ほどよい遊び心~「OMEGA(オメガ) ダイナミック 3針デイト Ref.5200.50」2020年8月24日
2020-08-24 10:30
今回のエバンスブログは「OMEGA(オメガ) ダイナミック Ref.5200.50」(生産終了品)のユーズドウォッチをご紹介します。1990年代後半に、オメガの廉価モデルとして作られたシリーズで、一部にじわじわと人気の兆しがあるのだとか。
今回の時計の概要
こちらの「オメガ ダイナミック Ref.5200.50(5200-50)」は、OMEGA(オメガ)のシンプルな3針タイプ。36mm径のケースに自動巻きムーブメントCal.1108を搭載します。1990年代後半から2000年代初め頃まで生産されていました。以前、当ブログで紹介した「スピードマスター マーク40 AM/PM」と同時期1997年頃の登場だったようです。
OMEGA(オメガ)
(OMEGAの代表的なモデル)
■1:スピードマスター、■2~4:シーマスター(2:アクアテラ 3:ダイバー300 4:プラネットオーシャン)、■5:コンステレーション、■6:デ・ビル
1848年にスイスで創業された高級腕時計ブランド「OMEGA(オメガ)」。その名はギリシャ語で「究極」を意味しているとか。ブレゲ、ブランパン、ロンジン、ハミルトン等を擁すスウォッチグループの中核をなすブランドで、多様なモデルが存在します。主なコレクションはスピードマスター、シーマスター、コンステレーション(=星座という意味)、デ・ビル(=街角を意味)。今回の「ダイナミック」は、その他のグループにいたシリーズとなります。
DYNAMIC(ダイナミック)の3代目
(ダイナミック:1960年代の初代、1980年代の2代目、1990年代の3代目)
出典:オメガ公式サイト →【初代】 →【2代目】 →【3代目】 →【3代目クロノ 革ベルト】)
今回のダイナミック、同型のものが公式サイトで「DYNAMIC III」として掲載されていて、「3代目」ということになります。初代は、1960年代後半に発売された、横長のオーバル(楕円形)ケースに同心円状ツートン文字盤のモデル。「ジュネーブ ダイナミック」とも呼ばれています。当時の宇宙や未来への憧れを形にしたレトロフューチャーなデザインに、独特な一体式ベルト交換システムなどを備えた、個性的で意欲的なモデルでした。(レディースモデルも存在)文字通りdynamic(=力強い、活動的な)だったわけです。
2代目は、1980年代中頃に「シーマスター ダイナミック」として登場、上下非対称なベゼルが個性的なモデルでした。
そして、3代目「ダイナミック」は、うって変わってミリタリーテイストの控えめなデザイン。インデックスの数字に、少しだけ活動的な雰囲気を残しています。
ラインナップと位置づけ
(1998年頃のOMEGA公式カタログから)
■画像1:表紙/ダイナミック クロノグラフ 革ベルト(5290.50) ■画像2:ダイナミック 3針 革ベルト(5250.50)、ダイナミッククロノ 革ベルト(5290.50)、ダイナミック クロノ ブレス(5240.50))
3代目のラインナップは、今回の36mm径「3針デイト(5200.50など)」に加え、38mm径「2つ目クロノ(5240.50など)」が存在。それぞれにレザーベルト仕様もありました。
当時のカタログでは、レーサーの「ミハエル・シューマッハ」が自動巻きのスピードマスターを、弟の「ラルフ・シューマッハ」がダイナミックを着用した写真が掲載されていました。クロノグラフ&ブレスレット仕様でも10万円台半ばという廉価な定価設定だったようで、文字通り弟分なポジションでした。カタログの片隅に載ってはいたけれど、約5年ほどでひっそりと消えていったモデルだったようです。
この時計について
(大きめのリューズはねじ込み式。風防はサファイアガラスでケースの厚さは約9.4mm)
ミリタリーウォッチの面影が感じられる3代目ダイナミック。オメガは1940年代に「ダーティ・ダース(The Dirty Dozen)」の1社として、イギリス軍向けミリタリーウォッチを供給していた歴史があり、そこから着想を得たものと思われます。
丸井(マルイ OIOI)限定(5202.51)として、文字盤や裏蓋にイギリス軍に由来する矢印型の「ブロードアロー」マークが入ったバージョンもありました。
個性的な数字フォントが印象的な3代目ダイナミックですが、ケースの形状は一般的なミリタリーウォッチのスタイル。大きめのリューズが軍用感を高めています。ケースやブレスレットは、ほぼ全てヘアライン(梨地)仕上げ。鏡面仕上げの面がないため、メリハリがなく地味ではあるのですが、キズが目立ちにくいという利点があったりします。
(インデックスの数字とカレンダーの数字はフォントが異なる 大きめなリューズとねじ込み式の裏蓋)
マットブラックの文字盤やひし形の時分針も、ミリタリー由来の意匠で、イエローの差し色が効いています。インデックス数字の斜体のかかった独特なフォントが、質実剛健なミリタリースタイルに、ほどよいカジュアル感を加えています。
カレンダーの背景はブラックで、文字盤とすっきり一体化、カレンダーの文字も斜体ですが、インデックスとは異なる書体で、読みやすさを考慮しているようです。
ねじ込み式の裏蓋と金属製のインナーカバーに守られたムーブメントは、ETA(エタ)社製で定評のあるCal.2892-2をベースとした自動巻き「Cal.1108」を搭載しています。
意外といいかも
(腕周り約16.5cmのスタッフが腕に乗せてみました。 夜光はスーパールミノバ)
少し変わった時計。というのが第一印象でしたが、案外見かけないこのタイプ、ほどよい遊び心があり意外といい1本かもしれません。中古の相場感もじわじわと上がっている(それでも10万円台が主)模様です。小ぶりなミリタリー系で、コストパフォーマンスのよい3代目「ダイナミック」。海外においても一部の方に見直され、愛されている印象です。
ブレスレットをレザーベルトやNATOストラップに替えると、ミリタリー感が強まり、より楽しめそうな1本。インデックス書体の好みはあるかと思いますが、ちょっとした遊び心のあるこんなモデルを、お手持ちの1本に追加してみるのもいいかもしれません。
→「OMEGA(オメガ) ダイナミック III Ref.5200.50」
(1997年頃~2000年代前半頃、自動巻き、36mm径、ステンレス、サファイアガラス風防)