年にイタリアのフィレンツェで設立されたパネライ(OFFICINE PANERAI)。1930年代半ばから、イタリア海軍向けの特殊時計等を手掛けますが、民生機は作らず一般には知られない存在でした。
1993年に民間向けの少数販売を開始。1997年にヴァンドーム(現リシュモン)グループ入りし、民間向けの時計製造を本格化。その後のデカ厚ブームで知名度と人気を高めてきました。
現在は、イタリアのフィレンツェにデザイン部門、スイスのヌーシャテルに製造拠点が存在します。過去の軍用モデルを元に、武骨で洗練された時計を多型番で少数生産し、熱心なファンを多く持つブランドです。
現在は、ルミノール、ラジオミール、サブマーシブル、ルミノール デゥエの4つのシリーズが存在します。どのシリーズでどの大きさが主流なのか、その割合が気になったので、各シリーズのサイズ展開を調べてみました。
・モデル別のサイズ展開
ルミノール | ラジオミール | サブマーシブル | ルミノール ドゥエ | |
(大型リューズガード) | (リューズガードなし) | (回転ベゼル) | (薄型ドレッシー) | |
38mm | 10 | |||
40mm | 1 | |||
42mm | 11 | 5 | 11 | 13 |
44mm | 80 | 2 | ||
45mm | 15 | 7 | ||
47mm | 12 | 5 | 16 | |
48mm | 2 | |||
型番数 合計 | 104 | 27 | 29 | 30 |
(パネライ公式WEBサイトより:全190型番の内訳 2021年9月6日現在)
「ルミノール」が、全190型番のうち104型番で全体の約55%、さらに「44mm」サイスが80型番でルミノールの約77%を占めており、「ルミノール」の「44mmサイズ」がパネライの中心ゾーンと言えそうです。
かたや、2016年発表のドゥエシリーズや、2017年発表のサブマーシブル42mmなど、新たな薄型モデルや小さめのモデルも増えていて、デカ厚でない新しい展開を探っているようです。
ロゴ?マリーナ?アッチャイオ?
(■青い「OPロゴ」が映えるこちらは今回のモデルの色違いPAM00631(生産終了品) ■9時位置にスモールセコンドが入った「マリーナ」と秒針がない「ベース」)
今回の時計は、ルミノールの44mmサイズ。王道モデルで一番多いサイズの1本ですが、そのモデル名にマリーナ、ロゴ、アッチャイオなどの単語が並んでいます。ここではその意味をご紹介します。
・ロゴ(OP logo)
今回の時計のダイアル6時位置に入っているのが「OPロゴ」。OFFICINE PANERAIの2つの頭文字OPから作られたロゴマークで、現在は「クラシカルでエントリー系」のモデルを表します。元々は、1993年から1997年のプレ・ヴァンドーム時代に使われ、廃止となっていたマークで、2004年に復活したものです。上下に伸びる二つの矢印は、空と海、2つのジャンルを示すのだそう。
・マリーナ(MARINA)
「マリーナ」は、ルミノールシリーズで秒針があるモデルを表します。(※一部例外あり) 秒針がないモデルは「ベース(BASE)」と呼ばれます。ベースの場合、文字盤にBASEの文字は入らないようです。秒針がないとシンプルな見た目で、秒針があると機械が動いている実感がしやすいかと思います。
・アッチャイオ(ACCIAIO)
アッチャイオは「鋼鉄」を意味するイタリア語で、ステンレス素材のモデルということになります。他に「オロロッソ(ORO ROSSO)」=レッドゴールド、「ブロンゾ(BRONZO)」=ブロンズなどの素材を示す単語があります。
この時計について(スタッフに聞いてみました)
(■クッションケースに半円型のリューズガードが特徴のルミノール ■ダイアルはグレー寄りのブラウンで落ち着いた雰囲気)
では、ここからは今回の「ルミノール マリーナ ロゴ アッチャイオ PAM00632」を見てみましょう。今回は、同型の時計を最近まで持っていたスタッフに、この時計のことを聞いてみました。
▼この型番を探していたんですか?
「パネライの中では価格が安く、OPロゴが格好いいロゴシリーズを中心にいくつか考えていて、金針のこのモデルにグッときました。」
▼簡略バージョンという声もあるみたいですが?
「確かに、前世代のモデルと比べると、ケースのベルト取付け部が、ねじ式からバネ棒式になり、裏蓋がスクリュー式からスナップ式になったりしていて、本流を知る人からすると物足りない部分もあるかと思います。ただ、コスパが良いと言えますし、防水も100mはあって、使っていて不自由は感じませんでした。」
▼手巻き※、面倒でなかったですか?
(※ムーブメントは、56時間パワーリザーブのOPII(ETA(ユニタス) 6497がベース)を搭載)
「毎朝ゼンマイを巻いていました。愛着も沸くし、通勤前のいいルーティンになっていました。あと、使う直前に巻くことが精度の面でも良かったりするようです。」
▼尾錠式ベルト、使いにくくないですか?
「フィッシュテールと呼ばれるこの尾錠の形が格好いいんです。バックル式の方が着用が簡単だと思うのですが、金具がシンプルな分、装着感は尾錠式の方がいいような気もします。」
(■存在感のあるフィッシュテールタイプの尾錠 ■裏蓋の刻印から、この時計はS番=2016年製造品で、年間生産数1000本のうちの1本ということも分かる。→参考:パネライの製造年に関して)
▼ベルト交換しました?
「この632番はベルトや工具が付いていないタイプだったので、工具や黒のラバーベルトを購入し、自分で交換したりしていました。茶色のカーフベルトとは違う雰囲気になりますし、慣れると替える作業も楽しかったりするんです。」
(■ルミノールで一番主流の44mmサイズ ■横からも直線的で武骨な印象の「ルミノールケース」仕様)
▼サンドイッチ文字盤※でありませんが?
(※インデックス部分がくり抜かれ、下の板に夜光を塗布した文字盤。独特な立体感がある。)
「ベーシックモデルなので、サンドイッチ文字盤でなくてもいいかなと思いました。インデックスが日焼けしたようなベージュ色で雰囲気もありますし。」
▼お気に入りポイントは?
「金針です。銀色針のモデルが基本形だと思うのですが、ちょっと武骨すぎる感じもあって。ゴールドケースで金針のモデルはあったりするのですが、ステンレスケースで金針という組み合わせは非常に珍しいと思います。」
▼久々に腕に乗せてみていかがですか?
「いいですねえ。また欲しくなってしまいます。」
さりげなく洒落心ある1本
(■夜光はグリーン系に発光、暗所での視認性も十分 ■腕回り約16.5cmのスタッフが腕に乗せてみました。)
今回の「ルミノール マリーナ ロゴ アッチャイオ PAM00632」。スタッフもお気に入りだったようで、その魅力を熱く語ってくれました。
文字盤のブラウンも渋めで、金針やベージュ夜光がいい雰囲気を出している今回の時計。ベーシックで武骨な中に、イタリア由来の洒落心をさりげなく見せてくれる1本のように思います。
→PANERI(パネライ) ルミノール マリーナ ロゴ アッチャイオ PAM00632(USED)
(44mm径、ステンレス、カーフベルト、手巻き、S番(2016年製造))