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「前衛的な角型腕時計 ”アンティーク ロレックス プリンス”」 2018年2月27日

2018-02-27 19:52

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こんにちは、銀座エバンスの稲田です。
少し暖かくなってきましたね。
季節の変わり目ですのでみなさま体調お気をつけくださいね。

さて、本日はロレックスから大変稀少なアンティーク チェリーニ・プリンス のご紹介です。

ロレックスには大きく分けて、スポーツラインとドレスラインの二種類の腕時計があります。

そのドレスラインには、”チェリーニ”という革ベルトのみのモデルがございます。
現在、チェリーニは丸型のみですが、その昔、今から100年以上も前の1910年頃、ロレックスは丸型だけでなくいろいろな形が大流行したのをご存知の方は少ないですよね。

1910年代から1920年代にかけてのロレックスは、まずはクッションの形をしたクッションケースが大変人気を博し、トノー型、正方形、長方形、八角形のオクタゴンなど、様々な形の腕時計を作っていました。


その中で一際目を惹くのは、今回ご紹介する長方形の形をしている腕時計、当時医者の間で流行したため”ドクターズウォッチ”の異名を持つ”プリンス”。ロレックス社は開発の段階で、医者が脈拍を取る際に秒針を見やすくするために、時分針から秒針を独立させて製作に当たったそうです。

プリンスは当時、様々な種類のモデルがある中のロレックスのアイコン、つまりロレックスを象徴する存在で、皆の憧れの腕時計だったそうです。今でいうデイトナのポジションですね。

1905年。ロレックスの生みの親、ハンス・ウィルスドルフは創業当初から「○○のための」腕時計をつくっていたんですね。

ちなみにこのプリンスというのはその名の通り、男性向けに作られており、”プリンセス”という女性のための小さな角型時計が存在するんですよ。

詳しく写真などご覧になりたい方は以前私のブログでご紹介した「ロレックス豪華写真集 “THE BOOK OF ROLEX”」がお店に置いてありますので、是非ご来店時ご覧になっていただきたいです。


1928年に発表された初代プリンス、このモデルは20~30年程で生産終了となりました。
年数だけで見ると多く作っている印象ですが、この時代ですから生産本数はさほど多くありません。

そして同じ文字盤を何本も作っているわけではないですし、時計といえば懐中時計が主流の時代、腕時計というもの自体が富裕層のための道具なので現存していて動く、程度のいい個体が大変少ないために希少価値が高いのです。

当時、時計に対して正確さを求めている会社は殆ど存在しなかったのですが、ハンス氏はロレックスの創業当初から腕時計へ精度面への保証を与えたいと考えていたそうです。
1910年、腕時計初のクロノメーター公式証明書を獲得、その4年後にはイギリスのキュー天文台にてこれもまた腕時計として初の、A級証明書を授かります。

ロレックスのファーストモデルは1910年に製作した銀製ケースの琺瑯(ほうろう)文字盤。
琺瑯とは、酸や熱に強いのが特徴でスチールなどにガラス質の釉薬を塗って高温で焼いたもの、英語ではエナメルといいます。形は丸型、大きめのアラビア数字とスモールセコンドを備え、ROLEXの文字が筆記体という大変珍しい文字盤です。

このファーストモデルの裏蓋には、”キュー天文台およびスイス天文台において、7つの世界記録と金メダルを獲得”というシールが確認されています。このモデルから始まり、初代プリンスも当然クロノメーターを取得しており、その「6姿勢で調整 クロノメーター」という文字がムーブメントに刻まれている程、ロレックス社が当時最も自慢のキャリバーだったことがうかがえます。(下の写真がファーストモデルです)

プリンスが高い評価を受ける理由は、時代に先駆けた長方形のフォルムという見た目だけでなく、その高い精度にあったんですね。


”プリンス”という名は、1935年、当時の王様である英国王ジョージ5世への贈り物としてハンス氏が選んだのが長方形のこのモデルだったことに由来します。その名の通り、王様の腕時計という意味なんですね。

ジョージ5世の即位25周年の記念に、500個のクロノメーター取得済み腕時計を作って欲しいという注文を受けたハンス氏は、なんと4ヶ月ちょっとですべてを作り上げ、スイスのクロノメーター検定所へ提出します。

この時、ひとつも欠けることなく全ての個体が”非の打ち所がない程素晴らしい”という最高評価を得、これによりロレックス社はますます一目置かれるメーカーへとなっていきます。

英国王ジョージ5世は、第一次大戦中に君主制を現代に繋いだ、真っ直ぐで大変厳格な人物だったそうです。時間にも厳しく、遅れることを最も嫌った彼は、城中の時計を5分進め皆に生活をさせていた程です。そんな人物が自身の大切な記念日の品としてロレックスを選んだこと、どれほどロレックスの正確さを信頼しているかの証明に他なりません。このことから、ロレックスという名は富裕層の人々だけでなく、我々の様な庶民の心にも深く刻まれたことでしょう。


2005年、ロレックス創業100周年を記念して縦・横1cmずつ大きなケースで復刻されたプリンスを見た時、嬉し過ぎて小躍りしたのは私だけではないでしょう。(下の写真が復刻版プリンスです)

ロレックス初のシースルーバックで、当時と同じスモールセコンドの手巻式。裏から見えるムーブメントもドレスウォッチらしく、美しい放射状のギョーシェで見る者を魅了します。
この復刻版プリンスもまた、惜しくも数年で生産終了となってしまい、現在では中々目
にする機会に恵まれません。

先にお伝えした通り角型ウォッチは作っていませんが、現在でもロレックス社はドレスウォッチとして丸型チェリーニの製作に力を入れています。

創業から113年経った今でも、当時のスタイルを現代人に伝えるべく、ロレックスというブランドは伝統を重んじながらクラシックになり過ぎない時計を作っているのです。


知れば知るほど興味深く、魅力的なアンティークロレックス。
ご興味のある方は是非、この素晴らしい時計を見にいらっしゃって下さい。

また、アンティークロレックスをお持ちの方は一度私までご連絡ください。
当時の価格をご存知であれば、ビックリするような金額が付くこともありますよ。
まずは拝見させてくださいね。
みなさまのご来店、心よりお待ち申し上げております。

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