その行為、実はNG!時計の寿命に影響する、よくある間違い
2021-05-28 11:00
エバンス オンラインショップ担当の大貫です。
機械式時計を愛用する方々にとって、時計は肌身離さず着用したいものですよね。しかし、メンテナンスや修理でお持ち込みいただくお客様からお話を伺うと、意外と多くの方が、誤った認識で時計を着用している事が多く見られます
誤った着用方法の場合、大切な時計の寿命を縮めてしまうことがありますので、注意していただきたいポイントです。そこで今回は、“よくある間違い”と言える事例を紹介したいと思います。
時計を付けたままでお風呂(シャワー)
ダイビングが出来るほどの高い防水性能を備えるハイスペックの時計だからと言って、時計を付けたまま、お風呂に入ったりシャワーを浴びたりするのはNGです。ガラスの内側にビッシリと水滴が付いている時計を修理に持ち込まれるお客様も少なくありません。
理由を伺うと、寝るときもシャワーを浴びる時も常に時計を着けているそうで、『防水性が高いからお風呂やシャワーも大丈夫』と認識されています。
時計自体に高い防水性があったとしても、『熱』に弱い部分があり、ガラスの内側が曇ると言ったことが起きます。防水性を高めるための『パッキン』が、熱の影響により、変形・劣化しやすくなるため、時計の防水性が保てず、湿気が侵入してしまいます
湿気は、ムーブメントや文字盤の“腐食”、“錆びの”原因となり、交換できたとしても多額の費用が掛かりますし、生産終了から年数が経過している時計では、修理不能となることもあります。
時計のガラス面を手首の内側にする
最近では見かける場面が減りましたが、時計のガラス面を手首の内側にする方がいらっしゃいます。何かの作業中に時間が見やすいという理由ですが、これは大きなダメージが残ることになります。
字を書いたりパソコンのキーボードを打ったりする場面を想像してみると、ガラス面が様々な所に当たってしまうことが分かります。
「ガラスは硬い」。確かにそうですが、思いのほか傷も付きますし、割れたりもします。ガラス面が傷つくことで、美観も悪くなります。折角良い時計をしていても台無しですね。
またガラスが割れた場合、破片が文字盤を傷つけたり、機械内部入り込んだりと、想像以上の修理費が必要となることも。場合によってはメーカーでも文字盤交換ができない場合がありますので、注意してください。
スポーツ時に機械式時計を着用
『スポーツモデル』と呼ばれる時計だからと言って、実際にスポーツ時に使用するのは、基本的にNGです。ただ一部のモデルは、 実際にプレー中を想定し、競技の特性に合わせて機能を強化している時計もありますが、そういった時計は、非常に稀です。
確かにドレスウォッチと呼ばれる、薄型の時計に比べれば多少衝撃には強くなっていますが、数百個の緻密なパーツを組み合わせる機械式時計は、衝撃に対して、思っている以上に脆弱です。スポーツ時には時計を外しましょう。
自動巻き時計を“振って”巻き上げる
皆さんは、自動巻き時計を止まった状態から再び動かそうとする際、どのようにゼンマイを巻き上げますでしょうか?
フリスビーやヨーヨーを放るようにして、自動巻き時計を巻き上げる様子を見たことがありますが、これは思いのほか高い衝撃を時計に与えてしまいます。
ご存じのように自動巻きの場合、腕の動きでローターが回転し、ゼンマイを巻き上げます。ローターは“重り”であり、無理な力を加えると、軸の破損に繋がります。
動きが止まってしまった場合、自動巻き時計においても、手巻き時計のようにある程度リューズで巻き上げて使用しましょう。
クロノグラフウォッチのストップウォッチ針を秒針として代用
通常、クロノグラフモデルの中心にある細い針は、ストップウォッチ計測用の秒針です。時計用の秒針は別についていますが、見づらいためかストップウォッチを常に作動させ、ストップウォッチ針を秒針の代わりに使っている方がいらっしゃいます。
一部このような使い方でも問題ないモデルは存在しますが、かなり高額な部類となります。
クロノグラフを作動させたままの場合、ゼンマイの持続時間が少なくなるのは、もちろん、機械式時計のクロノグラフ機構は恐ろしく精密で、多くのパーツを使用しています。そのような機構を作動させたままでは、衝撃に対して非常に弱く、故障の原因となります。
ブレスレットを緩めに着ける
金属製のブレスレットは、ご購入時、手首周りに合わせて調整を行いますが、“きつめ”、“ゆるめ”など、好みは人それぞれ。ただ極端に「きつい」、「ゆるい」場合、長い期間着用していると、ブレスレットに歪みが出ていきます。
基本的に修理では治らず『ブレスレット一式交換』での対応となります。ブレスレットが切れるということはあまりないことですが、耐久性に影響します。 コンビモデルやゴールドモデルの場合は、金属が柔らかいのでその傾向は顕著です。
時計を長持ちさせるためには・・・
ご案内しましたように、誤った使用方法により、大切な時計の寿命は短くなってしまいます。さらに普段着用していることで、意識せずとも少しづつダメージが蓄積されていくのも事実です。また【磁気】や【紫外線】などにも注意してください。
もちろん修理により、ダメになったパーツを交換することで対処できますが、多くのブランドは、基本「パーツのストックは生産終了から〇年」と規定されており、残念ながら一生面倒を見てくれるというブランドは僅かです。
一生モノとして購入したものの、故障のタイミングによっては、十数年で使用できなくなる可能性もあります。 なので、日々の取り扱いは非常に重要 であり、定期的なオーバーホールを行うことで、時計の状態を維持することが大事です。
皆さんの愛用する時計は、前回いつオーバーホールをしましたか?