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業界の常識、「日付早送り禁止時間帯」のメカニズムを解説 

2020-04-07 11:00

ブログをご覧の皆様こんにちは、販売部の福田でございます。

一般的に、日付表示がある腕時計販売時に、ほとんどの販売店では、そのモデルの取り扱い方法を説明すると思います。その際、全てではないのですが、「日付の早送りを行ってはいけない時間帯がございます」と、ご案内しているモデルが存在することを皆様はご存知でしょうか。

当社でも、必要なモデルには必ずご案内しております。ここ数年は「以前に聞いたことがある」、「知っている」というお客様が非常に多くなったと感じますが、まだまだ全てのお客様に浸透しているとは思えません。

誤ったご使用で、大切な時計を壊してしまっては、悔やんでも悔やみきれないはずです。

良い状態で永くご愛用いただく為にも、なぜ日付の早送りを行なってはいけない時間帯があるのか、その理由について、ロレックスの「デイトジャスト」をサンプルにしてご案内させて頂きます。 

日付変更禁止の時間帯とは (ロレックスの場合)

結論から申し上げますと、ロレックス「デイトジャスト」の日付早送りの禁止時間帯は、20時から翌朝の4時となります。その為、午前零時を挟んだ前後4時間は、日付の早送りをおやめください。その理由について、順を追ってご説明致します。

まず、ロレックスの「デイトジャスト」には、日付を切り替える方法が2つあります。 

1つ目は、真夜中に自動的に切り替わる方法です。時計が動いていれば、午前零時付近で「カチッ」という音と共に、瞬時に日付が切り替わる機能です。

2つ目は、リューズを操作して強制的に日付を早送りさせる方法です。時計を暫く使わずにいて、何日も日付がズレてしまった場合に、手動で早送りが可能な便利な機能です。ただし、禁止時間帯が発生するのは、この2つ目の方法となります。

日付が変わった後の送り爪の位置(Cal.3135)。

上の画像は、文字盤を外したところです。数字が付いているパーツを「カレンダーディスク」といい、内側にたくさんの歯が付いています。また、数字の14と15の歯の間に見える銀色のポッチが「カレンダー送り爪」。 真下の歯車と連動して24時間で1周します。

「送り爪」は時計回りに動いており、20時頃から歯の間に入り込み、午前零時付近でカレンダーディスクの歯を弾いて日付を変更させた後、午前4時を過ぎてからようやく歯の間から離れていきます。自動的に日付が切り替わる方法がこちらになります。

その為、歯の間に「送り爪」がある時間帯、つまり20時から翌朝の4時の間は、「送り爪」によってカレンダーディスクの動きが阻まれてしまいます。

このような時間帯では、2つ目の方法のように、リューズを引き出して別の歯車で強制的に日付の早送りを行おうとすると、部品に負荷が掛かって故障の原因となる為、この時間帯での日付の早送りは禁止されています。

やむなく日付を変更する場合は、短針を6時や7時などの安全な位置まで移動させた後、日付の早送りを行ってください。

カレンダー早送りの禁止時間帯を破るとどうなる?

それでは、早送りをしてはいけない時間帯に日付を動かしてしまった場合、どうなってしまうのか。

負荷が掛かって部品が破損してしまえば、 カレンダーが動かない、途中で引っかかる等のような症状が出ます。このような場合は、残念ながらオーバーホールが必要となります。

仮に、ご購入すぐでメーカー保証が残っていても、誤った使用方法という事で有料の修理となりますので、くれぐれもご注意下さい。

ロレックスの中でも例外は存在する

とは言うものの、やはり例外はございます。近年、ムーブメントが新しくなった関係で、2020年3月現在では禁止時間帯がある時計と、気にする必要が無い時計が混在しています。

例外① 新型ムーブメント搭載モデル

カレンダー禁止時間帯の無い、新型ムーブメント「Cal.3235」を搭載しているRef.126300、Ref.126233などのメンズ・デイトジャストや、「Cal.2236」搭載の279160、279174等のレディス・デイトジャスト、「Cal.3255」搭載のデイデイト等には禁止時間帯はございません。

更には、現行スポーツ系のヨットマスター(126622や126655等)。シードゥエラー(126600)、ディープシー(126660)なども新型ムーブメント搭載のため問題ありません。

メンズでは型番が『Ref.126***』または「Ref.228***」となっているもの、レディースでは『Ref.279***』となっているモデルが該当します。

新型ムーブ「Cal.3235」搭載のヨットマスター(Ref.126622)

例外② 短針が単独で動く特殊モデル

短針が単独で動くことによって、時差がある国でも容易に時間を合わせることが可能な特殊機能付きの、GMTマスターⅡやエクスプローラーⅡには禁止時間帯はございません。

短針早送りで日付を変えるGMTマスターII(Ref.16710)

ロレックス以外のカレンダー事情

ロレックス以外のブランドにも、日付早送りの禁止時間帯はございます。

操作方法は、 基本的に ロレックスと変わりはありませんので、【20時~翌4時】。朝午前零時を挟んだ前後4時間は、日付の早送りはお控えください。メーカーによってはこの時間帯が若干異なりますが、大体同じです。

実際のところ、トラブルが起きなかったという場合もありますが、中には禁止時間帯を破ると、確実に故障するという時計も存在しますので、お取り扱いには充分お気をつけ下さい。

大切なお時計を、永くご愛用いただく為にも、時計へ負担を掛けない方法をお勧め致します。

 

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