「ミルガウス再考:ロレックス Ref.116400」2013年1月25日
(※本文中のリンクは、サイトリニューアルのためリンク切れになっていることがございます。予めご了承ください。)
こんにちは、福永です。
本日はロレックス ミルガウスの魅力について、改めてご紹介していきたいと思います。
ロレックスの代表作であるデイトジャスやデイデイト、そしてエクスプローラやサブマリーナなどメジャーなモデルに対して、少し控えめな印象を持たれるミルガウスですが、そのシンプルな容貌には他のモデルを凌駕する高いスペック、そして語り継がれる逸話が包まれています。
ミルガウス
Ref.116400
ミルガウスの発祥は1950年代まで遡り、科学分野にたずさわる人々の要望に応えるべく1000ガウスという高い耐磁性を備えたモデルとして生み出されました。現在のJIS規格の耐磁2種に照らし合わせてもの5倍もの性能と言えます
また、製品としての完璧さは欧州合同原子核研究機関(CERN)による厳格なテストによっても証明されたほどです。
しかしながら、ミルガウスはその特殊な需要からセールス的にはあまり振るわず、1990年代に生産終了となり、流通量の少なさから、後に中古・アンティーク市場で数百万円というプライスが掲げられることとなります。
現行のミルガウスRef.116400は、2007年に伝説のモデルの復活として発表されました。
当時の耐磁性能を引き継ぎ、ムーブメントを保護するシールド、そして強固なオイスターケースの裏蓋内側にもネジ込み式のシールドを備えるなど、他モデルで見られない徹底したミルガウスならではの設計がなされています。
デザインに関しても華美な印象は排され、シンプルなステンレスケースに視認性の高いダイヤル、そしてミルガウスだけに見られる稲妻型の秒針が特徴となっています。
シンプルなカレンダー無しのステンレス製3針時計でありながら、定価で約70万円というプライス、現行モデルも過去モデル同様に売れ筋とは言い難いですが、完璧な製品作りを行うロレックスにとって、他社では無し得ないモデルの象徴としてのラインナップと言えそうです。
また、実際にこれだけのスペックが必要かと問われれば日常生活においてはノーですが、多くの電気製品に囲まれた現代社会において、時計の大敵とも言える磁気を帯びづらい特性は、実用時計としての資質を十分に備えており、時計に求められる条件を極限まで具現化した一つの答えがミルガウスであると言えます。
ロレックスという数多くの人気モデルを抱えるブランドのなか、他とは一線を画すコダワリのモデルを選ぶ楽しみ方もよいのではないでしょうか。
シンプルなフォルムでありながら40mmという適度なボリューム感、艶を抑えたダイヤルにはミルガウスの特徴でもある稲妻型の針とオレンジのインデックスが備えられ、遊び心と静かな主張を感じさてくれます。
21世紀に蘇ったミルガウスという傑作、ぜひご自身の腕でお確かめ下さい。