玄人好みのIWC アクアタイマー
2020-09-14 19:10
皆さまこんにちは。
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
本日は、ポルトギーゼ・パイロットウォッチと並ぶIWCの人気コレクション“アクアタイマー”についてご紹介いたします。
IWC初のダイバーズウォッチ、アクアタイマー
1960年代、アメリカを中心としてサーフィンを始めとするマリンスポーツブームが巻き起こりました。それに伴い、防水時計に対する需要が高まり、時計メーカー各社が挙ってスポーツ向けダイバーズウォッチの開発に注力しますが、当時防水ケースの開発は大半のメーカーにとって技術的に難しかったようです。
そんな中、スイスのケースメーカー、エルヴィン・ピケレ社が開発した『コンプレッサーケース』の流通によって、多くのメーカーがダイバーズウォッチを作り出していきます。
このコンプレッサーケースとは、ねじ込み式リューズを使わずに、ケースにかかる高い水圧を利用することにより防水機能を確保するという構造です。また、ロレックスのサブマリーナのような回転ベゼルではなく、文字盤外周の風防内にベゼルを配置されているところが特徴的なケースです。
IWCもこのケースを採用することにより、1967年に200M防水を確保した<アクアタイマー Ref.812>を完成させます。
続けて翌年の1968年には更に防水機能を高めた300M防水の<アクアタイマー Ref.816AD/1816>を発表します。
ただ、この初期のアクアタイマーはあまり人気が出ず、生産数も少なかったようです。また、長い期間防水機能を保つことの出来ない防水構造だったことも影響があったのかもしれません。
ポルシェデザイン オーシャン2000
当初、あまり売れていなかったアクアタイマーが一躍人気モデルとなったのが 、1982年にポルシェがデザインを手掛けた“オーシャン 2000”です。
こちらはドイツ連邦海軍(BUND)に向けて手掛けられたモデルとなっており、その中でも、海中で磁気に環感応し爆発してしまう磁気機雷を除去するダイバーも着用予定だったため、精度や耐衝撃性はもちろんのこと、高い耐磁性・耐水性・視認性を持たせることも重要でした。
オーシャン2000の特徴
ケース素材に使用したチタンは耐磁に優れた金属で、また腐食もしにくい点もダイバーズウォッチにとても適した素材でした。このチタンをケースに使用するというのは、元々はポルシェがチタン好きで、ポルシェからの指示でもあったそうです。内部機械パーツも非磁性素材へ変更し、高い帯磁性を確保しています。ちなみに、IWCではチタンケースを製造するため、日本のメーカーの旋盤を導入したそうです。
耐水性を高めるために排除したのが、ヘリウムガスエスケープバルブです。一般的なダイバーズウォッチを無くということは、ヘリウムガスを内部へ通さない密封度を可能とする、自社の技術力への自信でもあったのでしょう。また、初期モデルでは採用されなかったねじ込み式リューズにし、風防をサファイヤクリスタルにすることで、より強固で耐衝撃性に優れ、高い防水性を保持したケースとなりました。
操作性を高めるために初期モデルからベゼルも改良され、これまでガラス内に設けられていた回転ベゼルは、サブマリーナ同様ガラス周りに装備され、誤操作防止のために押さないと回転しない使用となります。また、視認性を確保するため分針はオレンジ色を採用されています。
この海軍専用モデルを一般向けに販売した“オーシャン2000”は、その名の通り防水2000Mをほこり、大人気モデルとなりました。
GSTアクアタイマー
オーシャン2000の後継機として、1998年には“GSTアクアタイマー”が登場します。こちらも、また人気を継続。高い性能はそのままに、ケース素材はチタンの他にステンレスのラインナップされ、何より特徴的なのが容易なサイズ調整を可能にしたブレスレットではないでしょうか。付属のピンを2本使用することにより、ショップに行かなくても自身でサイズ調整をすることが出来ます。季節や体系の変化など自分のタイミングで調整出来るのは嬉しいポイントですよね。このブレスレット仕様は、進化しつつも現在も同様のシステムが引き継がれています。
アクアタイマー後継機
その後、ディープシリーズでは、防水が100Mや120Mとダイバーズモデルとしてはやや心もとない防水機能となりますが、 付属で水深計を付けて他とは違うアプローチを加えてみたり、2009年には“アクアタイマー オートマティック2000”として、防水2000Mで且つ回転ベゼルにサファイヤクリスタルを用いるなど、様々なアクアタイマーを世に送り出し、人気を得ています。
ですが、やはり元々玄人に好まれる傾向にあるIWCの中でも、オーシャン2000からGSTアクアタイマー、アクアタイマーはシンプルで高い実用性があり、より時計好きな方々の心をくすぐる逸品だと個人的には思っています。
とは言え、1967年から50年以上の年月の間に様々な特長であり個性たっぷりなモデルが多数出されているアクアタイマー。新品始め、状態の良いユーズド品などご自身の好みのタイプを見つけられた際には、ぜひ手に取って見てみて下さい。